Shangri La
(著) 砂田暁子
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短歌と写真の融合した本書。
「五七五七七」という、このわずか三十一文字の小詩型に関わって、四十年が過ぎました。私の内面に混沌として常にある、「何かを表現したい」というデーモン的な情念を盛るには、短歌は余りにも小さい器であるかもしれません。現に、もどかしく思ったり不自由を感じたりすることも再三ありました。
しかし今は「五七五七七」という表現法が、人の生きている気息を伝えるのに最も適した詩型だ、ということを確信しています。言語の他のジャンル、例えば散文、詩、俳句などと比べた時に、決定的に違い、短歌でなければ表せないものといえば、作者の生ける気息が三十一文字の音律にのる、ということではないでしょうか。また短歌は、和歌とよばれていた時代から、「もののあはれ」を盛る器でした。「もののあはれ」とは、「もの」や「こと」に触れて心が動くことです。当然、吾と吾の外との関係を必然とし、自然を必然とします。実際、自然と出会い、語らい、融合する過程の中で、「未知なる私」を発見することは、大きな喜びであり、支えでした。
嬉しいことですが、さらにより多くの人々の目に触れ、これを機に、「短歌を作ってみたい」という方々が増えられますことを、心より希っております。
著者プロフィールーーーーー
砂田暁子(すなだあきこ)
昭和17年 旧満州鶏寧県適道生まれ
学習院大学文学部哲学科で美学、東北大学大学院研究科で美術史学を学ぶ。
昭和46年 短歌結社「水甕」入社。
平成30年 現在、「水甕」選者、同人。
「現代歌人協会」「日本短歌協会」会員。
歌集
『水明り』『霧へ』『薔薇星雲』『かたちここに』『地球の朝』『季の風韻』刊。
この他小歌抄九冊刊。
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