13歳の関東軍兵士:ヤポンスキー・マーリンキ・ソルダートの日々

(著) 山岸重治

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作品詳細

[商品について]
―イワノフは、私たちを「ヤポンスキー・マーリンキ・ソルダート」と呼んだ―
13歳にもならない年の春、少年は満洲の地で陸軍燃料廠技能者養成所の第一期生となった。アメリカ軍の攻勢によって敗戦の色が濃くなる中で、ソ連軍侵攻という事態に直面し、関東軍の兵士として前線に立った少年は、やがて日本の敗戦により入れられた収容所でイワノフというひとりのロシア人と出会うーー旧満州国で関東軍の各機関で戦争遂行の任務を担わされていた多くの少年たちの知られざる実像を、シベリアに送られ帰ることのなかった仲間たちへの鎮魂の思いとともに綴った、少年兵たちの戦争と命の記録。

[目次]
序にかえて
一、陸軍燃料廠関東軍満州第二三八部隊
陸軍燃料廠
開戦前夜日本の航空機燃料の実情
四平工廠の合成技術
満州移住
陸軍燃料廠技養生徒隊
内務班教育
上官に敬礼
不寝番
所持品検査
朝鮮人の戦友
虱の発生と外出の思い出
メエーメエー仔山羊の歌
研究室へ配属
外泊許可
節水強化違反で処罰
積立金紛失
陣中慰問と村上の怪我
ボロをまとった生徒隊
後輩と学徒の入隊
ラブレター事件
盗難事件
物々交換で空腹を満たす
人肉事件
戦局切迫・米軍の沖縄占領
満州空襲
原爆投下・ソ連軍の侵攻
関東軍兵士に任命
終戦の詔勅下る
敗戦直後
武装解除
ソ連軍進駐
抑留始まる
前島の運命
貴金属類の行方
身辺諸事
高林兄弟
少年特務
関東軍所属の少年達
二、満州第十九部隊貨物廠収容所
脱走者の身代わりに収容所行きの指示
ソ連軍の収容所へ
脱走の罪で銃殺の宣告
重労働作業始まる
兵舎の夜
脱走者と交代の真相
イワノフとの出会い
外部作業
山羊の乳
義勇隊員との別れ
夜盗の侵入
過労の影響
死体埋め作業
中原はやくざだった
山羊毛との再会
食べ物の話題
ソ連兵の側面
監視兵と射撃を競う
目前の射殺
シベリア行きの指示が出る
監視兵との別れ
イワノフとの別れ
解放され東門街へ戻る
トラックが来ない
三、遼北省立油化工廠
東門街の生活
燃料調達と商売
燃料生産再開
家族と再会
幻滅の郭家店
遼北省立油化工廠
汽車股(自動車係)へ配属
内戦の予感
八路軍の包囲網強まる
ペストの流行
八路軍侵攻
八路軍の中で
八路の少年兵
中央軍迎撃の準備
八路軍へ入隊勧誘
中央軍の反撃
隣家と連絡口をつける
争奪戦の背後で
森永さんの死と使役射殺
八路兵の侵入
人民裁判
従軍看護婦の割当
狙撃兵の勧誘
八路軍入隊の挫折
八路軍の撤退と中央軍の進駐
春到来
中央軍の進駐
堀内さんの悲劇
八路軍撤退後の状況
父の負傷
少年時代回顧(一)
少年時代回顧(二)
四、黄土の地よさようなら
居留民会の連絡員
初めてのアイスクリームと間宮との再会
引揚げ前夜
技術残留の要請
技術残留
引揚げ開始
公文書紛失
軍隊との絶縁
引揚げ行
錦州収容所
所持金紛失に気づく
残留者が来ている?
技術残留の挫折
最後の引揚げ列車
引揚げ船
佐世保上陸
マーリンキ・ソルダート故郷へ
〈増補〉シベリアへ送られた少年と関東軍
シベリア抑留者の新資料発見される
在満邦人シベリア抑留の根拠と発端
旧陸軍燃料廠の幹部総会
脱走者の身代わり
奉天工業の動員学徒
間島中学の動員学徒
生還した同期生との再会
抑留死亡者名簿の少年たち
義務教育年齢の法改正
シベリア抑留者の著作
関東軍に所属した少年たちの戦後
あとがき
増補版あとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
イワノフがシベリア行きの列車から著者を突き飛ばしたときどの様な胸中であったのか、本書からうかがい知ることはできません。しかし敵の兵士から見てさえ、本書の少年たちは戦争という過酷な運命を背負わされるにはあまりに幼くみえたのではないか、そんな想像をしてしまいます。先の戦争という惨禍の中には、そうした無数の少年たちの命が含まれていたということを、是非ひとりでも多くの方に知っていただければと思います。

[著者略歴]
山岸重治(やまぎし・しげじ)
1931(昭和6)年長野県上水内郡神郷村(現長野市)に生まれる。1941年家族と共に満州国開原市に移住。1944年満州国郭家店在満国民学校六年卒後、四平市所在陸軍燃料廠(満州第二三八部隊)技能者養生所入所。1945~1946年ソ連軍収容所を経て中国内戦に参加後引揚げ。
1947(昭和22)年国鉄に就職し運動部と労働組合文化活動に参加。1981年国鉄退職以後タクシードライバー、建設現場監督、ボイラーマン、テレビ局電気管理等に就業。1999年以降自由業。
著書『13歳の関東軍兵士』、共著『詩は生きる』、詩集『春遠き日々』『タテハ蝶』『午後の陽』『眠れぬ夜のひとりごと』、主な受賞歴「総評文学賞」(詩部門1974年)、「国鉄詩人賞」(1979年)、「労働者文学賞」(2008年)

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