青雲の彼方:日記に見る外交官天羽英二の波乱の生涯
(著) 太田精一
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―米国との交戦は王手のできない将棋のようなものだ―
ヨーロッパでは戦乱がソ連にも及び、アジアでは日本の東南アジア進出に各国が警戒を示すなど風雲急を告げる国際情勢の中で、天羽英二は多くの人から平和への希望を託され、外務次官として日米交渉に臨むことになった。ドイツの戦線拡大、日本の南進政策の継続、アメリカの対日感情の悪化と一筋縄ではいかない状況でも、豊田外相のもと国益をもとめ粘り強く交渉を続ける天羽次官であったが、戦争回避への道は次第に閉ざされていく──激動の昭和を日本の国益を求めて駆け抜けた外交官・天羽英二の足跡を、同氏が克明に書き残した日記をもとに辿った知られざる日本外交秘史。
[目次]
はじめに
一.満州、朝鮮旅行
二.生い立ち
三.神戸高商から東京高商専攻部へ
四.外務省入省、安東領事館在勤
五.豪州在勤
六.第一次世界大戦終結
七.ワシントン会議による国際新秩序
八.国民政府の広東へ日本総領事として赴任
九.軍閥と日ソの勢力圏争いの渦巻く満州
十.蒋介石軍北伐開始、中国統一に向かう
十一.民族意識の高揚と南京政府
十二.社会主義国ソ連
十三.天羽声明の国際的反響
十四.スイス公使兼国際連盟日本事務局長に就任
十五.第二次世界大戦勃発
十六.欧州の戦時下、大使としてイタリアへ赴任
十七.外務次官として日米交渉妥結に専念
十八.勝算なき戦いに突入、敗戦
あとがき
主な参考文献
[担当からのコメント]
本書を読んでいると、情緒的に平和を望むのではなく、常に国際情勢を冷徹に見極め日本の国益の中で非戦や平和を追求することの重要性を改めて痛感します。混迷を深めつつある今こそ、多くの方にお薦めしたい一書です。
[著者紹介]
太田精一(おおた・せいいち)
東北大学文学部社会学科卒。
民間会社を経てジェトロに入る。カメルーン、旧ユーゴスラビア(現セルビア共和国)、チリに駐在。国内外の勤務を通して各国、各地方の歴史、文化を研究。市井の歴史家の集まり「史遊会」にて数々のエッセイを執筆。
同人誌「まんじ」の会員として小説や歴史物語を同誌に寄稿。
著書
『遥かなるカメルーン』(彩流社)
『遠い処へ』、『霧の彼方に』(まんじ特集号栄光出版社)
『誠忠の茶園:牧之原の荒地に挑んだ幕臣たち 明治維新によって刀を鍬に替えた幕府精鋭隊』(22世紀アート)
『空風(からっかぜ):激動の昭和をけなげに生きたある若者とその家族の物語』(22世紀アート)
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