隔ての海の岸辺で:ハンセン病専門医の長島愛生園便り
(著) 尾崎元昭
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―ハンセン病患者はいま、忘却という隔絶にさらされている―
瀬戸内海の小島にあるハンセン病の療養所「長島愛生園」。本書は1969年に医師として赴任して以来、40年以上にわたり入所者や職員たちと触れ合ってきた著者が、2003年に臨床医として退職前の最後の仕事と決めて再赴任した時に、園の小誌『愛生』に挨拶文を載せたことをきっかけに連載し続けた記事の中から、定年退職となる2008年までをまとめて収めた作品である。病気の現状や療養所で働く人たちの思いなど、内側からでなければ見えない風景を綴ったハンセン病を知るうえで貴重な一書となっている。
[目次]
はじめに
二〇〇三年
再入園?
また楽しからずや
あと始末屋
二〇〇四年
奄美御縁
リファンピシン事始め
皮疹を読む
春再び
ミャンマーの炎
ムカデ日和
学会へ行こう
「包括」の時代に
世は移りゆくも
二〇〇五年
新しい年に光を
若き革命家の肖像
旅立ち
微笑みの国ミャンマー
津軽海峡初夏景色
月ぬ美(かい)しや
折り返し
二〇〇六年
超法規的診療
証し人
島育ち
思い煩いの日々
薬は世に連れ
学会が終わった!
忍びの術
療養所流の治療
喧騒を遠く離れて
二〇〇七年
プロミン信仰
もぐりの医者
心に映る島影は
ヤンゴンの皮膚科研修会
魂鎮めの歌
夏が来れば思いだす
まっ暗森の闇の中?
手だけでも治して
幸せな体験
島で暮らせば
二〇〇八年
税金払えてうれしかった
ネタとしてのハンセン病
逃げなかった人たち
春うらら
島を去って
おわりに
あとがき(電子書籍版)
著者略歴
[出版社からのコメント]
古い記録にも残されるハンセン病は、長い間患者と社会の隔絶を生み出し、それは今も形を変えて続いています。社会がコロナウイルスの脅威にさらされている今だからこそ、私たちはハンセン病患者たちが受けた理不尽を忘れてはいけないのではないかと思います。本書を通じて、多くの方がハンセン病について理解を深めていただければ嬉しく思います。
【著者略歴】
尾崎元昭(おざき・もとあき)
1943年、熊本市で生まれる。
1967年、熊本大学医学部卒業。京都大学医学部でインターン修了後、皮膚科学教室および皮膚病特別研究所施設に属して皮膚科学、ハンセン病医学を専攻。国立療養所長島愛生園皮膚科医長、京都大学医学部皮膚科講師、兵庫県立尼崎病院皮膚科部長を経て長島愛生園皮膚科医長に再任、2008年退職。医学博士。皮膚科専門医。
著書 『総説現代ハンセン病医学』(監修、共著)、『ハンセン病アトラス』(編集、共著)、『見逃してはならない感染症』(共著)、本書の続編『隔ての島とのはざまで』(文芸社)など。
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