親守りの記ーー老々介助で息子が母に思うこと:私が主夫と福祉評論家と大学教授をしながら介護もできる理由(わけ)
(著) 吉沢勲
Amazon作品詳細
[商品について]
―仕事も介助も人生もあきらめない―
老年精神保健の専門家にして福祉評論家、そして大学教授。家では主夫として包丁を握り、アルツハイマーを発症した母の介助者として食事から人工肛門の取扱いまで何でもこなす。介護か仕事かのどちらかを選ばざるを得ない人が多い中で、著者はなぜ両立することができるのか。痴呆の家族への接し方から介助ストレスをためない方法、自分の時間の作り方、そして公的サービスの生かし方まで、老年精神保健の専門家ならではの視点で綴った悪戦苦闘の介助奮闘記。
[目次]
第1章 〈生育歴を知る大切さ〉 認知症の親の心情に寄りそう方法
母と息子、離ればなれで歩んだ道
母の波瀾、息子の苦難
1 母の出生から終戦まで
2 戦後から現在まで
3 私の生い立ち
なぜ私は主夫になったのか
認知症の母を見守る家族の想い
1 姉の「ヘルパーノート」
2 娘からの手紙
母にささげる詩――親守りの唄――
第2章 〈認知症の背景を知る大切さ〉 喪失期の老親の心を癒す方法
認知症とは「知・情・意」の司令官が混乱している状態
認知症の引き金は生きざまの中にある
1 認知症になって一番困っているのは本人です
2 母の人生の中の劇的エピソード
3 母の認知症の引き金となった原因
認知症になった人との接し方、六つの基本
1 自分の胸に手を当てて認知症を理解する
2 自尊心を大切にする
3 〝症状〟を叱らない
4 名優になる
5 禁止用語を使わない
6 安心感を与える
第3章 〈認知症の言動の意味を思いやる大切さ〉 認知症になった親の気持ちを傷つけない対処法
こんな時、私はこうしてきた
1 もの忘れ
2 被害者的言動
3 「帰らせてもらいます」
4 迷子と徘徊(はいかい)
5 人違いをする
6 うつ状態
7 故人との対話
8 幻覚
9 家の中での危険防止
10 トイレをめぐる問題
11 衣服の世話
12 服薬の世話
13 異食
14 食事の世話
15 人工肛門の世話
16 荷造り作業
17 家長や親としての意識
第4章 〈一日暮らしの大切さ〉 介助ストレスをためない方法
高齢者虐待とはどんなことか
高齢者虐待を生む介助ストレス
1 在宅介助の八つの不自由
2 介助する人の悩み
3 介助する人の屈辱感と腹立ち
4 介助ストレスはこんなふうに進行する
介助ストレスの賢い解消法
1 世間に公表する
2 一人で背負わない
3 仲間と交流する
4 余暇を上手に利用する
5 完璧を求めない
6 介助日記をつける
7 一日暮らしの精神で
8 開き直る
9 怒らない術を身につける
第5章 〈計画的介助で時間を生む大切さ〉 仕事と介助を両立させる方法
私が主夫、福祉評論家、大学教授を兼務できる理由
1 介助を嫁や妻に押しつけるのは悪習です
2 主夫(婦)も立派な職業である
3 まず「仕事も介助も」と決心する
4 三足のわらじ、私流仕事のしかた
他人の手助けや公的サービスの利用をためらわない
1 長期戦に耐えるために偏見を捨てる
2 夫、子供、孫、夫の兄弟、友人たちのネットワーク作り
3 介助会議を開く
4 有償の介助も組み入れる
5 他の兄弟姉妹にも資金援助を依頼する
高齢者が自分でできることはやってもらう
仕事時間、自由時間の作り方
1 介助内容をランクづけする
2 手抜きはよりよい介助のための〝省エネ〟です
3 介助ローテーションを作る
4 時間を節約するコツ
5 高齢者と外出する機会を増やす
第6章 〈公的サービスを生かす大切さ〉 介護保険の上手な活用のすすめ
介護保険は申請しなければ使えない
介護保険サービスの中身を知ろう
[利用できるその他のサービス]
お役所の攻略法
1 お役所のシステムはこうなっている
2 あきらめないで主張する
第7章 〈認知症に対する発想転換の大切さ〉 老いた親、認知症の親と幸せに生きられるように
「明日はわが身」人は誰でも老いていく
認知症を治すとはお互いが生きやすくなること
ハンディのある人が当たり前に生きられてこそ
介護保険にはこんな問題点がある
1 税方式こそベスト
2 保険あってサービスなし
3 サービスが制限される
4 料金が高くて支払えない
5 要介護認定の基準が厳しい
6 家族介助者への対策がない
おわりに
【引用・参考図書一覧】(発行年順)
著者紹介
[担当からのコメント]
自分の人生の中で両親や配偶者の介護という事態に直面したとき、どの様な選択ができるのかについて悩んだり不安に思うことはありませんか。本書はそれに対して一つの答えを示してくれます。現在介護のただ中にいる方も、将来に備えて介護について知っておきたいと思う方にもお薦めの一書です。ぜひご一読ください。
[著者紹介]
吉沢 勲(よしざわ いさお)
昭和16年、東京に生まれる。明治学院大学大学院修了。老年精神保健専攻。
以来、20数年にわたり、精神病院等で老年精神保健の仕事に従事。
明治学院大学、横浜市立大学医学部、女子栄養大学、朝日カルチャーセンター等の講師を歴任。
現在、福祉評論家兼沖縄大学教授として活躍中。NHKはじめ、テレビやラジオの出演多数。
主なる著書は、『高齢者を介助する家族の本』(家の光協会)、『六十歳からこそ積極人生』『ひとり暮らしの快老学』『老いの不安を自信に変える森田式実践生活法』(以上、海竜社)等多数。
家族は、母、妻、メス犬、オス猫。趣味は水泳、ペット(犬、猫、亀、金魚)の飼育。主夫業歴も10年を誇る!
新刊情報