脳の比喩 : 詩集
(著) 今川正樹
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―この科学のある世界を、詩人の心でみる―
光がなかったら/万華鏡の発明はなかった/だが/外界の光が七色であり/目元に漂う心は変幻である/この条件がなければ/万華鏡にたわむれる子供らの手指の/愉しみはなかっただろう/今日も/旅先の土産店の/片隅に万華鏡が眠っている/うっすらとほこりをかぶったままで/スリガラスのなかで/それは不思議な未来を散りばめているのだろう(「遺物」より)
無限の時の彼方、広大な地平の彼方、そして人の心の彼方を、詩人は科学と文学の言葉にのって新たな表現の地平を目指す――透き通るような感性が瑞々しい言葉の世界に交錯する詩人・今川正樹の初期詩集。
[目次]
Ⅰ
脳の比喩
沈黙野(ちんもくや)
春風の都市
脳の画・像
褄処
原子
人間の機械が観て来た風景
コピー
心と脳
自我と分子膜
時間の比喩
地球の彼方にて
Ⅱ
局所場
言葉
不安
五月の気分
触れ合い
風景としての灰皿
指
意識
感傷につぶやいて
遺物
老婆
風景
あとがき
著者略歴
[担当からのコメント]
私たちの生活世界にも時間の流れがあるように詩の世界にも時の流れがある、本書に収められた作品を読んでいると、ふとそんなことを思ってしまいます。精密な言葉の歯車をカチカチと鳴らしながら刻まれる、ときとして機械仕掛けの夢のようにも感じられる詩人の世界を、どうぞじっくりとお楽しみください。
[著者略歴]
今川正樹(いまがわ まさき)
1945年3月生まれ。
神戸大学医学部大学院医学研究科単位修得後退学。
医学博士。現在、今川クリニック(精神科)院長。
http://www.imagawa-clinic.com/
「詩集 忘れられた日々」(2003年)リム出版新社・刊
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