考えるとおかしい日本語――貴方は「ぢ」と「じ」の違いが分かりますか:歪められる国語の歴史と再生への道
(著) 土屋秀宇
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――戦後最大の国語問題論争「福田vs.金田一論争」は、小泉信三が『文藝春秋』に発表した「日本語」である問題を白紙に戻すことを主張したことが発端でした。その問題とは、次のどれでしょうか。
1.当用漢字問題、2.仮名遣い問題、3.公用語問題
正解は、本書第8章「一大社会事件にまで発展 福田vs.金田一の大論争とは?」をご覧ください。
ある小学生が読み書きテストで「地面」に「ぢめん」と振り仮名をつけたところ、不正解となりました。地面の「地」は地球の「地」なのだから「じめん」ではなく「ぢめん」の筈だと小学生に問われた先生は、返答に窮してこう言いました――「それは決まりだから」。さて、あなたならどう答えますか? 漢字と仮名という独自の表現方法を持つ日本語の中にある矛盾を解き明かし、危機に瀕している国語教育の今を鋭く抉る、日本人のための新しい日本語論。
[目次]
まへがき
プロローグ あなたは日本語が変なことに 気づいていますか?
「鼻血」は「はなぢ」なのに、 どうして「地面」は「じめん」なのか?
火によってとけるから「熔岩」なのに なぜ「溶岩」と書くのか?
素朴な疑問! なぜローマ字が 義務教育に組み込まれているのか?
第1章 あの有名人が漢字を廃止しようとしていた?
一円切手の人、前島密(ひそか)が 将軍慶喜に漢字廃止を建白
新井白石も福沢諭吉も 漢字制限派だった!
わずか二六文字に幻惑された 江戸・明治のインテリ層
第2章 「西洋に追いつけ」が主流の中で 翻弄された国語
書き言葉と話し言葉を統一せよ! 携帯メールの原点は明治時代にあり?
かな派、ローマ字派 漢字廃止を主張する二大派閥が誕生
〝妖怪博士〟も「異議あり!」 漢字擁護派が反論を開始
小学校に「国語」が登場したのはいつ? その目的には何があった?
これじゃまるで漫画!? 大顰蹙(ひんしゆく)の「棒引き字音仮名遣い」
第3章 漢字廃止に連動する仮名遣い論争勃発!
〝柔道の祖〟嘉納治五郎も参戦!? 文部省「国語調査委員会」って何?
国語施策の「官」のリーダー 上田萬年を知っていますか?
歴史的仮名遣いをなくすな!! 鷗外・龍之介も猛反対
第4章 近代国家に漢字はいらない?
敗戦、復興… そして漢字狩りが始まった
これはGHQの陰謀か!? 国語改造計画がスタート
志賀直哉の妙案? 公用語をフランス語にせよ!
『路傍の石』の作者が ルビ廃止を強硬に主張
GHQが子供たちを実験に使った!? 日本語がどんどん変わってゆく…
第5章 何か変? ゆがんだ国語が続々誕生!
吉田茂も関係していた!? 現代かなづかい&当用漢字表が登場
当用漢字表は漢字全廃を 前提に作られていた!?
佐藤栄作もびっくり! 「何、俺の名字もない!?」
「時計」を「と計」と書く… ここまでやるか!? 当用漢字音訓表
代用漢字は所詮 「本物」ではなかった!?
子供たちを漢字嫌いにした!? 当用漢字字体表
整形手術に失敗!? 醜くなった省略漢字
第6章 まだまだ続く、ゆがんだ国語
ゴジラ松井が「松いひで喜」? 「学年別配当漢字」は不思議だらけ
二年「道」、三年「路」「横」、五年「断」 四年がかりで「横断道路」が完成?
「弘」も「彦」も使えなかった!? 人名用漢字問題の根っこはどこにある?
第7章 「現代かなづかい」が人々を混乱させた!
発音通りの表記で本当にいいの? 何だかおかしい「現代かなづかい」
「現代かなづかい」は まさに「ふ抜け」!?
「ゐ」と「ゑ」を読めますか、使えますか? 五十音図を見直してみよう
どうすればいいの? 「ぢ」と「じ」の使い分け
ややこしすぎます!? 「送り仮名」の決まり
第8章 戦後、ついに国語問題大論争が勃発!
一大社会事件にまで発展 福田vs.金田一の大論争とは?
財界、文学界の大物が動く! 「民」による「國語問題協議會」が発足
世界的な癌博士が激怒!? 「漢字仮名交じり文を国として認めよ!」
金田一京助の息子も認めた!? 「戦後国語施策」の誤り
第9章 日本語は今も狙われている?
当用漢字を改訂した 「常用漢字」が登場
「現代かなづかい」の矛盾を引きずる 改訂「現代仮名遣い」
未だに脱皮できない 「新聞用字用語集」
第10章 国語再生の鍵を求めて
最初から〝本物〟を子供に教える 「正書法」教育のすすめ
「読み書き分離学習」と 「漢字の体系的学習」で子供が変わる
幼児や知的障害児が好む 漢字の不思議
エピローグ 国語が変われば、日本は変わる
訓読みを発明した 日本人の素晴らしき可能性
「漢字仮名交じり文」の 素晴らしき表現力に感謝!
日本人のアイデンティティは 「国語」にあり
美しい日本語のしらべを 取り戻したい
[主な参考文献]
著者略歴
[担当からのコメント]
仮に人口に膾炙すれば誤った用法が正しくなっていくとしても、言葉とはいったい誰が作るものなのかということを、本書はあらためて私たちに考えさせる内容になっています。単なる雑学や体裁ではなく、本当に日本語を愛して使いたい方には格好の一冊です。
[著者略歴]
土屋 秀宇 (つちや ひでお)
1942年、千葉県生まれ。千葉大学教育学部英語科卒業。小・中学校の校長を歴任。船橋市立法典東小学校校長時代に手掛けた実践研究「自ら学ぶ力を育てる漢字指導」が、第43回読売教育賞を受賞。NPO法人日本漢字教育振興協会理事長などを歴任。現在、「楽しい親子国語教室」の出前授業や、教職員研修、講演等を通じて、国語教育の正常化に努めている。
また長年にわたる幼児教育の実践から、人間として最も大切な「情緒・徳性」は、乳・幼児期における母子の「愛着形成」と「愛語」によって育まれることを実感。一般社団法人「母と子の美しい言葉の教育」推進協会を立ち上げ、会長としてその普及に全国を奔走中。
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