神話紀行: 日本の神話から見る古代の謎と智慧
(著) 配山實
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「古事記」と「日本書紀」は、日本古代史の見直しには欠かせない二つの史書です。本書は、この二つの史書をそれぞれの視点から比較分析し、従来の常識を超えた新しい読み解きを試みています。
「古事記」は、古い出来事(古事)を記録したもので、その序文にある「帝紀及び本辞」を基にしています。ここでの「古事」は、古い倭の時代における最も重要な行事を指します。
一方、「日本書紀」は「帝紀と本辞」を歪曲し、史書としての体裁を整えた擬似史書と言えます。「古事記」は、これに対抗するため、「帝紀と本辞」を修復する目的で作成されました。
[目次]
序 古事記の凄さ
古事記の凄(すご)さ、日本書紀の強(したたか)さ
一 日本書紀を糾弾した最初の人物は天武天皇
二 神世七代(かみよななよ)の意義
三 天津神(あまつかみ)と国津神(くにつかみ)
四 五柱(いつはしら)の別天神(ことあまつかみ)
五 神世七代
六 記と紀の神系列の違い
七 大八島生(おほやしまう)み神話
八 筑紫(つくし)島を女陰(ほと)に見たてた神話的宇宙観
九 受精卵の姿形が小豆(あづき)状であることを物語る児島生(こじまう)み神話
十 黄泉国(よみのくに)神話
十一 禊(みそぎ)の原義は「身削(みそ)ぎ」
十二 天照大御神(あまてらすおほみかみ)とスサノヲ命(みこと)
十三 大気津比売(おほけつひめ)神話
十四 八俣大蛇(やまたのおろち)の正体は
十五 稲羽の白兎
十六 大汝(おほなむち)・少彦名(すくなびこな)神話
十七 国譲り神話
十八 日本書紀の国譲り
十九 天孫降臨神話
二十 猨田彦大神と猨女君(さるめのきみ)
二十一 木花咲夜姫(このはなさくやひめ)物語
二十二 海幸・山幸物語
二十三 神武東征神話
二十四 神倭命(かむやまとみこと)東遷神話
二十五 神倭命艮紀行物語(かむやまとみことうしとらきこうものがたり)
二十六 亡母・娘・更に娘の胎内児(はらちぬのこ)、三人三様の神倭伊波礼毘古(かむやまといはれびこ)命
二十七 久米歌(くめうた)とタブー
二十八 弟宇迦斯(おとうかし)と吉備津彦(きびつひこ)と桃太郎
二十九 悲劇の英雄ヤマトタケル
三十 タケル物語
三十一 倭建命(やまとたけるみこと)の死の晴れ舞台
三十二 神功皇后物語
三十三 胎中神の名で討ち取られた背の君
三十四 新羅討ち神話と万葉巻十五の関係
三十五 石之媛(いはのひめ)物語と石長媛(いはながひめ)神話
三十六 胎児信仰の権化と見なされた柏
あとがき
著者略歴
[出版社からのコメント]
歴史書の中でも有名な「古事記」と「日本書紀」、読み直してみるとこれほど多くの違いがあったのかと驚嘆させられます。記紀の裏にはどのような人の思惑や動向があったのか、本書はそれを解き明かして、それぞれの視点から分かりやすく説明されています。比較対象である「日本書紀」を用いて「古事記」の素晴らしさがより一層証明されている一冊だと感じました。本書を通して「古事記」の凄さ、「日本書紀」の強さを多くの方に共感していただければ嬉しく思います。
【著者プロフィール】
配山 實(はいやま・みのる)
1937年鹿児島県奄美(あまみ)大島に生まれる。
青春時代はヨーロッパ文化に心酔し、特にドイツ哲学に魅了され、独学でハイディカーの『存在と時間』まで読破した後は興味を失い東洋の「日本学」に目覚める。先進大国になった日本を知りたいがため古典、特に記・紀・万葉の重要さに気付き「記紀発掘」をライフワークにしている。
著書に
『縄文の巫女(みこ)の道』
『倭(わ)と日本』
『奥のおくの細道』
『古事記の凄さ』
『鬼道の教典、古事記を読む』
『芭蕉と子規』
『浦島子魏伝』只今取り組み中。
本書では、「古事記」と「日本書紀」の対照的な特徴とその重要性を再評価し、古代史を新たな視点で見直すことを提案しています。
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