研究 自らの老後をいかに生き、いかに生き終えるか -後からくる老人たちへ-【電子書籍版】
(著) 嵯峨山由範
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―「自分」という老人は、老後をいかに生きていかに死ぬのだろうか―
「老後」とは何か。この人生の最終章を一括りに語ることは難しい。誰もが自分の「老後」を自分でつむぎ出して行かなければならず、そこには「老いをいかに生き、そして、いかに生き終えるか?」という難しいテーマが潜んでいるからである。超高齢社会を迎えた現代の日本で老後を生きるとはどのようなことなのか、そしてそこに豊かな老後を見出すことはできるのか、本書では「一人称」の老後を念頭に人間の尊厳、介護、終末医療、死の概念と文化など様々な視点からこの問いに挑む。現代日本が抱える問題に鋭く切り込んだ示唆に富む思考の書。
[目次]
序章一人称の老後…自らの問題としての老後
第一章日本の老人問題
1.日本の人口動向と高齢者人口の推移
2.日本の社会保障
3.医療費の増大
4.国家財政に占める社会保障費
5.医療費の財源
第二章人の生涯の諸段階(ライフサイクル)
1.幼少年期(身体づくりと学びの時代)
2.青壮年期(仕事と家族形成の時代)
3.老年期(使命なき時代)
第三章 日本の高齢者介護の制度的足跡
1.恤救規則(じゆつきゆうきそく)(1874(明治7)年太政官通達第162号)と 救護法(1929(昭和4)年制定)
2.家庭奉仕員の誕生と養老院
3.「老人福祉法」の制定(1963(昭和38)年)
4.「老人福祉法」以降、70年代までの高齢者福祉
5.「老人保健法」の制定(1982(昭和57)年)、改定(1986(昭和61)年)
6.「高齢者福祉推進十カ年戦略」(1989(平成元)年)と 「新・高齢者福祉推進十カ年戦略」(1995(平成7)年)の実施
7.介護保険法の成立
第四章高齢者介護というもの
1.介護とは何か
(イ)高齢者介護の基本三原則
(ロ)三大介護(介護現場の現実)
(ハ)介護労働論
2.介護と医療
3.施設介護か、在宅介護か
4.認知症問題
(イ)認知症とは
(ロ)認知症の問題性
(ハ)大牟田市の試み「徘徊SOSネットワーク」
(ニ)認知症と成年後見制度
5.介護要員の不足
(イ)介護職員の離職実態
(ロ)介護職員の給与動向
(ハ)介護職員の社会的地位
(ニ)外国人介護福祉士の導入
(ホ)介護と裁判
6.介護保険制度の実施状況(財政問題)
第五章人間の尊厳について
1.「人間の尊厳」とは何か
(イ)「尊厳」という言葉
(ロ)メメント・モリ
2.「人間の尊厳」のルーツ
3.カントによる「人間の尊厳」
4.「人間の尊厳」と憲法
5.「人間の尊厳」と〈尊厳感覚〉
6.自己決定権について
(イ)自己決定権と憲法
(ロ)自己決定権をめぐる二つの論理
第六章終末期医療・ケアについて
1.昭和天皇崩御
2.「終末期」の定義
3.終末期医療と倫理問題
4.人生の最終段階における医療に関する意識調査
第七章安楽死と尊厳死
1.高瀬舟
2.安楽死と生命倫理
3.安楽死事件と法
4.安楽死・尊厳死と刑法
(イ)安楽死の刑法的意義
(ロ)尊厳死と刑法的意義
5.オランダの安楽死法
第八章死について
1.「死」とは何か
(イ)キリスト教的な死生観
(ロ)イスラム教の死生観
(ハ)インドの輪廻思想
2.さまざまな死
(イ)弔い
(ロ)死後の住処
(ハ)自殺について
3.日本人の死に様(よう)
(イ)平均余命と健康寿命
(ロ)死に場所
(ハ)死因分析
4.人は死をどのように受け入れていくのか
(イ)E・キュブラー・ロス『死ぬ瞬間』に見る「死の受容の過程」
(ロ)認知症を経て死に至ることの意味について
(ハ)昔の死と今の死
(ホ)看取り
(ヘ)他人の死と自分の死
5.死はどのように確認されるのか
(イ)生物学上の死
(ロ)魂の死、死後の世界
終章
終わりに
謝辞
注釈
《参考文献》
著者略歴
[著者略歴]
嵯峨山由範(さがやまよしのり)
昭和15年徳島県生まれ。一橋大学法学部卒。
住友金属工業(株)・(株)マルヨシセンター勤務の後、一橋大学社会学部学士入学、
同社会学研究科修士課程修了、専攻は福祉社会学。
翻訳:『マルティナ』―大戦孤児312号―(原著:Hans-Ulrich Horster, Suchkind312)。
現在、香川県高松市在住。
[担当からのコメント]
若いころには観念的な存在である「老い」や「死」が自分の現実となって目の前に現れたとき、それとどう向き合い生きていくのか。この困難な問いに真正面から挑んだのが本書です。そこにあるのは、他でもない私や貴方の「老い」と「死」。ぜひ多くの方に手に取っていただければ嬉しく思います。
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