看護のこころ: 忘れえぬ精神科病棟の人たち
(著) 広野照海
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本書は日本ハンセン病学会第11回コ・メディカル学術集会において、研究発表を行った「『クライエント』の認識について」を加え、増補版として刊行したものです。
わたくしは、昭和三八年八月より国立療養所多磨全生園精神科病棟に勤務しましたが、神経疾患(ハンセン病)は手足等に傷や熱傷を負っても局所の安静が保たれにくく、精神障害の合併により療養上の課題への対応に、しばしば無力感を覚えたものです。
こうしたなかで、優れた医療技術の開拓に果敢に立ち向かわれる医師・上司のもと、学ぶ機会に恵まれたことは幸せでした。
長年多くの方々に辛苦を与えてきたハンセン病は、ようやく鎮静の期を迎え、平成八年四月「らい予防法」は廃止され、その役割を終えました。
昭和六三年九月、わたくしは樋口康子日本赤十字看護大学教授(当時・のち学長)のご講演を拝聴し、「看護の本質はいまだ明確になっていない」と伺ったことは忘れられません。こうした大きな問題提起に対し、真摯に応えていくことが、同職のみなさんに求められた未来の灯し火ではなかろうかと思います。
著者プロフィール
広野 照海(ひろの てるみ)
看 護 師
日本看護協会会員
東京都看護協会会員
日本ハンセン病学会会員
日本家族看護学会会員
日本トゥレット協会監事
季刊『銀河』同人(筆名 平瀬亘)
大正14年岩手県奥州市生まれ 太平洋戦争中陸軍軍属として東南アジアに従軍
昭和23年より警察官、精神病院職員など
昭和37年岩手高等看護学院卒業
昭和38年8月より国立療養所多磨全生園に勤務
昭和61年3月定年退職
平成18年3月放送大学卒業
著書
『広野照海作品集』(近代文芸社)
『看護論への歩み』(ゆるみ出版)
ほか
©広野 照海 (P)22世紀アート
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