病理医の現場30題──症例から学ぶ第一線の病理診断
(著) 高柳尹立
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―治療に重要な最初の一歩を影で支える仕事とは―
第一線の病理医は、日々の業務の中で次々と押し寄せる標本を精密に観察し、正確で迅速な診断と報告を行わなければならない。時には深刻な悪性疾患や稀有な病変、病変か否かの鑑別が難しいケースなど一筋縄ではいかない難解症例にぶつかることもあるし、検体の採取・固定・運搬のそれぞれの過程で細かい配意も必要であったりと、病理医や技師たちの苦労は絶えない。しかし、だからこそ病理診断には他にはない面白さがあるともいえるーー病理診断の現場に身をおく著者が、印象強く教訓的な30題を選んで考察を加えながら、第一線の病理医の世界の醍醐味を綴ったガイドブック。
[目次]
第一線の病理診断にかける思い
1.富山市医師会健康管理センターにおける病理診断の目標
2.当センターにおける病理診断の現状
3.当センターで働く病理医の苦悩と歓び
4.当センターにおける病理診断の限界
5.検査センター病理部門の問題点と将来への方向性
6.美しい病理組織標本をつくるコツ――当センターの取り組み
第一線の病理診断から得られた教訓的症例
1.脂腺癌の多くは眼瞼に発生する
2.増殖活性の強い毛母腫(石灰化上皮腫)
3.比較的稀な毛包性過誤腫の3例
4.毛芽腫と基底細胞癌、両病名の使い分け
5.切除してみて驚いたメルケル細胞癌
6.色素性蕁麻疹疑いの小児皮疹よりLeukemia cutisが指摘される
7.同一病院において相次いで経験された下腿悪性リンパ腫2例
8.異型性強い顔面の皮膚腫瘍に驚く
9.皮膚生検からPOEMS症候群が導き出された症例
10.出血性の鼻茸は形質細胞腫であった
11.時たま耳下腺のオンコサイトーマにお目にかかる
12.特異な内視鏡所見を呈した薬剤性食道炎
13.逆流性食道炎の経過中に出現した異型細胞の判定
14.アミノインデックスが見つけてくれた早期胃癌
15.胃癌の疑い濃厚なるもその確認に難渋した2症例
16.比較的稀な胃型腺腫
17.単純な胃腺腫として片付けられたが、その陰に・・・
18.十二指腸に発生する特徴的な濾胞性リンパ腫
19.アメーバ大腸炎を相次いで2例経験する
20.直腸の有茎性腫瘍は無色素性悪性黒色腫であった
21.腹膜の転移結節は胃癌由来か、結腸癌由来か?
22.膀胱粘膜の多発性腫瘤の組織所見は?
23.間質性膀胱炎の経過中に発生した膀胱癌
24.針生検と2年後のTUR検体において大きく像を異にした前立腺癌
25.前立腺にみられるIgG4関連病変
26.術前の生検と術後の病理診断の食い違う子宮腫瘍
27.発生部位が特徴的な弾性線維腫
28.比較的急速に増大してきた左肩部の軟部腫瘍
29.意外な遺伝子診断を得た右踵部の皮下腫瘍
30.下部脊髄に発生しやすい粘液乳頭状上衣腫
経歴のあらまし
お礼のことば
[担当からのコメント]
私たちは病院に行けば何の病気か分かるのが当たり前と思っていますが、本書はそうした信頼を支える病理医の方々の仕事を垣間見ることができます。医療関係者はもちろん、一般の方が読んでも面白い内容となっています。ぜひご一読ください。
[著者略歴]
高柳 尹立
たかやなぎ のぶたつ
経歴のあらまし
1929年(昭和4年)生まれ
1953年(昭和28年)金沢大学医学部 卒業
1954年(昭和29年)金沢大学医学部病理学教室 専修生
1955年(昭和30年)金沢大学医学部病理学教室 助手
1959年(昭和34年)金沢大学医学部 講師
1960年(昭和35年)倉敷中央病院医学研究所 主任
倉敷中央病院附属高等看護学院 講師
同 臨床検査センター 主任
1968年(昭和43年)富山市民病院研究検査科 部長
富山市立高等看護学院 講師
1977年(昭和52年)富山市民病院 副院長
金沢大学医学部 非常勤講師
1994年(平成6年)富山市民病院 院長
富山医科薬科大学 非常勤講師
1995年(平成7年)富山市医師会健康管理センター 副所長
富山市医師会看護専門学校 講師
1999年(平成11年)富山市医師会 参与 常勤 病理診断医
2018年(平成30年) 同上 非常勤 病理診断医
~ 現在に至る
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