生物学者、「共生」社会を語る──進化論的競争から生命論的共生へ

(著) 山﨑文雄

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[商品について]
―競争社会は、人類に何をもたらしたか―
競争は自然の中の掟であるという生物進化論の視点からは、現在の人間社会が競争原理に支配されているのも当然のように思える。しかし地球上に存在する多様な生命を見ると、生物界が競争だけで保たれている訳ではないことにすぐに気がつく。進化論を徹底的に活用した20世紀が終わり新たな時代に入ったいま、我々は「競争」から「共生」へとシフトすべき時期にきているのである。ーーダーウィン進化論への疑問から科学と宗教の対立、人と資源、倫理観の問題まで、ながく水産学研究に身をおいてきた著者が、生物現象の様々な場面で見られる「共生」をキーワードに21世紀の人類社会のあり方を提言する示唆に富む一書。

[目次]
はしがき
序章 ひとりの生物学者として
生きものの不思議
命に対する科学の関わり
「共生」の考え方
第一章「競争社会」から「共生社会」へ
ダーウィン進化論への疑問
進化論の社会への応用
競争を叫ぶ根拠
競争がもたらしたもの
求められる「共生社会」
第二章 科学と宗教の共生
科学と宗教の対立
アインシュタインの宗教観
科学と宗教の和解
第三章 外国人との共生
国際化と国際交流
国際交流の条件
民間による国際交流
共生のまち・函館
第四章 自然と人との共生
生きものの多様性
遺伝資源の保全
自然との折り合い
第五章 共生をもとにした日本の道
欧米の文明と日本
日本人の自然観と倫理
日本人のこころの問題
むすびにかえて
著者略歴

[担当からのコメント]
競争社会がもたらしたもの、それは一部の勝者と大量の敗者、そして社会に澱のように積み重なっていく徒労感ではないでしょうか。そんな澱の中をこれからも生き続けるのか、ぜひ本書を通じて多くの方に考える機会を持っていただけたら嬉しく思います。

[著者略歴]
山﨑文雄
一九三五年札幌市生まれ、札幌市立豊平小学校、札幌商業高等学校併置中学校、札幌南高等学校、北海道大学一般教養部理類入学、水産学部移行、北海道大学大学院水産学研究科博士課程単位修得、水産学博士
一九五五年(昭和三十年)函館へ移住、日本学術振興会奨励研究員、北海道大学水産学部助手、助教授、教授(発生学・遺伝学講座担当)歴任
一九九九年退職、北海道大学名誉教授
函館・ハリファックス協会初代および六代会長、文部省学術審議会専門員、日本学術会議育種学研究連絡委員会委員、財団法人函館市文化・スポーツ振興財団理事長、函館市青少年問題協議会副会長、財団法人北海道国際交流センター代表理事、財団法人南北海道学術振興財団理事長、歴任
学術論文 単著共著合わせて九三篇、学術報告書二六、著書分担執筆七、エッセイ多数
日本水産学会奨励賞、日本水産学会功績賞受賞、文部科学省社会教育功労表彰、函館市功労者

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