生かされて生きる-私の十七音人生-
(著) 山内美恵子
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「『あなたは、まだ使命があるからこそ、五度も脳梗塞に見舞われながらも、こうして生かされているのですよ』私は、静かに自分の思いを溢れさせた。夫は涙でくもった目の端を指でぬぐった。うつろで精彩を欠く夫の目に、心なしか光が宿る。それは、咲き満ちた花のごとく、張りつめていた空気を和らげた。夫に希望の光が、かすかに感じられた」(本書より)
夫の老老介護、亡き友や恩師との思い出、ふるさと・福島のこと――半世紀にわたり句作を続け、言葉と向き合ってきた作者が、人生の黄昏の日々をあたたかく綴る。
優しく真摯に「いのち」を見つめる、感動の第三随筆集。
さくらさくらまぶしいほどに退院す
さへづりを招きて夫の散髪す
書かねばとわが身押し出す今朝の秋 (本書より)
【著者プロフィール】
山内 美恵子(やまうち・みえこ)
一九四〇年福島県生まれ。一九六〇年度郡山女子大学短期大学部卒業。
二〇〇〇年「誕生日の贈り物」で第四十二回「日本随筆家協会賞」受賞。
著書に随筆集『優しい眼差し』『慈しまれるいのち』、共著に『心に響いたことば』『思い出のアルバム』『愛のかたち』『愛の花束』(以上、日本随筆家協会)、現代詩歌集『薄浅葱色』『鏡花水月』『うつろひ』(以上、美研インターナショナル)。
俳誌「森の座」会員。
東京都東村山市在住。
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