現代医療に漢方を生かす小史─元気で楽しく生きるため

(著) 山本昌弘

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作品詳細

西洋医学と漢方を取り入れて、健やかに生きるためのバイブル

疾患別に、西洋医学と漢方の処方内容もわかる!


ドラッグストアやSNSでも、人気の漢方薬。

健康のために、漢方をとり入れている人も少なくないだろう。

西洋医学と漢方はとかく比較されがちだが、それぞれの特性を生かしつつ、自身の健康ライフに活用していくことも可能だ。

本書には、現代医学に漢方を生かす方法が記載されている。漢方に興味がある人、自分に処方されている薬とはどんなものなのか知りたい人などが読むと、より満足度の高い一冊になるだろう。


漢方に関するエキスパートが作った本
 著者の山本昌弘氏は、1960年代から漢方生薬や漢方処方の基礎医学的研究(生化学、内分泌、代謝、抗炎症作用など)を行ってきた。歴史の長い漢方薬の持つ、現代医学的な側面に畏怖の念を抱き、臨床の場でも漢方医療に携わりつつ、現代医学的な検証も行ってきた。いわば漢方の現代医学的検証のエキスパートである。

 本書には、西洋医学と漢方の両面から、病気ごとに薬の処方内容が記されている。辞書と実用書を兼ね備えた作りの本だ。自分にとって必要なものが何かわかりやすい構成になっている。

 たとえば不眠症の欄には、こう記されている。

症例
27歳女性
寝付けない。眠れたとしても、眠りが浅くすぐ目が覚めてそのまま朝まで。仕事に差し支える。しばしば、レンドルミン(0.25mg)1錠を眠前に服用していた。

処方
西洋薬をのんでいるときは、一度に完全中止でなく、減量して、漢方薬を上乗せする方が良い。徐々に漢方薬単独に切り替える方向で。


 そのうえで、どのような症状のときは、どんな漢方を処方すべきか記載されている。書き方は病名によって若干異なり、症例はなく、端的に漢方名と症状だけが記載されるケースもある。

 いずれにせよ、具体的な症状が掲載されているため自分はどれに当てはまるのか、一目瞭然だ。

漢方薬は、ダイエットにも有効
 本書には漢方薬が、肥満に対しても有効だと記されている。西洋医学で抗肥満薬として出されている食欲抑制剤「マジンドール」を用いた臨床比較試験では、ダイエットの効果は3カ月で体重平均3kg減だったそうだ。

 漢方薬「防風通聖散」を用いた臨床比較検査では、マジンドールと同様の3kg減だったが、同じ漢方を使った56歳の男性が、同期間で16kg減量したケースもあったと記載されている。ただその男性は、減食と有酸素運動も行ったそうなので、大幅減量を目指す場合は薬にだけ頼っていてはいけないことがわかる。

 本書にもしっかりと

「要はやせるぞという強い意志が基本的に重要である」

 と記されているので、肝に銘じておく必要がありそうだ。

現代医学と漢方で、元気な日々を
 本書ではあくまでも現代医学に漢方を生かす方法が書かれている。最初から漢方薬を推奨しているわけではない。月経異常・無月経などの症状の場合は「婦人科的検査が先行すべき」と記されているのが、いい例だ。

 上手に現代医学と漢方を活用して健やかな日々を送りたいと考えている人には、ぜひ読んで欲しい本である。

文・夏野久万

[著者プロフィール]
山本 昌弘(やまもと・まさひろ)
和歌山市出身
大阪大学医学部卒
大阪大学大学院医学研究科内科学第3講座を経て、医学博士(阪大)
千葉大学医学部内科学第2講座元助教授
公益財団法人日本生命済生会日本生命病院元院長・名誉院長
大阪市西区医師会元副会長
医療法人医誠会医誠会病院未病治療センター所長・漢方外来
中馬医療財団中馬病院内科・漢方外来を経て、現・医療法人佳真会なかむらクリニック院長
認定内科医・内分泌代謝科専門医・未病医学認定医
和漢医薬学会名誉会員・元理事、日本内分泌学会功労評議員
和漢医薬学会賞受賞

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