現代ロシアの文学と社会 : 「停滞の時代」からソ連崩壊前後まで

(著) 大木昭男

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[商品について]
―文学ほど民俗、社会、そして国家をうつしだすものはない―
1991年のソビエト「社会主義」国家体制の崩壊は、同時に「社会主義リアリズム」という名の創作方法を根幹に据えた「ソビエト文学」にも終焉をもたらした。人々の涙を怨嗟の上に建てられ、その当初から崩壊を運命づけられていたソビエト「社会主義」とは、そして「ソビエト文学」とは何だったのか。停滞から終焉に向かうソ連の社会と文化的状況を背景に時代の波にさらされた「ソビエト文学」の意義を探り、その後の現代ロシア文学に繋がる潮流と展望を代表的作家であるワレンチン・ラスプーチンを中心に考察しながら、「ロシア」社会に文学から切りこんだ示唆に富む論考集。

[目次]
はしがき
Ⅰ 「停滞の時代」から「終焉」へ
第一章 文学・文化面から見た「停滞の時代」のソ連
第二章 ロシア民話とソビエト文学
第三章 ソ連作家同盟第八回大会について
第四章 ソ連における「ペレストロイカ」時代の文学状況
第五章 スターリン時代を描いた二つの長編小説
第六章 「社会主義リアリズム」の消滅
第七章 政変前後のソ連作家同盟
第八章 「ソビエト文学」とは何であったのか?
Ⅱ 荒廃の現実から再生をめざして
第一章 ラスプーチン文学のキーワード
第二章 魂喪失の危機への警鐘
第三章 中編『マチョーラとの別れ』における謎掛け的な箇所について
第四章 中編『火事』について
第五章 ロシアの再生をめざす「土壌派」作家たち
第六章 ラスプーチンに聞く
Ⅲ ソ連の末期とロシア
第一章 リトアニア市民の素顔
第二章 ソ連――一九八九年の熱い夏
第三章 ソ連における文学者とエコロジー問題
第四章 ロシア――一九九二年の春
第五章 ロシアは何処へ行くのか?
第六章 ドストエーフスキイの予言と社会主義
著者紹介

[担当からのコメント]
私たちにとって永遠の隣国であるロシアを理解するためには、やはりその文学を読むのが一番良いと本書を読んで改めて思います。倦厭されがちなロシア文学を見直す一書として、ぜひ本書を多くの方に手に取っていただければ嬉しく思います。

[著者紹介]
大木 昭男(おおき てるお)

1943年 東京都に生まれる
1968年 早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了
のち同博士課程単位取得退学
1971-72年 モスクワ大学留学

現 在 桜美林大学名誉教授
専 攻 ロシア文学
著 作 『ロシア文学の世界』(共著)文化書房博文社 1978年
    『ソ連は笑う』エンタプライズ 1981年
    『ロシア最後の農村派作家──ワレンチン・ラスプーチンの文学』群像社 2015年
訳 書 ヴィクトル・ペルツォフ著『マヤコーフスキイ生活と創造』(共訳)現代書林 1975年
    ワレンチン・ラスプーチン作『病院にて──ソ連崩壊後の短編集』群像社 2013年
論 文 マヤコーフスキイとドストエーフスキイ他

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