燧灘(ひうち)の城:三豊総合病院はいかに「創造」されたのか――香川の地で患者のための医療という理想に挑んだ人々
(著) 今井正信
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―病院の歴史とともに、理念を追い求めた人々の軌跡―
人口約58万人の香川県観音寺市にある三豊総合病院。現在は西讃地方を代表するまでになったこの病院は、患者さんのための医療という理想の実現を目指して、医師やスタッフ、地域の住民など多くの人々が奮闘したその歴史の上にある。本書は、その三豊総合病院の院長として自身も運営に携わった著者が、病院の設立から現在までの歴史の歩みを過去の議事録や記憶に残る多くの人々の姿と共に振り返った作品である。地域医療や病院のあり方について考えるうえでも、示唆に富む内容となっている。
[目次]
すべては患者さんのために
はじめに――
第Ⅰ章 病院の設立 昭和二〇―三〇年代
三豊第一病院の設立
豊田寛先生との出会い
チベット奥地のようなへき地
市来修先生の活躍――病院組合議会議事録より
第Ⅱ章 赴任 昭和四〇年代 1
生まれ育った瀬戸内の町
当時の豊浜駅周辺
赴任前のできごと
視察の日
第Ⅲ章 病院を受け継いで 昭和四〇年代 2
初期の診療
人材探し――七人の侍
侍1、谷川高先生
侍2、坪井修平先生
侍3、有馬暉勝先生
侍4、後藤有三先生
侍5、大屋崇先生
侍6、広畑衛先生
侍7、私、そして大勢の医師たち
看護婦を探して
院内の同志たち
首長と病院組合議会
お祭りの中で
医者同士の戦い
院長就任
昭和四〇年代の病院を振り返って
第Ⅳ章 広域圏運営への発展 昭和五〇年代
広域圏運営にしたい
病院経営の強化対策
瀬戸内地域、皆の病院だ
医療の充実へ――次世代の侍たち
地区医師会を揺るがす事件
悲しみと喜びと
第Ⅴ章国保診療施設協議会本部へ 平成元年――一〇年代
一市四町立病院になってからの課題
へき地医療を支えた人たち
市町村における保健・医療・福祉連携(平成四年アンケート調査)
厚生省とのつながり
国保直営病院、診療所の類型化事例(平成七年国保中央会アンケート)
1保健・医療・福祉の連携に必要な行政の一元化
2、国保直診を核として
3、命令系統を一元化する行政機構の改革を
全国行脚
「地域包括医療・ケア」と「国保直診ヒューマンプラン」
第Ⅵ章 こんな病院にしたかった
広域圏における地域包括ケアシステムの構築
世界の動向を見に行く
ドイツとスウェーデンの医療と福祉(第一回欧州医療福祉視察研修旅行)
カナダとアメリカの在宅ホスピスケア(第六回国診協保健医療福祉視察旅行)
オーストラリアの認知症対策(第九回国診協保健医療福祉視察旅行)
広域圏(一市四町組合立)病院になるまでの保健・医療・福祉活動
地域医師会内部の活動と住民の連携
国立結核療養所を西香川病院へ
保健・医療・福祉の動きに対する三豊総合病院のあり方
二一世紀の三豊総合病院
おわりに――今後の三豊総合病院への期待
三豊総合病院の歴史と現状
住み慣れた場所で安心して暮らすために
「その後の三豊総合病院」(次世代への提言)
三豊総合病院 院章 基本理念
老人保健施設わたつみ苑
在宅医療
病診連携
移動健康教室
病院まつり
新型コロナウイルスの診療体制について
新型コロナウイルス感染症蔓延の中で病院経営を考える
三豊総合病院年表
[参考文献]
著者略歴
[出版社からのコメント]
医療の在り方は地域によって意見が分かれるのかもしれませんが、患者のための医療という理想は、どの地域であっても変わることのない価値観ではないかと思います。本書では、その理想を様々な困難に立ち向かいながら実現しようと奮闘した人々の足跡が、当事者の一人である著者の目線で語られています。医療の危機が叫ばれる今、改めて地域医療や病院のあり方について、医療サービスを受ける側からも考える一助として、ぜひ本書を多くの方にご活用いただければ嬉しく思います。
【著者略歴】
今井 正信(いまい・まさのぶ)
昭和8年香川県生まれ。
昭和34年岡山大学医学部卒業。専門は内科循環器学。昭和43年より三豊総合病院に勤務。内科医長、副院長、院長を経て、現在は名誉院長。
平成5年から全国国民健康保険診療施設協議会に参画し、平成10年同協議会会長。同時に国民健康保険中央会や厚生省の研究会委員などを務める。
地元香川県では、老人保健施設協議会会長、高齢者サービス総合調整推進会議委員、高齢者介護サービス体制整備検討委員会委員、老人保健福祉計画及び介護保険事業支援計画策定検討委員会委員などを歴任。
平成6年厚生大臣表彰、第22回読売医療功労賞、平成18年瑞宝中綬章を受章。
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