東京ノスタルジア──追憶紀行:神田川からスクランブル交差点まで、過ぎ去った時間、消えた街並を旅する
(著) 国松春紀
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―思い出に浸りながらそぞろ歩き。それは街の記憶に出会う贅沢な時間―
駒込動坂から団子坂を横切って根津神社裏門へと本郷台地の縁の道を歩き、森鷗外が住んでいた観潮楼の跡で往時を偲び、鷗外記念本郷図書館で森林太郎のイニシアルの入ったべっこう製の啓紙刀のレプリカを買う。そぞろに出会う文学の残照を楽しみ、腹が空いたらビールにイタリアン。気の向くまま、足の向くままにあっちを歩き、こっちを歩き、筆の向くままに書き綴るーー本郷、江戸川、新宿、神楽坂、そしてドイツ文学者・国松孝二の自宅であり著者の実家である山猫山房と、東京の風景の中にある記憶の文化遺産を思い出と共に逍遥した、知的で文学的なセンチメンタル紀行。
[目次]
エピグラフ
プロローグ ノスタルジア
Ⅰ わが心の神田川
藪下道を通って、観潮楼跡から 豊島与志雄旧宅跡へ
豊島与志雄と私
本郷界隈――明治新聞雑誌文庫、本妙寺
江戸川橋から切支丹屋敷跡を通って、水道歴史館へ
目白台、江戸川公園、戸山公園
目白、学習院、旧近衛邸跡、神田川
Ⅱ 滝の坂界隈
私の新宿物語――箱根山ワールド逍遥
神楽坂から小浜藩江戸下屋敷(矢来屋敷)跡を通って、夏目漱石生誕の地へ 付・箱根山界隈
滝の坂の家――山猫山房の思い出
猫と私
私の秘密の小道
西早稲田から漱石山房記念館を通って、神保町へ
新宿御苑周辺
Ⅲ 消えた庭園
私の銀座物語――並木座、三吉橋、楽善堂
私の好きな場所――映画館、箱根山、国会図書館
消えた映画館――佳作座、牛込館他
古本屋の思い出――文献堂書店、三茶書房他
古書会館、泡坂妻夫展、「からくり東海道」
遊園地三題
皇居の思い出
消えた庭園――松平定信「浴恩園」「六園(りくえん)」「海荘(はまやしき)」をめぐって
採荼庵(さいとあん)、海荘(はまやしき)跡から洲崎(すさき)遊廓跡へ
Ⅳ 日活向島撮影所──溝口健二「血と霊」
鐘ヶ淵から木母寺を通って東向島へ
鳩の街、浄閑寺、回向院、白鬚橋、円通寺
錦糸公園から王貞治ゆかりの地へ
平岡篤頼「消えた煙突」をめぐって――煙突の幻影と東京大空襲――
千住、芭蕉、鷗外、安藤昌益
曳舟川親水公園、東京拘置所から、五反野親水緑道へ
Ⅴ 鶴見のシンドラー
亀甲山(かめのこやま)古墳から多摩川浅間神社、桜坂へ
大森海岸から平和島、そして鈴ヶ森へ
羽田・弁天橋、山崎博昭君追悼
鶴見から川崎へ――大川常吉、永山則夫
Ⅵ 消えた富士塚
岩田藤七、目黒富士、茶屋坂
音無親水公園から北区立中央公園文化センター、赤レンガ図書館へ
田端文士村記念館から旧古河庭園へ
加賀公園のダリ――もう一つの消えた庭園
Ⅶ 陸軍特殊情報部──大野靖子『少女伝』
荻窪の公園――与謝野公園、荻外(てきがい)荘公園、角川庭園、大田黒公園他を巡る
日本最古の老人ホーム、浴風会本館から久我山・高射砲陣地跡へ、そして神田川水源に向かって
日立航空機立川工場変電所
新選組(土方・近藤)から調布飛行場、そして五日市へ
陸軍多摩(福生)飛行場から米軍横田基地へ――加賀乙彦『錨のない船』 田中小実昌『バンブダンプ』 村上龍『限りなく透明に近いブルー』をめぐって
Ⅷ 市川真間駅の永井荷風
東松山、鎌倉、下落合他――横穴墓群をめぐって
市川の郭沫若、神保町の周恩来
渋谷スクランブル交差点の中心で……
エピローグ 追憶の川
著者プロフィール
[担当からのコメント]
本書は文学好きの方は要注意。とにかく歩きたくなります。京都に比べると東京の歴史は短いですが、だからこそそこには「東京らしい」時間が堆積しています。そんな「時間」に出会う旅、お好きな飲み物を片手にどうぞごゆっくりお楽しみください。
[著者プロフィール]
国松 春紀(くにまつ はるき)
1951年5月、千葉県船橋市生まれ。
同年8月から約30年間、東京新宿に居住する。
神奈川県立高校元教員。
神奈川県高校教科研究会国語部会郷土文学資料調査委員会で活動する。
私の調べたものは、『神奈川県近代文学資料』全2巻(1988、1998)に収録。
個人誌「山猫通信・宮ヶ谷版」発行人。
(都立中央図書館・日本近代文学館・神奈川近代文学館等所蔵)
『国松春紀書誌選集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』金沢文圃閣(2013、2015、2016)
『硝子戸の外「山猫通信」他』(2022)
現在、横浜市在住。
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