文学は戦争を語る:戦後を描いた5人の作家たち

(著) 岩谷征捷

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作品詳細

[商品について]
ー戦後小説が語るものとはー
復員した父の姿を通して戦後を見つめた阿部昭。
戦時下の精神病院という設定のもと、《異常・正常》の対立をもって人間の本質に迫った武田泰淳。
「戦後」そのものの具現者として生き、そして死んでいった梅崎春生。
特攻隊隊長としての体験が、その文学の軸となった島尾敏雄。
中年になった時、幼少時代の戦争の体験や記憶が噴出する様を描いた古井由吉。

それぞれの視点で戦後を描いた5人の作家たち。そして、たとえ「戦争」そのものを描かずとも、人々の心に「戦争」を焼き付ける作品の数々。
彼らは戦争・戦後をどのように見つめ、どう描いたのか。私たちは今こそ、戦争の時代を生きた作家たちの言葉に耳を傾け、歴史の誤りを見つめなければならない。
戦後小説を鋭く読み解いた決死の論文集。

[目次]
父たちの時間 ―阿部昭『司令の休暇』をめぐって―
武田泰淳『富士』を読む
梅崎春生『幻化』への道程
島尾敏雄『死の棘』再考
記憶・記録・受苦・恩寵 ―島尾敏雄『夢のかげを求めて』解読―
溶解する自我 ―古井由吉『山躁賦』の文体―
古井由吉『槿(あさがお)』を読む
古井由吉『白髪の唄』を読む
あとがき

[担当からのコメント]
実際の戦争の様子を語った体験談などは、当時の過酷な戦地の様子や被害の大きさを克明に伝えています。一方で、戦後の日本社会を描いた小説には、戦争そのものの記述はなくとも、戦争がいかにその後の人々の心や生活に大きな影響を与えたかが、様々な角度と鋭い洞察のもとに描かれています。戦争・戦後のことを知るための一つのアプローチとして、戦後小説を読み解いた本書をご活用いただければ幸いです。

[著者紹介]
岩谷征捷(いわや せいしょう)
1942年、北海道生まれ。國學院大學文学部文学科卒。
主たる専門領域は、日本文学評論・小説。
主な著書は次のとおり。
『島尾敏雄論』近代文藝社、1982年
『大江健三郎、イーヨー譚の生成』亜細亜文庫、1991年
『島尾敏雄私記』近代文藝社、1992年
『島尾敏雄事典』(共著)勉誠出版、2000年
『芥川龍之介大辞典』(共著)勉誠出版、2001年
『近代文学作品論集成・死の棘』(共著)クレス出版、2002年
『中有の旅・岩谷征捷初期短編小説』亜細亜文庫、2003年
『桜花爛漫羅利骨灰・岩谷征捷自撰短篇小説』晃栄社文庫、2005年

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