放射能汚染と市民意識ー食品の安全性から復興政策まで統計調査から原発災害を考える
(著) 中村哲也
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―市民意識から日本の原子力政策を考える―
2011年の福島原発事故は国際的に見てもチェルノブイリ原発事故と変わらないほど深刻であったが、法律の整備の遅れや風評被害、「汚染廃棄物」と「汚染水」の問題が解消されていないなど原発政策においては今なお深刻な課題を抱えている。こうした問題意識のもと、本書では先行研究の成果を発展させつつ、原発災害対策についての市民意識調査と統計的な実証分析を行い、諸学国の事例と比較しながらわが国の復興政策に資するべく検証と考察を行ってゆく。原子力の時代を生きる全ての日本人必読の書。
[目次]
Summary
図表目次
序 説
1.研究背景と問題意識
2.研究の目的
3.研究の方法
4.本研究の課題と構成
第Ⅰ部 原発災害被災地の安全情報政策に関する計量的分析
第1章 食品内の放射性物質から子供を守る安全対策に関する分析 -東京都の保護者からの対面調査からの接近-
第2章 放射性物質の知識と安全対策に関する市民評価 -ミンスク合意後のウクライナを事例として-
第3章 政府の食品及びエネルギーの安全情報の信頼性に関する意識調査 -フィンランドを事例として-
第4章 原子力及び食品安全管理政策に関する市民評価-スウェーデンを事例として-
第Ⅱ部
第5章
第6章 原発事故被害からの克服政策に関する市民評価-ベラルーシを事例として-
第7章 チェルノブイリ法が規定する支援・補償に関する市民の満足度と継続意思 -ロシア中央連邦管区を事例として-
第8章 セミパラチンスク核実験場に由来する放射能汚染が食の選択行動にもたらす影響 -カザフスタン共和国を事例として-
第9章 原子力発電所及び核再処理工場から放流される汚染水問題と周辺漁業へもたらす影響 -La Hague再処理工場,Sellafield核燃料再処理工場,及び東京電力福島第一原子力発電所を事例として-
第10章 原発被災地の復興政策に関する市民評価と福島復興への提言 -チェルノブイリ及び福島第一原発の被災地を事例として-
第11章 Hanford Siteの浄化とまちづくりに関する意識調査 -アメリカ・Washington州を事例として-
第12章 震災10年後の福島の復興と再生に関する統計分析
終章 考察と結論 -推計結果と考察,及び福島への政策提言-
初出一覧
研究助成一覧
謝 辞
著者略歴
図表目次
[担当からのコメント]
原発の是非については市民の間でも盛んに論じられますが、災害補償をはじめとする原発政策については不思議とあまり論じられることはありません。原発がすぐにはなくならない以上、原発や放射性物質についての意識を高める必要があると本書を読みながら改めて思います。市民意識から原発政策を捉える独創的な本書、ぜひ多くの方にご覧いただければ嬉しく思います。
[著者略歴]
中村哲也(なかむらてつや)
1971年 石川県金沢市生まれ
2002年 千葉大学大学院自然科学研究科生命資源科学専攻修了博士(農学)
2021年 東北大学大学院経済学研究科博士後期課程経済経営学専攻修了 博士(経済学)
共栄大学国際経営学部国際経営学科教授
主な著書:
・増田 聡(編著), 中村 哲也 (編著), 石塚 哉史 (編著)『大震災・原発事故以後の農水産物・食品輸出: 輸出回復から拡大への転換に向けて』農林統計出版,2021年
・東北大学大学院経済学研究科 地域産業復興調査研究プロジェクト (編集)『東日本大震災復興研究Ⅵ 東日本大震災からの産業再生と地域経済・社会の展望』南北社,2022年
・栗原 伸一 (編著), 中村 哲也 (編著), 石塚 哉史 (編著)『大震災・原発事故のインパクトと復興への道: 12年後にひもとく農水産物風評被害と将来戦略』農林統計出版,2023年
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