放っておけない隠れリウマチ
(著) 宮地清光
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―その関節の違和感、放っておいて大丈夫ですか―
先進国の中でも「ホルモン補充療法(HRT)」の普及が遅れている日本では、更年期からの朝のこわばりやひどい関節症状を訴える方が多い。主に45歳から55歳の女性に見られるこうした更年期関節症状(隠れリウマチ)には、リウマチ因子(RF)等が含まれることがあり、閉経間際の方では関節リウマチ(RA)に進展する危険もある。しかし日本では、こうした症例に対するリウマチ専門医やレディースクリニック、婦人科医の関心は、必ずしも高いとはいえない状況にある。本書では、エストロゲンの低下と関節症状あるいはRA発症との関係について、海外の論文や著者自身が治療に関わった症例を取り上げて考察しながら、早期発見の重要性とHRTの有効性について解説していく。前著『女性ホルモンの低下がリウマチ・膠原病を発症させる』に続く、中高年世代必読の書。
[目次]
はじめに
関節リウマチ(RA)と性ホルモンの関連
第1章 関節リウマチ(RA)の発症年齢分布、40~60歳で約50%を占める
第2章 40歳代から朝のこわばりと関節痛
第3章 更年期障害の診断は難しくない
第4章 日本ではなぜ更年期関節症状を持つ症例が多いのか?
ひとくちメモ 性差の著明な自己免疫性疾患 ―シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本病の共通点―
第5章 もっとも中年女性が気になる変形性関節症
第6章 血中エストロゲン低下させる薬剤投与による関節症状
第7章 黄体ホルモンには抗炎症作用があるか?
第8章 プロラクチンはリウマチの発症に関係があるか?
第9章 男性ホルモン・テストステロンは男性関節リウマチの発症に関与しているか?
第10章 適切なホルモン補充療法(HRT)は関節リウマチ(RA)の発症を防ぐ
海外の論文から考察
第11章 妊娠中の全身性エリテマトーデス(SLE)の発症、本当に頻度が高いのか?
第12章 妊娠が及ぼすSLEへの影響、分娩後半年が本当に危険なのか?
第13章 関節炎を持つ女性の妊娠の影響と関節炎の予後
第14章 経口避妊薬(OC: oral contraceptive)の投与がRAの発症を防ぐか?
第15章 ホルモン補充療法(HRT)は関節リウマチ(RA)の発症、進展を防ぐか?
ひとくちメモ ホルモン補充療法(HRT)の是が非
第16章 経産婦と非経産婦のRA発症の相違
第17章 妊娠を契機にRAを発症するとすればいつ危険か?
第18章 妊娠後のRA発症のリスク
第19章 妊娠による関節リウマチ(RA)の改善と出産後の悪化
第20章 ホルモン補充療法(HRT)が抗CCP抗体陽性更年期女性の関節リウマチ(RA)の発症を抑える
第21章 肥満が関節リウマチ(RA)の発症の増加に関与しているのでは?
第22章 エストロゲンの補充が、ヒトマクロファージのNF-kBを抑える
関節リウマチ(RA)と女性ホルモンの低下とその補充(本院の症例検討)
第23章 乳がん術後関節痛が増強したリウマチ因子(RF)陽性の再発性多発性軟骨炎疑いの1例
第24章 関節リウマチ(RA)を発症後、ホルモン補充療法(HRT)は関節症状を緩和するか?
第25章 更年期女性でリウマチ因子が陽性症例に対してホルモン補充療法(HRT)を長年継続し関節リウマチ(RA)の発症をおさえている1例
第26章 メトトレキサートを投与されていた閉経直後の更年期関節症の1例
第27章 線維筋痛症症例に生物学的製剤を投与されたが無効で、ホルモン補充療法(HRT)で軽快した1例
ひとくちメモ 線維筋痛症とは
第28章 ホルモン補充療法で回帰性リウマチから関節リウマチ(RA)に進展するのを防げるか?
第29章 変形性手関節症から関節リウマチ(RA)への進展阻止をめざすE3経口投与されている66歳例
第30章 HRTで関節症状は軽快するが、黄体ホルモンを投与すると痛みが強くなる
第31章 ホルモン補充療法(HRT)で関節リウマチ(RA)発症をおさえられなかった抗CCP抗体陽性の女性例
第32章 妊娠分娩後に関節リウマチ(RA)が増悪した症例
第33章 妊娠中が悪いのか、分娩後が悪いのか?全身性エリテマトーデス(SLE)症例から考える
第34章 リウマチ因子高値の更年期関節症状にホルモン補充療法(HRT)を6年施行し関節リウマチ(RA)の発症を防いでいる症例
第35章 生理がなくなってから急に関節痛が出現してきた。更年期の関節症状ですか?
第36章 関節リウマチ(RA)再発時、男性ホルモン低値、E2低下が確認できた男性の1例
第37章 神経症でドグマチールを服用し関節痛が出現し階段を下りるのがつらい
第38章 ユベラNソフトの投与のみで、卵巣機能不全が改善し、ホットフラッシュと発汗と関節症状が消失した52歳女性
最終章 中高年女性の関節症状は?―隠れリウマチの存在はいかほどが?
おわりに
参考文献
著者プロフィール
[担当からのコメント]
どんな病気もそうですが、早期発見・早期治療が一番です。周りに関節の違和感を覚える方がいたり、ご自身でそう感じることがある方は、ぜひ一度本書をご覧いただければと思います。隠れリウマチに対する正しい知識を学び、ぜひ日頃の健康や予防にお役立てください。
[著者プロフィール]
宮地 清光(みやち きよみつ)
昭和18年 愛知県岡崎市生まれ。
昭和44年 慶応義塾大学医学部卒業後、静岡日赤病院、宇都宮済生会病院、都立大久保病院、慶応義塾大学医学部リウマチ内科本間光夫研究室、アメリカ スクリップス研究所Tan EM研究室、アメリカ コロラド大学リウマチ科Tan EM研究室を経て、慶応義塾大学医学部リウマチ内科に帰局。
藤田学園名古屋保健衛生大学医学部内科鳥飼助教授研究室、同大学医学部内科講師を経て、
昭和55年 横浜市鶴見区に慶宮医院を設立。
横浜保土ヶ谷区保健科学研究所自己免疫病血清センター技術顧問、鶴見区医師会学術部長、横浜市医師会学術専門部会内科委員、東京女子医大消化器内科客員講師、藤田学園名古屋保健衛生大学医学部内科客員教授、横浜内科学会副会長を歴任。
また、神奈川リウマチ医会世話人、鶴見区医師会リウマチ膠原病研究会代表世話人、横浜内科学会リウマチ膠原病研究会代表世話人、日本リウマチ学会指導医・認定医、日本臨床免疫学会評議員、更年期と加齢のヘルスケア学会世話人・理事、日本更年期学会評議員(現日本女性医学学会評議員)、横浜リウマチ膠原病研究会内科代表世話人、日本女性医学学会認定医を務める。
昭和53年 医学博士(SLEに出現した抗PCNA抗体の研究)を取得。神奈川県医師会学会賞、更年期と加齢のヘルスケア学会特別賞を受賞。
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