愛の仕事を全うせよーー女性教育と弱者救済に生きた明治の偉人・巌本善治
(著) 葛井義憲
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―女性を愛し、人を愛し、国を愛した知られざる明治の教育者―
男尊女卑のもとに置かれた女性の真の解放を願い、豊かな学識と教育への熱意、そして何よりその人間的魅力で明治の女性教育に大きな足跡をのこした「愛」の人・巌本善治。本書では、キリスト者・教育者として明治の社会問題を鋭く見つめ、福沢諭吉や内村鑑三、徳富蘇峰らと肩を並べる存在でありながら既に「忘れられた人」となっている巌本の実像に、その思想や事跡を辿りながら迫っていく。「女性問題」の風評により不当に歪められた虚像を正し、多くの資料をもとに信仰に悩みながらも愛と至誠を貫いたその生涯に再び光を当てた巌本善治の評伝決定版。
[目次]
はしがき
第一章 女性に光を
一「母なるもの」を求めて
二 巌本善治と福沢諭吉
三「婦人矯風会」設立
第二章 女学思想
一 男女同等論
二 女性と宗教
三 家庭と国家、社会
おわりに
第三章 「小さき者」とともに―濃尾地震と孤児教育―
一 社会の窮乏
二 キリスト者であること
三 子どもたちへの愛
四 弧児教育への関心
五 弧女学院の設立について
六 孤女学院を神に捧げて
第四章 同化と侵略
一「武士的ノ基督信者」
二 朝鮮での教育
三 台湾女学生の受け入れ
第五章 渡良瀬川の悲劇
はじめに
一 鉱毒被害民を支援
二 亡国への道
三 「諦念」
附録 青年荻原守衛
はじめに
一 穂高の荻原守衛
(1)冬から春へ
(2)秋の旅立ちまで
二 明治女学校の荻原守衛
(1)1899年の守衛
(2)1900年頃の守衛
あとがき
著者略歴
[担当からのコメント]
福沢諭吉とは異なる視点で女性の地位向上を訴え、キリスト教の精神から貧者や孤児に目を向け、足尾銅山鉱毒事件では被害民の窮状を世に伝え続けた巌本善治の名がこれほど世に知られていないのは、女学校校長時代と関連して降りかかったゴシップと無関係ではないでしょう。それらを超えて、この偉大な明治の教育者・思想家をいま改めて見直す機会として、本書を多くの方にお読みいただければ嬉しく思います。
[著者略歴]
葛井 義憲(ふじい よしのり)
1948年、兵庫県に生まれる。
1978年、同志社大学大学院神学研究科博士課程修了。
専攻、キリスト教史・宗教学。
中目黒幼稚園園長、桜美林大学、明治学院大学講師、名古屋学院大学助教授を経て、1989年より名古屋学院大学教授。神学博士。牧師(日本基督教団)。
著書 『キリスト教土着化論―キリシタン史を背景として―』朝日出版社、1979年、『闇を照らした人々―相馬黒光・山室軍平・石井十次・井口喜源治論―』新教出版社、1992年、『日本プロテスタント史の諸相』(共著)聖学院大学出版会、1995年、『「内村鑑三」と出会って』(共著)勁草書房、1996年、『大正デモクラシー・天皇制・キリスト教』(共著)新教出版社、2001年。他
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