愛とユーモアの保育園長 : 栗川清美その実践と精神
(著) 栗川治
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―彼女の想いは、記憶と共に受け継がれていく―
ユーモアあふれる明るい人柄、どんな困難にも逃げずに立ち向かう胆力、人間の多様性を認め誰に対しても分け隔てなく接する公平さ、保育への高い理想を言葉ではなく自らの行動で実践した情熱、そして理不尽を許さずより良い明日を信じて歩み続けた勇気。これらは全て、栗川清美というひとりの保育士の中に存在した。園児だけでなく保護者、同僚、地域の人々にも愛された彼女は、家庭にあっては失明した夫を支え3人の子どもを育てあげた努力の人でもあった。保育園長として保育に献身して最後までその職責を全うし、2018年7月にがんによりこの世を去った彼女、その59年5カ月の生涯を本人の言葉と関係者の寄稿、残されたメールや日記等の資料等から浮き彫りにした愛と魂の評伝。
[目次]
まえがき
序章 プロローグ
♥清美の言葉 「にゅうようじたいむず♡6」 2014(平成26)年3月25日
第一章 生い立ち、学生時代
♣評伝1 誕生から短大卒業まで
◆寄稿 誠実友愛・勤勉そのもの 森山博子
◆寄稿 叱られてうれしかった 田村(旧姓:長部(おさべ))靖子
◆寄稿 半纏(はんてん)姿の岡地クンはとってもかわいらしい 上田俊子
◆寄稿 誰にでも温かく、公平で情熱的 門脇(旧姓:佐藤)まなみ
◆寄稿 真面目な顔をして冗談を言って、みんなを笑わせた 馬場直子
◆寄稿 清らかでさわやかな声で歌う 長井啓子
第二章 就職、結婚、夫の障害
♣評伝2 就職から出産まで
◆寄稿 靴ずれの靴を脱いで「さっ! 行こう」 金井(旧姓:西村)裕子
◆寄稿 いつも凛として、大きな心で周りを包み込んでいた 山﨑理恵子
◆寄稿 園児だった私と福祉部で一緒に勤務 高橋勝
♠資料 清美と治の出会い
♡清美の言葉 治へのラブレター
♠資料 1984(昭和59)年4月13日No.2 直筆はがき
♠資料 新潟演劇鑑賞会例会 公演内容
♠資料 養命酒のテレビCMに山本学と出演(1985(昭和60)年1月撮影)
◆寄稿 とても安定感のある頼もしそうな人 橋本伸
◆寄稿 画期的な人前結婚式 平石操
♠資料 寿版 まくあい 1985(昭和60)年7月21日(日)午後1時~ 新潟会館
♠資料 結婚を披露する会 祝辞
♡清美の言葉 両親への言葉 岡地清美
◆寄稿 小国での清美さんと民子さん 上杉肇
♠資料 できることはやって、できないことは人から手伝ってもらえばいい
♡清美の言葉 栗川清美へのインタビュー
第三章 子ども大好きなくりちゃん先生
♣評伝3 保育士として本領発揮、保育行政にも関わる
◆寄稿 物事の本質を見つめ、落ちついて判断できる聡明な人 長井啓子
◆寄稿 夫の事故後にも園に戻った 齋藤葉子
◆寄稿 困難にあったときこそ強くなる 高杉素子
◆寄稿 仕事に対する意識の高さ 刀根優子
◆寄稿 子どもたちや保護者の皆さんにも愛されていた 磯貝和子・麻莉・美香
♡清美の言葉 礎保育園 クラスだより ほしぐみ担任・くりかわきよみ
♠資料&清美の言葉 信濃保育園2歳児・きららさんの母と担任・栗川清美との連絡帳
◆寄稿 よく気が付く、働き者 前田桂子
◆寄稿 一つずつ、一つずつ 有田やい子
♡清美の言葉 2007(平成19)年度 流作場保育園卒園文集より くりかわきよみ
第四章 家庭の人
♣評伝4 子育て、自立、夫婦の時間
♠資料 1991(平成3)年 治・清美の年賀状
♡清美の言葉 新潟・東京・ソウルの家族メール 2010(平成22)年~2011(平成23)年
♠資料 栗川家家族旅行記録「出ある記ノート」(清美作成)
◆寄稿 母として、祖母として――清美さんとの5年間のメール(1) 近藤裕子(ゆうこ)
◆寄稿 お母さんの味 近藤民子
♠資料 治の日記から(1) 言葉遊び
第五章 頼りになる園長先生
♣評伝5 保育園長、指導保育士としてのリーダーシップ
♡清美の言葉 じむしつ通信…1 2011(平成23)年7月12日
♡清美の言葉 じむしつ通信…2 2011(平成23)年10月24日
♡清美の言葉 じむしつ通信…3 2012(平成24)年3月6日
♡清美の言葉 運動会挨拶 2009(平成21)年6月14日
◆寄稿 何があっても暴力は駄目だよ 堀真佐子
♡清美の言葉 卒園式挨拶 2013(平成25)年3月 流作場保育園園長 栗川清美
♡清美の言葉 H先生結婚披露宴祝辞
◆寄稿 子育てに大切なことは、優しさの貯金 高野百合
◆寄稿 おばあちゃんになることができたのですね 長谷川しげみ
◆寄稿 偶然のありがたさ 古俣キヨ *原文は点字
♠資料 流作場保育園転出時に、職員の皆さんからいただいた色紙(2013(平成25)年3月)
◆寄稿 いいことも、そうでないことも全て意味がある 長谷川陽子
◆寄稿 ひなどり 吉原由利子
◆寄稿 遺志を引き継ぐ 赤塚裕子
◆寄稿 栗川先生に感謝を込めて 瀬野明子
◆寄稿 新潟の保育の質の高さを維持してきた素晴らしい仲間 吉本和子
第六章 がん闘病、死と向き合う
♣評伝6A がん判明
♠資料 がん告知を受けた後の家族へのメール 2017年7月26日
♣評伝6B 働きながらの闘病
♠資料 治の日記から(2) 生と死
♡清美の言葉 がん治療についてのメール(清美から家族へ)
♡清美の言葉 退職祝いへのお礼の手紙
◆寄稿 母として、祖母として―清美さんとの5年間のメール(2) 近藤裕子
♣評伝6C フィナーレ
♡清美の言葉+♠資料 闘病メール
♠資料 ゴールへ向かって(治からのメール)
♠資料 弔辞 片野由美(友人代表)
◆寄稿 大変だとなおさら燃える 前田裕美
◆寄稿 芯の強い、本当にすごい人 青木学
◆寄稿 人権尊重が保育の基本、楽しさこそ保育の原点 石附幸子
◆寄稿 愛語、転回の力あり 新通こども園園長・護念寺住職 細川好円
終章 エピローグ
♡清美の言葉 最後の対話
解説 この時代を生きてきた一人ひとりのことを書いて残す 立岩真也
参考文献
栗川清美 年譜
あとがき
著者紹介
[担当からのコメント]
人格を形成するうえで最も大切な時期にある子どもたちを預かる保育は大きな責任を伴う仕事ですが、それだけにやりがいも大きいと改めて思います。本書の中にある想いと理想が多くの方に受け継がれ、保育の未来へと繋がっていく一助となれば嬉しく思います。
[著者紹介]
栗川治(くりかわ おさむ)
1959年新潟市生まれ。早稲田大学第一文学部哲学専攻卒業。1982年から2020年まで新潟県の県立高校教員。20歳代後半に失明。全国視覚障害教師の会事務局長、「障碍」を持つ教師と共に・連絡協議会事務局長、内閣府障害者政策委員会専門委員、新潟県視覚障害者福祉協会副理事長などを歴任。第45回NHK障害福祉賞など受賞。
現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程、日本学術振興会特別研究員、立教大学兼任講師、新潟市障がい者施策審議会委員。
著書:『異彩はバリアフリー ― 視覚障害教師が「障害」を問う』(新潟日報事業社、1996年)、『視覚障碍をもって生きる―できることはやる、できないことはたすけあう』(明石書店、2012年)
ホームページ: http://kurikawaosamu.life.coocan.jp
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