心の花園に一輪の花ー人としても美しくー

(著) 山内美恵子

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作品詳細

[商品について]
俳句では伝えきれないもの。 それは、研ぎ澄まされた言葉に昇華される前の、雑然とした心の温もりである。 圧縮されダイヤモンドとなる前の、炭素としての人の輝きである。 魂の輝きも人の喜びや悲しみも、ここでは人の温もりを持ったまま、言葉に庭で踊っている。 十七文字では表しきれない思いを、糸を丁寧に編み込むように仕立て上げた、著者の初期を代表する随筆集。

[目次]
美しい女性
生命の輝き
「心を耕す」根
床の間の本
豊かさの中の貧しさ
心優しい風景
話し言葉
女 教 師
「許す」こころ
同 居 人
ぼくのお嫁さん
誕生日の贈り物
たえず進むべきである
幸福な時間
一万一冊めの本
充足の刻
障害児教育
ヒトリシズカの花
母 の 日
優しい眼差し
エゴの花
花の季節に ──歌人・上田三四二──
心の花園に一輪の花 ――人としても美しく――
あとがき
著者略歴

[出版社からのコメント]
上質な服には、袖を通して初めてわかる喜びというものがありますが、本書で紡ぎ出された言葉は、ちょうど仕立ての良い服を着たときのような肌ざわりで心に沁み込んできます。 変化の多い人生の四季の中で、ときに雲たちさわぐ予感を感じながら描かれる豊かな心の情景を、ぜひ味わってみてください。

【著者プロフィール】
山内 美恵子(やまうち・みえこ)

一九四〇年福島県生まれ。
一九六〇年度郡山女子大学短期大学部卒業。
二〇〇〇年「誕生日の贈り物」で第四十二回「日本随筆家協会賞」受賞。

著書に 随筆集『優しい眼差し』『慈しまれるいのち』、『いのちへの愛の眼差し』共著に『心に響いたことば』『思い出のアルバム』『愛のかたち』『愛の花束』現代詩歌集『薄浅葱色』『鏡花水月』『うつろひ』(美研インターナショナル)。 俳誌「森の座」会員。
東京都東村山市在住。

[読者から頂いたお声]
著者の方が見る世界はとても素敵なのだろうなと思いました。できることなら著者の目で私の日常や世界を見て回りたいと考えてしまうほどに素敵な作品ばかりでした。個人的には、「美しい女性」という作品がとくに印象に残っています。美しい女性というのは、外見を超える内なる魂の輝きを放つという一文にとても共感しています。私の周りにもまさにこの美しい女性たちがたくさんいます。それぞれが趣味を持ち、日々創作活動を続けていたり、好きなものに対して一直線に突き進んでいたり、共通の趣味を持つ友人たちと共有し合って世に発信したりと様々です。中でも最近すごいなあと感心してしまう人物がいます。彼女は、少し前まで保育士をしていました。たくさん勉強をして、いつか保育園を作りたいのだと話していました。そして最近その夢に一歩近づいたのです。様々な事情があり、すぐに保育園を作ることはできなかったそうなのですが、代わりに児童館のような親子で利用できるコミュニティの場を作ったのです。クラウドファンディングでも100万円近く支援されていたと記憶しています。年末くらいにはオープンされるのですが、本書で書かれている美しい女性の姿を見て、私の周りで今最も魂を輝かせているのは彼女かもしれないなと思いました。世の中を見ていると、そういった意味で心が充実していない方は女性に限らず男性にもいます。それが決して悪いことではないのですが、私自身も趣味を持っていて、おかげで多くの友人に囲まれていることを考えるとこの心の豊かさを見つけてくれる方がひとりでも増えればいいのにな・・・とつい考え込んでいました。著者の紡ぐ言葉には、日常の気づきがたくさんあります。その気づきはきっとどんな読者の心にも共感と成長のきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。著者のような目で私の日常を見ることができるように、そしてもっと著者の紡ぐ世界観に浸っていられるようにまた読み返したいと思います。そして、またいつかの遠い日に、著者が本棚の奥から絵本を見つけたように本書を見つける日がやってきたらいいなとささやかに願います。
(30代:男性)

"読み終えて、心が温まったのを感じます。一つ一つのお話に考えさせられるものがあり、読み進めるごとに心が豊かになるそんな感じがいたしました。著者は俳句を読まれるので、彼女が選ぶ表現力に富んだ素敵な言葉が、読者の心を優しく包んでくれる、そんな作品です。
本書は、随筆集です。著者の日常が切り取られたエピソードなどが集められていますが、例えばタイトルにもなっているエピソードは、話に引き込まれるような語り口で、そうでいて著者の母親に対する当時の気持ちも深く表現されていて、まるで小説を読んでいるようでした。お母様への愛にも満ちていて、素敵な気持ちにさせていただきました。
また本書で「顔施」という言葉を初めて知りました。こうした今は使われなくなってしまった言葉など、新たに学ぶことも多く、自分の視野が広げられるのも本書の魅力です。お父様がおっしゃられていた言葉の意味が後になって分かったときの高揚感もうまく表現されていて、こちらまで心が柔らかくなりました。
そんな中、特に印象に残ったエピソードは「豊かさの中の貧しさ」というお話です。先に述べたように、私は著者の創る優しい世界観が好きなのですが、このエピソードでは社会問題に対する著者ならではの視点が書かれています。豊かさとはなんなのか、何が尊いか美しいか、など、昔は自然に子供たちが身につけられていたものが、その環境が現代には失われつつあるという現状に、彼女の価値観や生き方についての想いを感じました。実際に現代は、お金や物の価値で豊かさを測りがちです。頭では分かっていても、やはり目に見える価値で評価しがちです。インターネットが普及し、何が幸せなのかのイメージを植え付けられているようにも感じます。無論、そうした考えは子供への影響も大きいです。何を大事にするべきか、考えさせられるエピソードでした。「大人は子供の鏡である」、彼女なりの強いメッセージの中にも、彼女の優しさが読み取れるのが不思議です。
本書を読み終えて、私自身も、日常のことを流れるように過ごすのではなく、時にはとまって、考える時間を大事にしたいと思いました。"(30代:女性)

私自身、今までの人生において俳句というものに、学校の授業で少しだけ触れてきた程度の経験と知識しかございませんが、素人考えながら、俳句の限られた17音の中込められた考え、思い、季語の中から読み取れる季節とその移り変わりなどなど、限られているからこそ情景と自分の世界に広がる妄想に浸れる、素晴らしいものだと感じております。
半世紀という長い年月を俳句とともに歩んでこられた作者様の作品に懸ける情熱・思い、作品創作の世界観の広がりに見える作者様の人生経験の豊富さ、それを表現されているユーモアさ、作品作りを長い間続けてこられたバイタリティー、人々や物、季節に感じる思いを俳句に展開されている純粋さなどを本書を通して感じて、俳句に今まで触れてこなかった私のような者、俳句に慣れ親しんできた方々、俳句に興味はあれどきっかけがなかなかなかった方々、季節や人々の魅力的な世界に浸りたい方などなど、老若男女問わず幅広い方々に気軽に読んでいただきたいご本だと感じました。
本書では単なる詩集ではなく、詩にいたる物語、生命の誕生にまつわる奇跡的なお話であったり、日本古来からの美しくも慎ましい女性の姿であったり、日常の一風景である夕暮れの少年との心温まる風景であったり、お父様との悲しい別れから思い出に馳せている心情や情景など、詩にまつわるエピソードも一緒にわかりやすく記載してありますので、とても親しみを覚えながら読み進める事ができ、楽しかったです。
「人類の大きなよろこびの一つは、ことばを持ち、読み書きのすべてを伝授されたことにある」このお言葉と共に、作者様の「読書が大好きな私でも、ことばを紡ぐ作業は、本を読むのとは異なり、亀のごとき遅遅とした歩みでした」というお言葉が実に読書は私も好きだけども、とかく作文・文章書きとなると、書けなくなる私の中で、深い共感を覚えました。しかしながら、作者様の十七音の中に込められた思い・感動を数々の作品にしたためておられた功績、本書に出会えた事に深く感謝いたします。(30代:男性)

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