心の深奥からひびく声

(著) 私市保彦

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作品詳細

[商品について]

―物語の根源である「幻想」と「語り」の世界―

太古の時代、空想的世界と日常的世界は一体であった。そしてそれこそが、後世の幻想物語の源流となっている。人の理性を至上の価値観とする現代においてこそ、人々は心の真奥にひそむ魔術的な世界に惹かれ、近代文明のもとで抑圧してきた秘儀を解放する衝動にかられてやまない。

本作品は、バルザック、ヴェルヌなどのフランス文学研究をはじめ、内外の幻想文学の系譜の探究に携わってきた著者が創造した幻想小説の世界を、オーディオブックとし て「耳」で楽しむ作品集である。

五感のなかでもとりわけ直接感覚に訴える聴覚によって、氏の幻想文学の世界はより力を増し聞き手の魂に響くはずである。ぜひこの醍醐味を実感していただきたい。


[収録作品](収録順)

「水車小屋の男」(沖積社『白い繭:幻想短編集』所収)

「白い繭」(『白い繭:幻想短編集』所収)

「琥珀の町」(国書刊行会『琥珀の町:幻想小説集』所収)

「崖の下」(『琥珀の町:幻想小説集』所収)


[出版社からのコメント]

かつてフッサールが直感したように、耳から訪れる「音」は、理性では改変できないものとして、私たちの「外」の世界の確かさの一つの根拠となります。その意味で、私たちは「耳」を通じて世界を「感じて」いるといえるでしょう。神話であれ、伝説や叙事詩であれ、私たちの祖先がそれらを「声」と共に伝えてきたのは、「耳」を経由することによって、その世界がより豊かになったからかもしれません。幻想文学という豊穣な世界の中に芽吹いた本作品のひろがりを、多くの方に「耳」で味わっていただければ嬉しく思います。

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