彼岸花の郷:江場秀志短編小説集
(著) 江場秀志
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―夢幻と現実の狭間にある世界―
現実の生活に疲れ果てた女が魅せられた夢幻の世界「彼岸花の郷」。女の目を引いた一冊の写真集に載っていた廃屋と彼岸花の群集の写真は、女のこれまでの境遇や両親が眠る墓地に咲いていた彼岸花を思い出させた。咲き広がる彼岸花の風景の写真に魅せられた女は傷ついた心を抱きながら一人山に入り、夢幻の世界を求めてさまよい、山小屋で孤独で無口な男と出会う。女が追い求めた彼岸花の郷が意味するものとは。二人を待ち受けていた運命とはーー第9回すばる文学賞受賞作家が描く表題作「花酔い」ほか、夢と現実の融合が心に響く5編を収めた短編集。
[目次]
獅子の街
黄金の廃屋
彼岸花の郷
薮椿
あさ緑
著者略歴
[担当者からのコメント]
本書に収められている全ての短編集は、まぼろしと現実の世界が溶け合っていく情景がとても美しく描写され、作品に彩りと深みを与えています。精神科医である著者が紡ぎ出した言葉は物語に独特の世界観を生み出し、読む人の心を惹きつけてやみません。幻想と現実の狭間へと迷い込む物語世界を、どうぞじっくりとお楽しみください。
[著者略歴]
江場秀志(えば・ひでし)
本名・庄田秀志。一九四六年茨城県生まれ。信州大学医学部卒業。医学博士。一九七九年より七年半、沖縄に赴任。この間、江場秀志の名で、一九八二年に「奇妙な果実」で第八回新沖縄文学賞佳作入選、一九八七年に「午後の祠り」で第九回すばる文学賞を受賞。信州大学医学部精神医学教室助教授、独立行政法人国立病院機構小諸高原病院院長、信州大学医学部臨床教授を経て、同院名誉院長。著書に『切られた絵』(屋上の会、一九七八)、『午後の祠り』(集英社、一九八七)、『黄泉の森』(審美社、一九九六)、『花酔い』(新風舎、二〇〇五)、『中有の森』(作品社、二〇二二)、庄田秀志『戦後派作家たちの病跡』(日本病跡学会賞受賞、勉誠出版、二〇一一)、『応用人間学としてのパトスー臨床から精神病理学へ』(星和書店、二〇一三)がある。
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