幻(まぼろし)の古郡山湖ーー安積原野の地勢、遺跡、縄文語にその痕跡を追う
(著) 菅原稔
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―水のあるところ、人の歴史あり―
平成23年の夏、通っていた陶芸教室でたまたま古代郡山湖の噂を聞いた著者は、興味に駆られて「まぼろしの古郡山湖」の存在を確かめるべく調査を開始した。先行研究を繙き、安積原野の自然形成の歴史を辿りながら地形・地勢に目を凝らし、歴史的記述からやがて縄文やアイヌをはじめとする先史人の言語へと広がっていくその探索の先に、果たしてまぼろしの古代湖は姿を現すのかーー豊かな安積原野で自然と人間の歴史の痕跡を追い、古墳や遺跡、地名などからそこにあったであろう古代湖の姿を検証した知的冒険の記録。
[目次]
はじめに
第一部 古代湖を追う
第一章 安積原野の起源
一、まぼろしの古郡山湖
二、古代湖出現の前提
三、安積原野とその自然形成史
第二章 噴火活動と古阿武隈川
一、古阿武隈川と安達太良山
(一)古阿武隈川
(二)安達太良山
二、奥羽山脈火山群の噴火活動と河川の堰き止め
(一)那須火山の噴火活動(約二〇〇万年前~)
(二)笹森山火山の噴火活動(約一二〇万年前~)
(三)磐梯火山の噴火活動(約七〇万年前~)
赤埴火山体の崩壊―翁島岩なだれ泥流堆積
小磐梯火山体の崩壊―成層火山爆発岩なだれ
(四)東吾妻火山の噴火活動(約五〇万年前~)
(五)安達太良火山の噴火活動(約七〇万年前~現代)
安達太良山東麓部の早期火砕流(約七〇万年前~)
前ヶ岳および鬼面山形成期=第一期(約五五万年前~)
古和尚山形成期=第二期(約三五万年前~)
僧悟台、薬師平、勢至平形成期=第三期の前半(約二五万年前~)
矢筈森、岳形成期=第三期の後半(約一二万年前~)
第三章 先史人の言語、縄文語とアイヌ語
一、古代湖検討の手立て
二、東北地方のアイヌ語地名
三、縄文語、アイヌ語の位置づけ
(一)縄文人からヤマト民族へ
(二)縄文語からアイヌ語へ
第四章 地形・地勢・地名に現れる古代湖の面影
一、前 段
二、湖尻
(一)湖尻(A)
(二)湖尻(B)
(三)湖尻(C)
(四)湖尻(D)
(五)湖央(E)
(六)湖頭(F)
(閑話休題―一)
第五章 仮想古代湖の痕跡を追う
一、地形図に残る地名痕跡
(一)仮想郡山湖の同一地名抜粋
(二)同一複数地名のグループ分けと解説
二、神社の出現と立地
(一)神を祀る社
(二)神社の立地
(三)仮想郡山湖の浅瀬、湖畔、山側に位置する神社
~二七〇m湖部分の浅瀬に該当する比重が大きい神社
二七一m~湖畔の比重が大きい神社(網掛表示)
二七一m~山側を含む比重が大きい神社(網掛表示)
三、概括、古代湖そしてその残影「安積沼」
第二部 仮想古代湖の証(あかし)、大安場古墳
第一章 阿武隈川東岸域の遺跡
一、郡山山間盆地での縄文・古墳遺跡との出会い
二、蒲倉古墳群の成立とその背景
三、古代安積郡郡衙との関わり
四、蒲倉古墳群周辺の遺跡(下羽広遺跡他)
(一)下羽広遺跡
(二)谷田川、大滝根川の下流域周辺遺跡
五、阿武隈川右岸の遺跡(徳定遺跡・正直祭祀遺跡)
(閑話休題―二)
六、「大滝根川流域」の縄文遺跡
第二章 建鉾山、大安場、十万劫山ラインを偲ぶ
一、地勢図視点で見る「大安場古墳」
二、東北の雄「建鉾山祭祀遺跡」
三、茨城・栃木県境の「鷲子山上神社」
四、相馬への間道「十万劫山」
五、筑波山から北斗星を追った軌跡
あとがき
【参考文献】
著者略歴
[担当からのコメント]
自分の住む場所が遥か昔はどの様な姿であったのかと想像すればそこに歴史のロマンが生まれますが、同時に人と地形の歴史を知ることは防災という点でも非常に重要な意味があります。そんな地形の魅力と奥深さを楽しめる本書、古代湖探究の旅と共にじっくりとお楽しみください。
[著者略歴]
菅原 稔(すがわら みのる)
1942年岩手県盛岡市生まれ。盛岡一高、茨城大学文理学部経済学科卒。
65年(株)コパル本社経理部原価計算係、同社郡山工場業務部次長、96年(株)エム・ティ・アイ取締役総務部長。09年退職。
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