幸せになるためのエネルギー論 ー 脱原発から新エネルギーシステム論へ:持続可能な社会への挑戦
(著) 近久武美
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[商品について]
―過去へと還るのではなく、未来を捨てるのでもない、新しいエネルギー社会を実現するために―
化石燃料の使用による地球温暖化、原子力発電から生じる放射性廃棄物、こうした私たち人類が抱える負の遺産の根底には、刹那的な経済繁栄を求める価値観が存在している。本書では、長年エネルギー研究に携わってきた著者が、そうした誤った価値観から脱却するために、環境問題やエネルギー技術の現在を俯瞰し経済と人間の幸福が両立する新しい社会の実現を提言していく。日本のエネルギー政策と社会のビジョンを考えるうえで示唆に富む内容となっている。
[目次]
はじめに ──進む世界終末時計
電子書籍版の出版にあたって
第一章 迫りくる地球崩壊の兆し
気温の急上昇
地球大気の歴史
温暖化のメカニズム
地球温暖化の脅威
地球温暖化防止の活動
人間のエゴイズム
第二章 原子力発電の行方
原子力発電所事故の恐怖と影響
原子力発電の抱える克服不可能なふたつの重大事項
原子力発電の危険と覚悟
政府の方針と原子力発電コスト
ミラクル技術に期待する人間の性(さが)
原子力発電所立地住民の選択と都会人の責任
原子力発電必要論の変遷と共有可能な考え方
第三章 旧来型資本主義の限界
不安が広がる現代社会
統計学からみた格差社会
完全自由競争は人減らし競争
健全な資本主義社会形成に有効な再生可能エネルギー技術
第四章 幸福論と経済活性化法
GDPの向上により、果たして我々は幸福になったか
幸福とは何か
サービスと対価からみた雇用論
国内経済活性化のための経済考察
価格が高いことは必ずしも悪いことではない
第五章 自然エネルギーの可能性
再生可能エネルギー
再生可能エネルギーの導入可能量
北海道をモデルとした太陽および風力エネルギーの導入量試算
変動を含めた自然エネルギー導入可能量の試算
WWFジャパンによる脱炭素社会に向けた長期シナリオレポート
第六章 自然エネルギーの貯蔵技術と水素社会
電力貯蔵技術
バックアップに有力なガスタービン発電と二酸化炭素フリー燃料
水素社会
さまざまな広域電力融通
第七章 地域協調に基づいた有望な省エネルギー技術
コージェネレーションおよびヒートポンプ技術
コージェネレーションが普及しない理由
分散協調型コージェネレーションネットワーク概念
大型地域熱電併給との比較
第八章 日本のエネルギー政策とエネルギー先進国ドイツ
日本のエネルギー政策の変遷(49)
長期エネルギー需給見通し
電力・ガスの自由化と発送電分離計画
ドイツの原子力発電政策と再生可能エネルギー
ドイツにおける発電単価の変遷
政治を動かす国民性の差異
第九章 新時代に向けたエネルギー政策
雇用創出効果分析
近世ヨーロッパのルネサンスと現代社会
エネルギー構成の変革
新エネルギーシステム論
持続可能な経済発展
変革のための新たな仕組みづくり
具体的エネルギー政策の提案
炭酸ガス削減のためのもっとも容易な世界的合意形成法の提案
第一〇章 豊かな社会を築くための教育
雇用を重視した発想の転換
社会ルールの必要性
ガラパゴス化社会における教育の重要性
近視眼的教育の危うさ
重要な怠けものアリ
電子書籍における補遺
はじめに
一般感覚に基づく誤解
エネルギー構造変化において必要な留意事項
引用文献一覧
おわりに
著者略歴
[担当からのコメント]
現代の生活に欠かすことができない電力は、地球環境と私たちをつなぐ最も身近な存在といって良いかも知れません。便利で快適な自分の生活と持続可能性が脅かされている地球環境の未来を天秤にかけたうえでどう判断していくのか、ぜひ本書を読みながら一緒に考えてみてください。
[著者略歴]
近久武美(ちかひさ たけみ)
1954年北海道石狩郡当別町に生まれる。
北海道大学大学院工学研究科博士課程修了 工学博士(北海道大学)
1982年から北海道大学工学部機械工学科において講師、助教授、教授、北海道大学大学院工学研究院エネルギー環境システム部門特任教授を経て、現在、北海道職業能力開発大学校校長・北海道大学名誉教授
研究分野 機械工学、熱工学、内燃機関、燃料電池
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