島の賦【電子書籍版】
(著) 西敏男
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―子供が存分に子供でいられた、あの懐かしき日々―
島の子どもは、牛もヘビも虫もカエルも、人間と同じく大切な仲間だと思っていたりする。島の子どもは、親に言われて農作物を売り歩いたり漁師と魚の交換交渉をしたりと、小さいながらも大人の世界へと分け入っていったりもする。島の子どもは、ときに取り締まりから自家製密造酒を守るべく、島を全力疾走する。そして島の子どもは、夏の終わりの淋しさをふり払うために、仲間たちと大声で野山を走り回るーー昭和二十年代から三十年代にかけての戦後のどさくさを農業と漁業を生業とする小さな島で過ごした少年たちの日々を、郷愁を込めて綴った回顧録。
[目次]
僕らの時代(まえがきに代えて)
僕らの暮らし
暮らしの中で
オトラおばさん
オー、エッチ、ケイ
ちょうせんどうらん
ディヤードンサマ
卵かけご飯
自然と共に
おんたろじょうこ
便所のハチ
麦刈り
オゴ採り
赤だき
大人にまじって
いわし網船
泊まり宿
芋の出荷
バラス採り
ドン突き
親の背中
ウンチのくみ取り
金平糖(こんぺいとう)
ラジオ体操
父のふんどし
僕らの役目
田植え
村役
水くみ
風呂沸かし
牛
ものを思う
オヤケサマ
「ごぜさん」
「牛の小屋」
そろばん宿(やど)
ちりりん川
行事あれこれ
飯喰(めしく)う会
日曜学校
おだいさま
七夕様
十五夜様
僕らの事件
ときめき
密造酒
ウタムラ先生
初めてのこと
カラスの巣
電灯が点(とも)った
驚き
ぽんちゃん先生の弁当
ハエ捕りコンクール
竹泥棒
ヘ ビ
鏡里・千代の山
笑い
消防車
仏壇のリンゴ
寝しょんべん
輪ゴム泥棒
ぶりの刺身
寂し
わが子ば喰(く)うた話
習字紙
「うしゃはまに」
となりの兄(あん)ちゃん
「あっちんもん」
[付録] 小値賀島の子ども活き活き方言図鑑
後 記
著者略歴
[担当からのコメント]
経済的には貧しくても卑屈にならない明るさと強さをもった少年たちの姿には、不思議と懐かしさを感じます。子供が子供らしくいられるのは、真面目で誠実な環境を大人たちが支えたからなのだろうと思います。決して戻ることのない時代、でもそこには私たちが置き忘れてきたものがあるような気がします。ぜひご一読ください。
[著者プロフィール]
西 敏男(にし・としお)
一九四二年 長崎県北松浦郡小値賀町(五島の更に小さな離島)生れ。
現在、長崎市在住。作品は他に、「賦」シリーズ三巻出版。
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