岩木山の神と鬼ーー津軽の民俗世界を探究する

(著) 畠山篤

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―神と鬼、日本人の信仰をめぐるフィールドワーク―
山自体が御神体として崇敬され、津軽平野の有力な水源地として村里や平野を潤してきた霊峰・岩木山。岩木山の神の由来を説く三つの物語や津軽一円の鬼伝承とは異なる鬼沢集落の鬼神堰の由来譚など、ここには鬼・山人・大人伝承による豊かな民俗世界が存在している。ーー鬼・山人・大人伝承を採集し、鬼・山人・大人を祭神にする鬼沢の伝承のあり方を考察しながら、先史以来の山の神への信仰から寺社の伝承へと至る経緯を展望した神と鬼の民俗学。

[目次]
一章 岩木山の神の由来譚の生成 ―百沢寺・イタコ・村人の語りー
一 はじめに
二 百沢寺が語る岩木山権現由来譚
三 丹後日和の由来とその展開
四 最勝院が語る山王権現由来譚
五 高照神社が語る岩木山権現由来譚
六 三つ目の丹後日和の由来
七 丹後日和の背景と変容
八 イタコが語る〈お岩木様一代記〉
九 〈お岩木様一代記〉の原祭文
一〇 東アジアに流布するシャーマン文化
一一 赤倉山の日神を祀る女性シャーマン
一二 佐渡と丹後の〈安寿語り〉
一三 村人が語る三姉妹の神座争い譚(1)―二類の伝承―
一四 村人が語る三姉妹の神座争い譚(2)―神座争い譚の生成―
一五 三つの由来譚の生成と変容
一六 結 び
引用文献・参照文献
二章 津軽の鬼・山人・大人伝承 ―その古層と新層―
一 はじめに
二 伝承の分布・分類とその古層・新層
三 単純型
四 山幸型
五 農耕型
六 鉄器型(1)―岩木山北西麓の伝承―
七 鉄器型(2)―赤倉山の鬼が打った名刀―
八 カミサマ(民間巫者)型(1)―永助様―
九 カミサマ(民間巫者)型(2)―金兵衛と浅次郎―
一〇 退治・服属型(1)―百沢寺の語り―
一一 退治・服属型(2)―太田家の語りー
一二 退治・服属型(3)―猿賀神宮寺と赤石川流域の修験の語りー
一三 権威者守護型
一四 結 び
引用文献・参照文献
三章 岩木山の鬼と水利伝承 ―鬼沢の民俗世界―
一 はじめに
二 『津軽旧事談』の鬼・山人の足跡
三 『津軽俗説選』の大人の談
四 『弘藩明治一統誌』の鬼神社の伝承(1)―神人の弥十郎―
五 『弘藩明治一統誌』の鬼神社の伝承(2)―水利伝承―
六 『弘藩明治一統誌』の鬼神社の伝承(3)―御神体と鬼の土俵―
七 『弘藩明治一統誌』の鬼神社の伝承(4)―祭神と祭日・鬼の柏―
八 『続々津軽のむがしこ集』の鬼神社の由緒
九 『津軽俗説選』の鬼を祭る宮の伝承
一〇 鬼沢の七日堂祭(1)―赤倉の鬼と鉄―
一一 鬼沢の七日堂祭(2)―基層にある家の正月行事―
一二 鬼沢の七日堂祭(3)―鬼伝承と三拍子行事・御柳行事―
一三 鬼沢の七日堂祭(4)―稲筵川副柳の祝い歌―
一四 鬼沢の七日堂祭(5)―鬼伝承と七日堂祭―
一五 鬼沢寺・鬼の寺の三つの伝承
一六 悪鬼伝承と無縁な鬼沢
一七 鬼・山人・大人の原像と変容
一八 結 び
引用文献・参照文献
著者略歴

[担当からのコメント]
古い神社の由来には山と関係しているものも多くありますが、それらは縄文から続く日本人の信仰の中に山が深く根付いていることを思わせます。そうした日本人の信仰は、農耕をはじめとする生活世界の変容や仏教との関わりの中でどの様に移り変わっていったのか、本書はそんな知的探究心を刺激する研究となっています。ぜひご一読ください。

[著者略歴]
畠山 篤(はたけやま・あつし)

1946年3月、秋田県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程満期修了。現在、弘前学院大学大学院文学研究科教授。博士(民俗学)(國學院大學)。
著書に、『沖縄の祭祀伝承の研究―儀礼・神歌・語り―』[2006・瑞木書房・日本学術振興会平成17年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)交付]、『能舞〈鐘巻〉の復原』[2015・弘前学院出版会]、『万葉の紫と榛の発想―恋衣の系譜―』[2020・アーツアンドクラフツ]、『山人・海人伝承と河内王朝―枯野琴と国栖奏に見る祭祀・服属と記紀の論理―』[2021・22世紀アート]など。

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