奥のおくの細道:芭蕉が秘した神代へと続くその道をたどる
(著) 配山實
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―それは、神代にまで通じる長く細い道である―
陸奥地方を中心とした、いわゆる「陸奥紀行文」である松尾芭蕉の『奥の細道』。しかし、この名著における紀行文としての一面はあくまで仮面にすぎず、その裏には神道にも通底する俳諧道の奥義がしたためられていると著者は主張する。本書では、そんな『奥の細道』の本文を参照しながら、芭蕉が神代の昔にまで思いを馳せてこの作品をしたためたということを大胆に、かつ丁寧に検証していく。ーー自身の心が易々と明かされることを恐れ、隠微な文章の影に本心を潜めた芭蕉は、この作品でいったい何を語ろうとしていたのか。古代文化や神話世界に深い見識を持つ著者が丹念な検証の先に生み出した、『奥の細道』のさらに奥に踏み込む意欲的な一書。
[目次]
序
草の戸も住替る代ぞひなの家
行春や鳥啼魚の目は泪
草加と増賀聖
風雅的絶景・室の八島
芭蕉にとっての仏教
あらたうと青葉若葉の日の光
剃捨て黒髪山に衣更
暫時は滝に籠るや夏の初
那須野
黒羽館代何がし
木啄も庵はやぶらず夏木立
野を横に馬牽むけよほととぎす
田一枚植て立去る柳かな
白河関
風流の初やおくの田植うた
世の人の見付ぬ花や軒の栗
花かつみ
早苗とる手もとや昔しのぶ摺
歌枕に殉死した藤中将実方
笈も太刀も五月にかざれ帋幟
武隈の松
あやめ草足に結ん草鞋の緒
壷の碑
松島
石の巻
平泉
蚤虱馬の尿する枕もと
古代の面影を偲ぶ尾花沢
閑さや岩にしみ入る蝉の声
五月雨をあつめて早し最上川
有難や雪をかほらす南谷
出羽三山
鶴岡、酒田
象潟
越中の国一振り
わせの香や分入右は有磯海
加賀の府・金沢
曽良との別離
曽良とうった一芝居
散柳と引裂れた扇
気比の明神夜参と待酒
月一夜十五句
萩の塵
蛤のふたみに別れ行秋ぞ
桃青の死と作品・奥の細道
あとがき
『奥のおくの細道』参考文献一覧
著者略歴
[担当からのコメント]
ある作品を味わう時、自分以外の読者や研究者の意見を聞くことで、予想外の発見があったり、さらに深い感動が広がることがあります。そういった意味で、日本神話や古事記といった視点から『奥の細道』を紐解く本書は、これまでとは一味違った発見をもたらしてくれるはずです。『奥の細道』に少しでも興味のある方は、ぜひご一読ください。
[著者略歴]
配山 實(はいやま みのる)
1937年、奄美大島に生まれる。
東アジアの古代文化を考える会会員。
著書
『縄文の巫女の道』(かのう書房)
『倭と日本』(踏青社)
仮面の会会員
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