大相撲の社会学──力士のライフコースから相撲部屋の社会構造まで、スポーツ社会学から考察する

(著) 生沼芳弘

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作品詳細

[商品について]
―大相撲も日本社会も、遡れば「家」にたどりつく―
江戸時代の勧進相撲がプロ化する過程に形成され、師匠である親方とその弟子による生活共同体である「相撲部屋」。この世界でも類を見ない制度はいかなる特質、いかなる社会構造を持っているのかーー伝統的な大相撲の世界を「部屋制度」と「家」の枠組みから捉え、実際に高砂部屋で2年にわたり力士たちと寝食を共にしてフィールドワークを重ねた自身の先行研究をもとに、ライフコースをはじめとする社会学的な切り口で考察したユニークな論考集。

[目次]
はしがき
序章 問題と研究方法
第一章 相撲社会の人口とその居住形態
第一節 相撲社会の人口推移
第二節 相撲部屋の分布
第三節 相撲部屋の居住形態
第二章 相撲部屋の社会構造
はじめに
第一節 高砂部屋を構成する人々
一、部屋の建物構造
二、部屋の力士たち
三、部屋の師弟関係
四、部屋の「おかみさん」
五、部屋の年寄衆
第二節 高砂部屋のその他の所属員
一、行司
二、若者頭
三、世話人
四、呼出し
五、床山
第三節 相撲社会の報酬
一、年寄
二、関取
三、力士養成員
四、行司
五、若者頭・世話人・呼出および床山
六、旧時の報酬配分方法
まとめ
第三章 相撲部屋の一門関係
第一節 相撲部屋と一門
第二節 相撲部屋の系譜
一、相撲部屋の継承
二、高砂部屋の系譜
三、伊勢ノ海部屋の系譜
四、系譜と一門関係
第四章 相撲社会の変動過程
はじめに
第一節 宝暦七年(一七五七)と宝暦十三年(一七六三)
一、宝暦七年(一七五七)
二、宝暦十三年(一七六三)
三、幕内力士と年寄のライフコース
第二節 寛政三年(一七九一)
一、寛政三年の幕内力士
二、寛政三年の年寄
三、幕内力士と年寄のライフコース
第三節 文政六年(一八二三)
一、文政六年の幕内力士
二、文政五年の年寄
三、幕内力士と年寄のライフコース
第四節 嘉永三年(一八五〇)
一、嘉永三年の幕内力士
二、嘉永三年の年寄
三、幕内力士と年寄のライフコース
第五節 明治十三年(一八八〇)
一、明治十三年の幕内力士
二、明治十九年の年寄
三、幕内力士と年寄のライフコース
第六節 明治四十二年(一九〇九)
一、明治四十二年の幕内力士
二、明治四十二年の年寄
三、幕内力士と年寄のライフコース
第七節 昭和十五年(一九四〇)
一、昭和十五年の幕内力士
二、昭和十五年の年寄
三、幕内力士と年寄のライフコース
第八節 昭和四十五年(一九七〇)
一、昭和四十五年の幕内力士
二、昭和四十五年の年寄
三、幕内力士と年寄のライフコース
まとめ
結章 相撲社会の特質
第一節 相撲部屋と家制度
第二節 相撲部屋の一門と同族
相撲用語集
"THE SOCIAL SYSTEM OF THE SUMO TRAINING SCHOOL"
Abstract
INTERNATIONAL REVIEW OF SPORT SOCIOLOGY Volume 1 (18) 1983
1. INTRODUCTION
2. METHOD
3. THE STRUCTURE OF THE TRAINING SCHOOL
3.1. THE TRAINING SCHOOL AS A FICTION OF THE HOUSEHOLD (IE)
3.2. THE DOZOKU RELATIONSHIP IN THE TRAINING SCHOOL
4. THE WORLD OF THE RIKISHI
4.1. SOCIO-PHYSICAL ARRANGEMENT
4.2. THE HIERARCHICAL ARRANGEMENTS OF THE RIKISHI
4.3. THE LIFE OF RIKISHI IN THE TRAINING SCHOOL
4.4. THE REWARD SYSTEM
5. SUMMARY AND CONCLUSION
BIBLIOGRAPHY
著者紹介

[担当からのコメント]
老若男女問わず現在でも日本人に人気の大相撲ですが、その社会はどこか特殊と感じる方も多いのではないでしょうか。本書を読んでいると、非常に日本的な「家」制度を体現している相撲社会を私たちはいつから「特殊」と感じるようになったのか、そんなことを思わされます。スポーツ社会学だけでない示唆に富む本書、ぜひご一読ください。

[著者紹介]
生沼 芳弘(おいぬま よしひろ)

1952年 神奈川県南足柄市に生まれる。
1974年 東京教育大学体育学部卒業
1976年 東京教育大学大学院修士課程修了(体育社会学専攻)
1993年 成城大学大学院博士課程修了(日本常民文化専攻)
1994年 東海大学体育学部助教授、博士(文学)
1997年 東海大学体育学部教授
2017年 東海大学名誉教授、同年退職
2021年 病没・行年69歳

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