夢虫 : 詩集【電子書籍版】
(著) 高橋玖未子
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―人を映し、生を映す言葉たち―
部屋中が書きかけの紙片で覆われている/筆記用具は容易に見つけ出せない/カップの中の飲み残しのコーヒーの汚濁/タンスの前のたたみかけたままの衣類の山/あともう少し/こんなところへあなたが来たとしても/今はとても会えない/会いたくない(「時間をください」より)
女であること、娘であること、母であること、そして詩人であること──それぞれの心の襞は言葉となり、言葉はやがて色彩と感触を伴って、読むものの中に深く静かに浸み込んでゆく。繊細な感性で独自の世界を生み出し続ける詩人の、31篇の詩を収めた第5詩集。
[目次]
一章 夢虫
夢虫
脳内ネズミ
におい
時間をください
掃除をする女
蝶
樹考
へこませているものがあったような
アスタリスク*
空気砲
二章 バラスト水
化粧
風の果て
秋彼岸
焼却
バラスト水
鳥声
抱卵
ピアスの穴
未生の者に
鍋を磨く
三章 流星群の夜
未来神話
あふれ出る砂
消えた泉
パランティアの石
北の賽の河原で
耳を澄ませば
メモリアル・デーに
流星群の夜
待合室
街を歩き続けると
空の高さ
あとがき
著者略歴
[担当からのコメント]
詩にはさまざまな形がありますが、言葉の向こうに人生や生活のにおいを感じることができる作品は、折に触れ何度でも読み返したくなる独特の魅力があります。本書の詩を通じて、そんな魅力を楽しんでいただければ嬉しく思います。
[著者略歴]
高橋玖未子(たかはし・くみこ)
1954年 青森県北津軽郡板柳町に生まれる。
詩集『空白な微笑の陰に』(1984年私家版)
詩集『高橋玖未子詩集』(1989年近文社刊)
詩集『けもの落とし』(1998年路上社刊、青森県詩人連盟賞)
詩集『アイロニー・縫う』(2004年書肆青樹社刊、青森県文芸賞)
「飾画(かざりえ)」「青い花」同人、日本現代詩人会会員
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