地震鯰はここにいる!
(著) 吉田いち子
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[商品について]
―太郎は、地震を起こすナマズに出会うことができるのか―
高い建物が立ち並ぶ街中の、緑豊かな公園の中にある大きな沼。その深い泥の中でパパとママ、そして妹と一緒に暮らすナマズの太郎は、ある日大きくて立派なナマズが描かれた古ぼけた一枚の絵を目にします。
それは地球に地震を起こし、遠い海のどこかに住んでいるといわれる大ナマズ様の姿を描いたものでした。神様みたいなそのナマズに会いたくなった太郎は、ママに作ってもらったクッキーと、妹の赤いリボンをお守りに持って、パパに教わった川につながっている沼の水路から、海に向かって出発するのでした――。
太郎の冒険を通じて、生きている地球の姿を活き活きと描いた、一匹のナマズの学びと成長の物語。
[出版社からのコメント]
地震や噴火は人間にとってはおそろしい災害ですが、それは内部に巨大なエネルギーを持っている地球が、生きた星として活動していることの証でもあります。本書の中でナマズの太郎と冒険しながら、長い年月をかけて活動する地球の声を感じていただければ嬉しく思います。
[著者プロフィール]
吉田 いち子(よしだ・いちこ)
1954年、東京に生まれる。
日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。
2004年に退職し起業。
株式会社吉田事務所を設立。
2012年にNPO法人「としまの記憶」をつなぐ会を立ち上げ、 語り部の大正、昭和の記憶を取材し動画で保存する活動をしている。
吉田事務所 https://www.1-plus.co.jp 「としまの記憶」をつなぐ会 http://movie.toshima-kioku.jp
[読者から頂いたお声]
ナマズとクジラのかわいい表紙。バックには海の波。気持ちよさそうに仲良く泳いでいる。絵本のようで子供も興味を持ちそうです。
プロローグに、人間、動物、植物がみんな一緒に住んでいる地球と書かれている。宇宙から見れば、ちっぽけな地球。でもその中には、たくさんの、何通りもの、それぞれの人生がある。それを包み込んでいる地球。陸と海の区別があるのは地球だけなんだ。改めて感心しました。日本は四季のある素晴らしい土地だと今まで思っていたけれど、最近は温暖化の影響などで天気も乱れてきているのか、大雨もしょっちゅうあるし、地震もよくある。でもこれもすべて地球そのものの仕業。
とある街中の公園。その中の大きな沼に住んでいるナマズの太郎。オモチャの中から偶然見つけた絵は大ナマズの絵。地球の地震を操るというナマズの神様である。遠い海に住んでいる大ナマズ様に会いに行きたいという好奇心を持つ太郎を心よく送り出すパパとママは素晴らしい!
大冒険の最初に出会うのは大きなクジラ。そしてその子供の小さなクジラのミクリン。と言っても太郎よりずっと大きいのだが。一緒に大ナマズ探しの旅に付き合ってくれる。ウミボウズに出会ったり、カイザーンに出会ったり。さまざまな出会いがある。カイザーンはそのものだけでなく、海底でずっと連なっている。海の底の光景が目に浮かぶようで、楽しくなる。カイザーンをたどってホットスポットに出会うと、溶岩を積み重ねながら子供を作っていると言った。北の海から南の海へ、海の底も陸と同じでずっとどこまでもつながっていると思うととても神秘的だ。
旅の途中でママのことを思い出してなつかしくなったりもするけれど、太郎は旅をあきらめない。西に向かえば、海底の割れ目から煙と泡を出しながら、ドロドロ熱く流れているものがある。ダンゾー、ギャウーとみんなそれぞれの役割があって、みんなで海の底を動かしている。新しい海の底を作り、陸地を持ち上げ、そうして陸の上の生物も海の中の生物も共存しながら生きているわけだ。
東の海へ向かうと海の底を一周したことになり、太郎の家も近づいてきて、そろそろ旅も終盤。海の中の雪、マリンスノウに出会い、クジラの親子ともお別れ。そしていよいよ大ナマズ様とのご対面。大ナマズは地震を起こして地球にたまった元気を時々吐き出し、地球を元気にしている、その総監督の立場。
この本は、溶岩の仕組みや地球の成り立ちを、子供にも大人にもわかりやすいたとえで書かれています。子供たちに読み聞かせてあげるのも楽しそう。太郎と一緒に自分も海の底を旅する気持ちになって、地球や自然のことを自分なりに考えられる。
地球は優しいけど怖い、でも自然の発するサインを見逃さず、うまくつきあっていけたらいいなと思う。
太郎は大ナマズの跡を継ぐ。太郎は太郎のやり方で地球にも生物にも優しい世界の元を作っていってくれますように。
(50代:女性)
本書は、子どもでも読める優しい物語でした。古くから言い伝えられているナマズが地震を起こしているという昔の方々の想像や歴史を伝えるとともに、地震から地球が生きているという環境問題について考えるきっかけとなる物語がとても秀逸だと思いました。
そして、今回の「要石」をきっかけに物語を考えられたように、こういった形で昔の人たちがどんなことを考えていたのか、自然の問題とどう向き合ってきていたのか。そういった伝承や物語を後世に伝える形としても素晴らしいと思いました。こういった昔の人たちの考えというのは、時代とともに忘れ去られてしまうこともあったでしょうし、その地域に行かなければ知ることができない言い伝えも多いと思います。それらを積極的に調べることは一般的には難しいと思いますが、だからこそ、著者様のように伝え、広めてくださる方は非常に稀有な存在だと思います。そして、紡がれる物語のひとつひとつがとても貴重なものとなると思います。今回私は本書に出会えてよかったと思っています。
また、取り上げられている地震というテーマは、日本において、とても難しいテーマだと思います。しかし、ナマズと地震という伝承を引用し、誰も傷つかないこの物語は、過去に地震で辛い経験とされた方々でも抵抗感をあまり持つことなく読むことができるのではないでしょうか。それは、子どもに地震について教え伝えるひとつの方法出もあると思うのです。震災が今も続いている方々はたくさんいらっしゃいます。その方々の中にはお子様がいる方も多いと思います。本書はそんな方々の助けにもなる一冊だと私は思います。著者様の優しさが物語に反映されているからこその特徴なのではないかなと考えています。
私自身も本書を読んで、将来子どもができたら読み聞かせたい物語のひとつとなりました。本書を通して、地震についてや地球環境についてなど子どもと一緒に考えることができたら嬉しいです。(30代:男性)
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