地域自治組織は住民自治を実現するか──イギリスのパリッシュとコミュニティとの比較から日本の地域自治組織の民主化の可能性を探る
(著) 山田光矢
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―住民の日常生活圏に密着した身近な自治組織・パリッシュ―
イングランドの地域自治組織でありヨーロッパ最古の地方の単位の一つである「パリッシュ」は、基礎自治体広域化の流れにあって住民の声を繊細に集める役割を果たしている。一方、地方自治における行政能力の向上と効率化を求めて市町村合併を繰り返してきた日本では、効率性の中で行政サービスの充実性をいかに担保するかという課題に直面している。そうした問題意識のもと、本書ではパリッシュの歴史を繙き、その形成過程や機能、法的な地位、役割などを詳細に分析しながら、「まち」を単位とした共同社会の復権の可能性を探っていく。日本の地方自治を考えるうえでも示唆に富む一書。
[目次]
はじめに
第一部 日本とイギリスの地方自治制度改革の歴史
第一章 地方自治制度改革の理論と憲法
第二章 日本とイギリスの行政国家における地方自治制度改革の歴史
第三章 日本とイギリスの一九九〇年代以降の 地方自治制度改革の歴史と現状
第二部 イングランドにおけるパリッシュ等の歴史と実態
第一章 イギリス地方自治制度の現状
第二章 イングランドとウェールズの社会と地方自治制度改革の歴史
第三章 イギリスの地方自治制度改革の実態
第四章 パリッシュとコミュニティの沿革
第五章 パリッシュとコミュニティの権限と機能
第六章 ローカル・カウンシルの実態 ――イースト・グリンスティッド・タウン・カウンシルと リングメア・ヴィレッジ・カウンシルをモデルとして――
第七章 ローカル・カウンシル連合協議会とパリッシュ・カウンシル――サセックス・ローカル・カウンシル連合協議会を中心として――
第三部 日本の地域自治組織の生成と現状
第一章 平成の大合併後の身近な行政の展開 ─コミュニティ行政の実態─
第二章 東京における区市町村の実態と自治制度の変革
第三章 長崎県島嶼部の平成の大合併と地域おこし
第四章 長野県の地方制度の特質
第五章 長野県の小さな拠点や総合型地域スポーツ クラブ等を通して見た地域づくりの進展と将来
第六章 日本の地域自治組織の民主的運営と選挙 ―日本、イギリス、ドイツ、アメリカの地域自治組織と選挙制度の対比を中心として―
参考文献等
おわりに
著者略歴
[担当からのコメント]
本書を読んでいると、入る人が少なくなって存続の危機を迎えている自治会のことがふと頭に浮かんできます。支えあい、連帯して共存していくというかつては当たり前であった意識が希薄になっている社会構造にも問題はあるのかも知れない、そんなことを思わされます。読むほどに思考を刺激される本書、ぜひご一読ください。
[著者略歴]
山田 光矢(やまだ・みつや)
1949年 山形県山形市に誕生
1972年 日本大学法学部政治経済学科卒業
1979年 日本大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程後期満期退学
1984年 国士舘大学政治経済学部専任講師(行政学、自治制度論等担当)
1993年 国士舘大学政経学部教授(行政学、自治制度論等担当)
1999年 日本大学法学部教授(行政学、地方自治論、政治学等担当)
2020年 日本大学大学院法学研究科政治学専攻非常勤講師(現職)
主要著書
単著
『パリッシュ』北樹出版、二〇〇四年
共著
『地方自治論』弘文堂、二〇一二年
『行政管理の指数』(財)行政管理研究センター、一九九九年
『アジアにおける工業化の諸問題』国士舘大学政経学部創設三五周年記念双書第二巻一九九七年一一月
『現代政治の解明』北樹出版、一九九六年五月
『行政と管理』(財)行政管理研究センター、一九九三年
『行政管理のシステム』勁草書房一九九三年
主要論文
「小さな拠点や総合型地域スポーツクラブ等を通して見た長野県の地域づくりの進展とその将来」『法学紀要』第六一巻、二〇二〇年
「平成の大合併後の身近な行政の展開─コミュニティ行政の実態を中心として―」『政経研究』第五六巻第四号、二〇二〇年
「日本とイギリスの冷戦終焉期以降の地方自治制度改革の歴史と日本の今後」『政経研究第五六巻第三号、二〇一九年
「東京における町村の現状と選挙および自治制度変革の必要性」政経研究第五六巻第二号、二〇一九年
「長野県の地方制度の特質─広域連合を通した広域行政の特殊性と他の都道府県への影響―」『政経研究』第五五巻第四号、二〇一九年三月
「群馬県の地方創生」『櫻文論叢』第九十六巻、二〇一八年
「四国四県の地方創生─広域連携、地方(地域)創生とブランド戦略等を中心として―」『法学紀要』第五九巻、二〇一八年
「長崎県島嶼部の平成の大合併と地域おこし」『政経研究』第五三巻第二号、二〇一六年
「秋田県の地方創生─藤里町、にかほ市を中心として─」『政経研究』第五三巻第一号、二〇一六年
「沖縄県における国境離島の地域おこし─八重山地域(石垣市と与那国町)を中心として─」『法学紀要』第五七巻、二〇一六年
「沖縄県の義務教育教科書採択地区を通してみた平成の大合併と広域行政─八重山地域の教科書問題を中心にして─」『政経研究』第五二巻第二号、二〇一五年
「日本と韓国(韓国と日本)の地方分権改革と地方活性化の現状─釜山広域市と対馬市の交流を中心として─」『法学紀要』第五六巻、二〇一五年
「滋賀県の平成の大合併とその後─滋賀県における広域行政の特徴と問題点―」『政経研究第五〇巻第三号、二〇一四年
「地域主権改革と地方行財政」『政経研究』第四九巻第四号、二〇一三年
「北海道における平成の大合併と地方分権改革」『政経研究』第四八巻第三号、二〇一一年
「鳥取県の平成の大合併の経過とその後」『政経研究』第四八巻第二号、二〇一一年
「市町村合併と広域行政」『政経研究』第四六卷第三号、二〇〇九年
「地方自治と選挙制度─日本とイギリスとドイツの対比を中心として─」『日本大学法学部創立一二〇周年記念論文集』第二巻、二〇〇九年
「行政改革の理論と実践」『政経研究』第四一巻第四号、二〇〇五年
「イングランドのパリッシュに学ぶ日本の市町村合併のあり方」『生活経済政策』第九五号、二〇〇四年
「日本の地方分権の推進と首都機能移転論」『政経研究』第三九巻第四号、二〇〇三年
「イギリスの地方自治制度改革の方向性と日本」『政経研究』第三九巻第三号、二〇〇二年
「イギリスの大規模自治体とパリッシュ、コミュニティ、タウン」『月刊 自治研』第四四号、二〇〇二年
「地方分権と地方公共団体の公的法人」『桜文論叢』第五五巻、二〇〇二年 等
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