医薬品GLPと毒性試験の基礎知識 改定新版
(著) 馬屋原宏
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―患者の命をまもり、日本の新薬開発を推進するための技術の基礎を学ぶ―
医薬品業界の国際化が進み新薬開発競争が年々激化する中で、高齢化による医療費の増大を抑制するための連続する薬価切り下げ等の影響を受けて、日本の製薬企業は特に苦境を迎えている。そのため、例えば新型コロナウイルスの大流行に対抗するためのワクチンや医薬品の開発競争において、日本の製薬企業は、海外の製薬企業に完敗を喫し、国産ワクチンや医薬品を流行に間に合うように開発することができなかった。しかし、それでも日本は、新薬や医療技術開発を自力で実施可能な数少ない先進国の1つであり、今後も新薬や医療技術開発を発展・継続していく必要がある。政府も2021年9月に「医薬品産業ビジョン2021」を発出して、新薬開発を促進する方向に舵を切ったーー本書は従来より新薬や医療技術開発の発展にとって重要となる、毒性試験法ガイドライン類、GLP及びGLP適合性調査、GLPの解釈や運用に関する国際的な相違点に対する必要な知識を1冊の書籍にコンパクトに解説した、日本で唯一つの入門書であったが、このたびその最新改訂版が電子書籍で登場した。
[目次]
序
はじめに
第1章 薬害はどのようにして起こったか
1.キノホルム事件
2.クロロキン網膜症事件
3.サリドマイド事件
4.ソリブジン事件
第2章 薬害事件と規制強化
1.米国の医薬品規制
2.日本における薬害と規制の強化
第3章 医薬品はどのように開発されるか
1.非臨床開発段階
2.臨床開発段階
第4章 毒性試験
1.「毒性」,「薬理作用」,「薬効」,「副作用」の定義
2.薬効と副作用の関係
3.「毒性試験」,「非臨床試験」,「非臨床安全性試験」,「前臨床試験」の定義
4.毒性試験の目的
5.動物福祉と毒性試験代替法
第5章 ICHと毒性試験法ガイドライン
1.ICHとは何か
2.ICHガイドラインの種類と現状
第6章 毒性試験法ガイドライン各論
6-1 単回投与毒性試験(急性毒性試験)
6-2 反復投与毒性試験
6-3 遺伝毒性試験
6-4 がん原性試験
6-5 生殖発生毒性試験
6-6 トキシコキネティクス(毒性試験における全身的曝露の評価)
6-7 免疫毒性試験
6-8 抗悪性腫瘍薬の非臨床試験
6-9 皮膚感作性試験
6-10 光安全性評価(光毒性試験)
6-11 皮膚光感作性試験
6-12 バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床安全性評価
第1部
第2部
6-13 安全性薬理試験
6-14 心室再分極遅延(QT間隔延長)の非臨床的評価
6-15 医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験の実施についてのガイダンス
6-16 マイクロドーズ臨床試験
6-17 感染症予防ワクチンの非臨床試験
6-18 医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス
6-19 小児用医薬品開発の非臨床安全性試験
第7章 医薬品GLP
1.GLPとは何か
2.GLPはなぜ必要か
3.米国におけるGLPの成立
4.日本におけるGLPの成立とその後の歴史
5.GLPの種類
6.GLPの目的と適用範囲
7.GLP省令とその施行通知との関係
8.GLP省令の構成
9.GLPとガイドラインの関係
第8章 医薬品GLP省令の内容
1.GLP第1章 総則(第1条~第4条)
2.GLP第2章 職員及び組織(第5条~第8条)
3.GLP第3章 試験施設及び機器(第9条・第10条)
4.GLP第4章 試験施設等における操作(第11条・第12条)
5.GLP第5章 被験物質等の取扱い(第13条・第14条)
6.GLP第6章 試験計画書及び試験の実施(第15条・第16条)
7.GLP第7章 報告及び保存(第17条・第18条)
8.GLP第8章 複数の場所にわたって実施される試験(第19条)
第9章 GLP適合性調査
1.GLP適合性調査とは
2.GLP適合性調査と製造販売承認申請時に添付すべき書類との関係
3.GLP適合性調査の歴史と薬機法(改正薬事法)の施行による変更点
4.機構によるGLP適合性調査
第10章 日本のGLPと欧米のGLP ―解釈と運用の差―
参考文献
著者紹介
[担当からのコメント]
本書は非常に専門的な内容を含んでおり、医学・薬学関係者には実り多い内容になっていますが、医療業界とは関わりのない一般の方々にとっても、自分たちがお世話になっている薬がどの様に開発されているのか、その一端を垣間見ることが出来るという点で有用な一書です。ぜひご一読ください。
[著者紹介]
馬屋原 宏(まやはら ひろし)
1940年広島県に生まれる。
学歴:京都大学大学院理学研究科修士課程修了(京都大学理学博士,同医学博士)
職歴:京都大学理学部動物学教室助手,米国テキサス州立大学医学部(Galveston校)細胞生物学研究室Research Associate,京都大学医学部解剖学教室助教授を経て(株)武田薬品工業入社,薬剤安全性研究所等に勤務,主に製薬協・ICH業務担当。定年退職後,(株)国際医薬品臨床開発研究所(InCROM)理事,品質保証部部長,(株)JCLバイオアッセイ 常勤監査役を経て現職。
専門:細胞学,組織学,電子顕微鏡的細胞化学,毒性病理学,レギュラトリーサイエンス
主な著作:
(単独執筆):「日本人と英語」,薬事日報社(2016),「医薬品GLPと毒性試験の基礎知識」改訂第2版,薬事日報社(2016)(同初版),薬事日報社(2011),「誰でも書ける最終報告書・英語論文」,薬事日報社(2008)
(共著):「マイクロドーズ臨床試験―理論と実践」(じほう,2007),「臨床薬理に基づく医薬品開発戦略」(廣川書店,2006),From Morphological Imaging to Molecular Targeting - Implications to Preclinical Development (Springer, 2004),「承認申請のための非GLP/GLP試験の信頼性確保と生データ取り扱いの具体的手法」(技術情報協会,2003),「医薬品開発の国際的調和の歩み―ICH-6まで―」(じほう,2003),「トキシコロジー用語辞典」(じほう,2003),「非臨床試験マニュアル」(LIC,2001)(以下略)
現職:文筆業
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