人類を救う太陽光発電に人生をかけた男
(著) 桑野幸徳
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―ビジネスもエネルギー問題も、厳しい道のりの先に未来がある―
2021年には世界全体の累積量が総発電量の約4%に達した太陽光発電は、次世代のクリーンエネルギーとして多くの可能性を持ち、人類の基幹エネルギーのひとつとして期待されるようになった。本書は、集積型アモルファスシリコン太陽電池を発明し世界で初めてその工業化に成功するなど、太陽光発電に研究者人生を捧げその歴史に大きな足跡をのこしてきた著者の、研究開発と人生の記録である。技術者として、研究開発のマネージャーとして、経営者として躍進した日々を振り返りながら、太陽光発電ビジネスの現在と未来を考える示唆に富んだ回顧録。
[目次]
プロローグ
1.戦争のさなかの幼年期
(1)誕生したのは
(2)大学への進学を断念か?
(3)山岳部でロッククライミング
(4)石炭から石油への転換期に遭遇―
(5)三洋電機を選んだ理由
2.若き研究者としての失敗
(1)入社後の配属は思いもよらない研究所―
(2)物理学者山野所長との出会い
(3)異端の物質アモルファスへの挑戦
(4)商品化で失敗・この失敗で多くを学んだ
(5)アモルファスの基礎研究で大学人が励ましてくれた―
(6)アモルファス半導体の研究を止めへんで!
3.アモルファスを用いた太陽電池の開発に着手する
(1)手づくりの装置で苦戦
(2)RCAのアモルファスシリコン太陽電池の発表を報告すると山野所長は激怒する
(3)世界初の工業化への挑戦
4.新型太陽電池:集積型アモルファスシリコン太陽電池の発明へ
(1)ソーラー電卓で躍進
(2)電卓用太陽電池から電力用へ
(3)井植薫社長が自宅に太陽電池を
5.太陽光発電を電力用への助走
(1)なぜ太陽電池をもちいた太陽光発電の研究にのめり込んだか?
① 太陽のエネルギーは無限である。
② 太陽電池は半永久的寿命を持つ
③ 太陽光発電は素晴らしい
④ 太陽光発電は自己増殖できる
⑤ 環境問題の深刻化、そして化石エネルギー源が無くなる時代が
(2)当初、国のプロジェクトに参加出来ず
(3)関東メーカーは撤退、三洋電機にもチャンスが
(4)研究室の目標として「Do the best」を掲げる
(5)発明や発見は偶然だが努力しないとやってこない!
6.世界最高変換効率を有する高性能新型太陽電池 (HIT®️太陽電池)の開発
(1)難産で生まれた「HIT太陽電池」
7.自分の家での太陽光発電への挑戦
(1)業界団体太陽電池懇話会の設立(現一般社団法人 太陽光発電協会:JPEA)
(2)強力な協力者、京セラ稲盛社長と出合い
8.初めての逆潮流ありの桑野太陽光発電所はこうして実現した
(1)通常の火力発電所などと同じ設立許可が必要
(2)関西電力の多山氏との出会い
(3)桑野太陽光発電所竣工
(4)快適な太陽電池生活―
(5)多くの見学者が訪れる
(6)関西電力から自宅の電力消費がおかしいとの連絡が入る
9.新たなる挑戦、誰でもが太陽光発電を設置出来るように
(1)自宅に太陽光発電システムを設置する場合の規制制度の撤廃に向けて
(2)高価な住宅用太陽光発電に国の助成制度を創設
10.二足の草鞋、研究者から事業家へ
(1)研究者から研究開発本部室長への転籍の意向がきた。
(2)階層別プロジェクト制を新設
(3)赤字事業の立て直しへのため情報事業本部長へ、就任1年目で黒字
(4)新たに赤字のセミコンダクター(半導体)カンパニーの社長に
(5)謝罪に始まった三洋電機の社長就任
(6)現物、現場、現実を掲げる
(7)トヨタ自動車の張社長へ教えを請う
(8)新潟県中越地震が発生し三洋電機の社長を辞任
11.第3の人生・太陽光発電は基幹エネルギーを目指す
(1)世界的太陽光発電普及の時代が到来
(2)日本でも急拡大
(3)桑野太陽光発電所20年、25年、30周年記念開催
(4)太陽光発電は25から30年間発電できる
(5)リパワリングした桑野太陽光発電所
12.エピローグ ―夢を見続け、夢を追う
付記
あとがき
著者略歴と著書
[担当からのコメント]
乾電池を必要としないソーラー電卓の出現は衝撃的でしたが、今やそうした技術も当たり前のように日常生活で使われるようになりました。本書は、そんな太陽光発電の技術史としてはもちろん、研究職ではないビジネスパーソンにも興味深くお読みいただける内容となっています。ぜひご一読ください。
[著者略歴]
桑野幸徳
元三洋電機(株)代表取締役社長、大阪大学工学博士
現在:大和ハウス工業(株)取締役、太陽光発電技術研究組合名誉顧問、大日本印刷(株)顧問、(株)エコスタイル技術最高顧問、応用物理学会フェロー、太陽エネルギー学会フェロー、熊本大学フェロー。
1941年生まれ、熊本大学理学部卒業、大阪大学工学博士。1963年三洋電機(株)に入社以来、太陽電池の研究開発に従事。同社取締役研究開発本部長、情報通信本部長、半導体カンパニー社長、三洋電機(株)代表取締役社長を経てOPTEグループ(株)取締役、太陽光発電技術研究組合理事長を歴任。
この間、集積型アモルファスシリコン太陽電池を発明し、世界で最初に同太陽電池を工業化に成功した。日本太陽エネルギー副会長、大阪大学客員教授、大阪電通大学客員教授、日本政府関連の太陽電池に関する各種委員会の委員、太陽電池国際会議組織委員を歴任。
太陽電池の開発業績で科学技術長官賞、太陽光発電国際賞(PVSEC AWARD)、フルラス賞、再生可能エネルギー学会太陽発電パイオニア賞、化学技術賞など多数受賞。
著 書
(一)アモルファス 講談社 1985
(二)太陽電池とその応用 パワー社 1985 (改訂版 1994)
(三)太陽電池活用ガイドブック パワー社 1990
(四)太陽電池を使いこなす 講談社 1992
(五)新太陽電池を使いこなす 講談社 1999
(六)太陽電池もの知り博士になる本 パワー社 1993
(七)光が創るマルチメディア新時代 三田出版会 1996
(八)ディジタル革命新時代 オーム社 1998
(九)太陽電池開発の歴史 オーム社 2011
(十)自宅でできるソーラー発電のすすめ 有楽社 2011
など多数。
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