ボヴァリー夫人 ――主題と変奏――
(著) 諏訪裕
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―虚構の中にあるフローベールの仕掛けが、テクストと共に物語を奏ではじめる―
フローベールの長編小説にして代表作でもある『ボヴァリー夫人』。このフランス文学史上屈指の名作を読み解くためには、テクストへの深い洞察が欠かせない。本書では、『ボヴァリー夫人』のテクストの中から《ici》と《ailleurs》に着目し、それらを核として作品全体のテーマを追求ながら、やがて悲劇へと至るエンマの物語の真の意味を捉えようと試みる。併せて《bleu》という色の形容詞や《物音》が物語の中で果たす役割を《ici》と《ailleurs》との関わりにおいて考察してゆく。重層的な物語世界を読み解く刺激的で示唆に富む論考集。
[目次]
序 文
第1部
主 題
《ici》と《ailleurs》
第1章 《ici》、《ailleurs》とは何か
第2章 『ボヴァリー夫人』における
《ici》、《ailleurs》とは何か
第3章 エンマの欲望
――あるいは媒介された欲望
第4章 《ici》と《ailleurs》の戯れ
第5章 《ailleurs》への到達は可能か
第2部
変奏
第1章 なぜ《bleu》か
第2章 フランス語における《bleu》
第3章 『ボヴァリー夫人』における《bleu》
第1章《物音》について
第2章 シャルルと《物音》
第3章 エンマと《物音》
NOTES
あとがき
著者略歴
[担当からのコメント]
文学作品と対峙する読者は常にテクストと対話するのであって、そこに不可避の要素として作者は存在せず、テクストの読解という愉悦を通じてのみ私たちは文学の真の快楽に到ることができる、本書はそんなことを改めて思わせる論考集になっています。ぜひご一読ください。
[著者略歴]
諏訪 裕(すわ ひろし)
1948年生まれ。大阪大学卒業。
東京大学大学院修了。
フランス文学専攻。現在 帝京大学助教授。
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