ヒト・サルの楽園・高崎山
(著) 松井猛
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―サルだって、イロイロあるんです―
野生のニホンザルを間近で観察することができ、日本のサル学発祥の地としても知られる高崎山自然動物園。本書はその高崎山のサル寄せ場で長年ガイドを勤めながらサル学を研究してきた著者が見た、個性豊かなサルたちの生態とエピソードの記録です。群れの危機を救うためひとり風船に立ち向かうボスザル「ギャバン」、母ザルとはぐれた子ザルの世話をし死んで尚3日間も抱き続けたボスザル「ミック」、同時に三匹の子ザルを育てた「タラリ」など、約2500頭のサルの顔を見分ける個体識別や血縁関係調査などを行ってきた著者だからこそ見えてくる、面白く興味深い知られざるサルたちの生態「社会」学。
[目次]
序
はじめに
風船騒動 怪物に立ち向かうボス
ボス転落 群れを守らず、ついに追放
激突 ボスの座入れ替わる
交代劇 名ボス「ジュチ」
危うしボスの座
副ボスの攻撃
名ボス、永遠の眠りに
病気 ガンに侵され
年功序列 不安定な副ボスの座
ボスの対決 「スター」対「マッスル」
とりいり行動 ボスにごますり
追放 不可解な「スター」の行動
孤軍奮闘 「ヘクター」の最期
ボスの子育て 死体を抱いて六日間
キンニギリ オス間の厳粛な儀式
群れの争い 優劣はオスの働き次第
老ボス 傷つき耐える「トボ」
オスの子守 はぐれザル「シェーン」
厚かましい恋 他群のボスに迫る「ユーギリ」
プロポーズ 赤ん坊奪い関心ひく
女王の恋 受け継がれる優位性
地位も捨てて…… 他群へ移った「ピース」
ボスとの恋 メス一位狙った「ミッキー」
老いてなお…… 最高齢「ガイニ」の恋
人に恋したメスザル 求愛に手を焼く
出産 お産現場をカメラに
死産 疲労こんぱいの「ラップ」
死体を抱く母ザル 長いのは二十二日間も
双子ザル わずか七例だけ
きょうだいゲンカ
弱虫オスが堂々と
母ザル行方不明に
一人前のオス、メスに
母ザルの死 死体にすがる子ザル
はぐれ赤ん坊 二度と会えぬ母子
仲良し 「スター」と「アサリ」ちゃん
よけいなお世話 死んでしまったみなし児
厳しいしつけ 母をまねて生活学ぶ
幸運の対面 六時間さがし歩いた赤ん坊
子さがし 子の奪回に四苦八苦
離乳 遅れて苦しむ母子
〝新米ママ〟の子育て 二匹一緒でノイローゼに
赤ん坊の取り違え 寝ぼけた母ザル
未熟児 必死で生きた十二日間
みなし児育て 三匹抱いた「タラリ」
困った母ザル 子の口からエサ奪う
乳離れしない母ザル
過保護青年 母ザルに守られて
メス・パワー 副ボスの座を左右
奇形ザル 人間に対する警告
石遊び 遊びが集団生活の基本
〈解説〉サルの高崎山
おサルのクイズ
著者プロフィール
[担当からのコメント]
サルはとても頭が良く、他の動物と比べて人間に近い感情を持っていると考えられています。サルの社会にも人間社会に重なる部分は多く、子育てや家族の絆などサルの生態を通して学べることがあるのではないでしょうか。ぜひご一読ください。
[著者プロフィール]
松井 猛(まつい たけし)
1945(昭和20年)年、大分市生まれ、製紙会社勤務を経て1973年(昭和48年)に大分市観光協会(現高崎山管理公社)に入社。民謡で鍛えたのどを見込まれ。1975年に高崎山自然動物園業務係に就任。以来、サル寄せ場において観光客のガイドを務めながら、サルの生態調査を30年間行ってきた。約2、500頭の個体識別(サルの顔覚え)血縁関係を解明して家系図の作成、メスザル間の優劣関係、赤ん坊の生存率等々多くの研究テーマで調査研究を継続。貴重なデータは、京都大学霊長類研究所のサル学者と共同研究で度々、日本霊長類学会等で発表。在野のサル研究者として注目されている。2005年(平成17年)に定年後も、長年の記録の整理に追われ、その経験を活かしサルの講演で全国を駆け巡っている。同年、「第六十四回西日本文化賞」を受賞。2007年(平成19年)日本霊長類学会「研究奨励金基金」を受ける。環境省・環境カウンセラー。大分県民謡研究会「萬謡會」会長、(財)日本民謡協会「大分萬謡會」支部長、内閣府所管(社)日本善行会大分県大分支部支部長。大分市在住。
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