カミとヒトとセカイを考える:若者のための哲学的物語

(著) 中倶夫

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作品詳細

[商品について]
―暗闇の中で、哲学は生きるための希望の灯となりうるか―
生物にとって「世界を知る」ということは、世界という暗闇から発する灯火信号を受けとることに他ならない。その意味では、たった三つの感覚で哺乳類を見分けるダニと、五感だけでなく機械を通じてX線や超音波なども捉えることができるヒトとの間に、何らの違いはない。私たちが知っていると思い込んでいる「世界」、私たちがあると思っている「もの」は、依然としてその本当の姿を見せることはなく、深い暗闇の中に隠れているのだからーー「汝自らを知れ」と言ったソクラテスから「人間の消滅」を予言したフーコーまで、賢人たちの思考の足跡を辿りながら、生物学や文学、芸術など幅広い分野に目を向け「存在」「神」「世界」などの本質的な問いを探究した、知性を刺激する21世紀の哲学論。

[目次]
序 章
《人間も生き物である》
《ダニと哺乳類を結びつけるもの》
《「ある」ということの不思議》
《環境世界》
《人間の環境世界》
《人間と他の動物のちがい》
《人間の未来 「進歩」への疑問》
第一章 人間とは
《汝自らを知れ》
《人に物の真の姿は見えない ――カントが説く人と神――》
《土地と地図 人には地図しか見えない》
《「地図」をたよりにすることの危うさ》
《人間(身体と心)もまた「土地」である》
《人は神の秘蔵っ子ではない》
第二章 神と人
《神と死んだ神々》
《神は存在するか、私(自分)はあるか》
《神になろうとする人間(1)》
《神になろうとする人間(2)》
《神になろうとする人間(3)》
《「神」は死んだが「人間」も死んだ》
第三章 見えない世界を描く 宗教 芸術 善と悪
《能「隅田川」が示してくれるもの》
《心をゆり動かすウソ 芸術(1)》
《文明病とは? 芸術(2)》
《詩人のように世界を語る科学者 芸術(3)》
《宗教のウソとマコト 芸術との共通性》
《信仰のあり方と文化の多様性》
《文明社会の善と悪》
《何が善か、どう生きるか》
《生きることと死ぬこと 様々な死生観》
《死の恐れを強めるものはなにか ―「私」―》
《死の恐れを強めるもの 「死」の意味》
《私達の世界の見方 時間と空間》
《私達はどう生きるか 希望はあるか》
《哲学は答のない問い 結び》
あとがき
参考文献
著者略歴

[担当からのコメント]
いきなりダニの話から始まる本書ですが、冒頭から本書全体を覆うほどの深いテーマが突きつけられます。それを難解で特殊な哲学用語を使わずに解き明かそうとする本書は、「考える」という哲学本来の魅力を体現したような作品となっています。ぜひご一読ください。

[著者略歴]
中 倶夫(なか・ともお)

一九三八年 北海道倶知安町に生まれる 八歳の頃、股関節結核発病 札幌南高校在学中肺結核併発 四年間休学
一九六四年 北海道学芸大学(現教育大学)札幌校卒業 以後室蘭市内の中学、定時制高校(時間講師)で美術、社会科などの教員

著書《美とは何か 近代文明がもたらした美と人類の危機》郁朋社 平成一七年 日本図書館協会選定図書

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