ものづくりと真空

(著) 木ノ切恭治

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作品詳細

[商品について]

―真空技術って、本当にオモシロい―

「真空」は明治の初めにヨーロッパから日本に伝わり、そのときに真空ポンプが製造された。以来、日本は潜望鏡のレンズからワクチン、トランジスタの製造まで、産業とともに真空の技術を発展させてきた。しかし社会のインフラといえるほど日常生活に広がりをみせているにもかかわらず、「真空」の姿は一般にあまり知られていない。本書は、そんな「真空」の奥深い世界を、真空の基礎から性質、それを利用した技術まで豊富な資料で幅広く分かりやすく解説した「真空」読本である。知っているようで実は知らない、「真空」を楽しめる一冊。



[目次]

はじめに

第1章 真空ってなに?

 1.1 真空のイメージ

    (1)真空のイメージ

    (2)大気の成分

    (3)圧力のイメージ

 1.2 日常生活の中の真空

    (1)真空掃除機

    (2)真空炊飯器

    (3)真空保存冷蔵庫

    (4)真空パック

第2章 真空を使うと何ができるか

 2.1 真空の5つの性質

 2.2 大気との差圧を使う

    (1)吸着して運ぶ(吸着パッド)

    (2)モノの中から液体やガスを抜く(吸引)

    (3)フイルムを成形する(成形)

    (4)狭いところに液を入れるには(含浸・充填)

    (5)ろ過を促進する(ろ過)

 2.3 対流の熱伝達がない

 2.4 真空中で水は蒸発しやすく乾きやすい

 2.5 真空中では酸素が希薄

 2.6 真空中では放電が起きやすい

第3章 一般産業の中で真空はどう使われているのか

 3.1 農業・食品産業

    (1)佃煮やジャムを作るには

    (2)学校給食の食材を作る時に

    (3)冷凍畜肉を美味しく解凍するには

    (4)乾燥野菜・食品を作るには

    (5)食材の中まで味を浸ませるには

    (6)高原野菜を新鮮なまま市場に輸送するには

    (7)酪農の乳牛の乳をいかに効率よく採取するには

 3.2 林業・製材産業

    (1)湿った木材を早く乾かすには

    (2)木材の中に防腐剤を注入するには

 3.3 製紙・印刷産業

    (1)紙はどうやって作っているの

    (2)印刷機はどのような仕組みで印刷しているのか

    (3)真空印刷機

    (4)スクリーン印刷の焼き枠

 3.4 土木・建設産業

    (1)湿地や浚渫(しゅんせつ)土ヘドロ埋設地などを頑強な地盤にするためには

    (2)工場跡地などの土壌汚染はどうやって対策するのか

    (3)河川や港湾のヘドロ汚染はどうやって浄化しているか

    (4)坂道へのコンクリート舗装

 3.5 鉄鋼産業

    (1)自動車の製造に不可欠な鉄鋼

    (2)機械産業の必需品ベアリング(軸受)用鋼材

    (3)製鉄の精錬工程

 3.6 医薬品・医薬器産業

    (1)ワクチンや制癌剤を長期保存するには真空凍結乾燥

    (2)医療放射線について

    (3)エックス線診断装置(レントゲン写真)

    (4)ペット(PET)診断装置

    (5)放射線治療装置(リニアック)

    (6)真空採血管

    (7)歯科治療機

 3.7 航空・宇宙産業

    (1)航空機の軽量化にレジン真空成形

    (2)人工衛星の機構部品の動きはどう維持しているか

 3.8 自動車産業

    (1)自動車の装飾品や内装の真空メタライジング

    (2)真空中で作られたバックミラーと雨天でもきれいなドアミラー

    (3)その他

 3.9 化学・石油産業

    (1)石油からできたガソリンと自動車オイル

    (2)その他の化学製品の製造と真空の係わり

 3.10  一般機械産業

    (1)産業機械自動化の立役者ロボット

    (2)真空射出成形機(Vacuum Injection Molding)

    (3)金型なしで樹脂成形をする真空注型

      (Vacuum Casting)

    (4)コンビニ弁当の容器を作る真空成形

      (Vacumm Forming)

 3.11 家電・家庭用品産業

    (1)家庭用真空パック機

    (2)家庭用照明の光源

    (3)冷蔵庫、魔法瓶の真空断熱

    (4)アパレルの縫製とアイロン仕上げ

    (5)布団保存パック

 3.12 光学機器産業

    (1)カメラやメガネのレンズにはなぜ色が付いているの

    (2)反射防止膜

    (3)光学薄膜の成膜技術

    (4)光学機器の用途

 3.13 住宅関連産業

    (1)ビルの熱線反射ガラス・住宅用省エネ断熱ガラス

    (2)住宅の断熱に

    (3)エアコンの冷媒充填機器

 3.14 電機産業

    (1)重電機器における真空

    (2)ノーベル賞と加速器

第4章 先端産業の中で真空はどう使われているのか

 4.1 液晶テレビ用液晶表示パネル

 4.2 太陽電池パネル

    (1)シリコン半導体結晶系太陽電池

    (2)結晶系太陽電池のウェハ製造工程

    (3)太陽電池セル製造工程

    (4)太陽電池モジュール製造工程

    (5)その他の太陽電池の製造工程

 4.3 半導体集積回路

    (1)前工程 素子分離の工程

    (2)前工程 MOSトランジスタ形成工程

    (3)後工程 多層配線形成工程

    (4)後工程 素子組立工程

 4.4 記録メディア

    (1)光記録メディア

    (2)磁気記録メディア

    (3)半導体記録メディア

 4.5 有機ELディスプレイ

 4.6 LED照明機器

    (1)照明用LEDの製造

    (2)LEDの用途

コラム

あとがき



[担当からのコメント]

真空というと空気を吸い出して生ものを保存する、だけじゃない。日本の経済発展を支えたのは真空技術だといっても良いほど、真空は私たちの生活のあちこちに潜んでいます。こんなものにも使われているんだ、と目からウロコをぼろぼろと落としながら、ぜひ真空の奥深い世界を楽しんでください。



[著者紹介]

木ノ切恭治(きのきり きょうじ)

真空テクノサポート 代表

1941  東京生まれ

1965  東京理科大学理学部応用物理学科卒業

    (株)徳田製作所入社

    真空蒸着装置、スパッタリング装置、エッチング装置の開発に従事

1991  (株)芝浦製作所と合併

1998  芝浦メカトロニクス(株)に社名変更

2001  芝浦メカトロニクス(株)を定年で退職

    日本真空工業会専務理事に就任

2007  日本真空工業会専務理事を定年で退任し嘱託に付く

2008  日本真空工業会嘱託を任期満了で退職

    自営業「真空テクノサポート」を開業

    (独)産業技術総合研究所 客員研究員を2009年度まで務める

    神奈川県立産業技術短期大学校「真空・成膜技術の基礎」講座 講師

2009  山口大学公開講座 真空技術の基礎と応用 講師

2009─ 神奈川県工業技術研修センター(現 KISTEC) 神奈川県高度技術活用研修 講師

2010─ 日本科学機器協会 真空技術入門講座 講師

2010  インド情報技術大学ジャバルプル校にて真空技術に係わる講師 日本外務省主催

2011─15 明治大学理工学部機械情報工学科特別講座にて「真空を利用する」講師

2011─15 日本真空工業会 真空技術実践講座 講師

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