なぞの鳥 ミゾゴイ〜その生態と習性〜 増補版

(著) 川名国男

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作品詳細

[商品について]
―減り続けるミゾゴイの姿は、「自然との共生」とは何かを私たちに問う―
日本の繁殖固有種でありながら数千羽しか生息していないと言われ、生態が謎に包まれているミゾゴイ。しかし近年、その営巣地である薄暗い森は、開発により急速に減少し失われつつある。本書は、長年ミゾゴイを研究し保護活動にも携わってきた著者が、ミゾゴイの生息環境の定義から見えてくる自然保護のあり方やレッドリストの信用性についての問題提起など、ミゾゴイに関する理解不足がもたらす危機的状況への警鐘を鳴らしながら、研究の進展によって得られた新たな知見も加えて綴ったミゾゴイからのメッセージである。人と自然との関わりを考える全ての人にお届けする一冊。

[目次]
目 次
口絵……2
はじめに……8
ミゾゴイとは 
 ミゾゴイの仲間は世界に4種……12
 ミゾゴイ属4種の分布……16
第1章 ミゾゴイの生態
 1 生態解明の調査
  (1)調査の概要……18
  (2)巣 A~F……20
  (3)観察のポイント地点……23
 2 繁殖ステージ
  (1)渡来から巣立ちまで……26
  (2)巣Aにおける具体的事例……26
  (3)これまでの説との相違点 明らかになった点……27
 3 渡来からふ化まで
  (1)渡来……28
  (2)囀りの開始とソングポスト……31
  (3)つがい形成……32
  (4)巣作り開始から完成まで……33
  (5)産卵……38
  (6)抱卵……39
  (7)ふ化……43
  (8)卵殻……46
 4 誕生から巣立ちまで
  (1)日齢ごとの成長……47
  (2)巣立ち間際……52
  (3)巣立ち……53
  (4)雛の成長と巣の下のフン……54
 5 雛の行動
  (1)餌乞い行動……56
  (2)餌ねだりと給餌……59
  (3)動作のいろいろ……61
 6 親鳥の行動
  (1)抱雛……64
  (2)反芻給餌……65
  (3)抱雛の交替……66
  (4)雌雄の識別は可能か……68
  (5)歩き方……70
  (6)親鳥のフン……72
 7 巣立ち後の幼鳥……73
   ミゾゴイ七変化……79
 8 営巣環境
  (1)営巣樹……80
  (2)営巣環境 7つのキーワード……90
  (3)営巣地の地形……91
  (4)営巣地の植生……94
  (5)営巣地の植物……96
  (6)営巣地の動物……98
 9 採 餌
  (1)採餌の場所……99
  (2)捕食の方法……104
  (3)行動範囲……106
  (4)採餌場の調査結果……107
  (5)採餌場となわばり……108
10 食 物
  (1)主食はミミズ類……109
  (2)ペリット分析結果……110
11 擬態行動と保護色
  (1)警戒……111
  (2)擬態行動とその効果……113
  (3)竹林における幼鳥の保護色……117
12 繁殖成功率
  (1)繁殖成功率は58.3%……120
  (2)巣からすべての雛が消えた理由は?……120
  (3)天敵ハシブトガラスが巣を襲う……122
  (4)雛の死亡……123
  (5)巣立ち後の死亡……125
13 巣の特徴
  (1)古巣の考察……126
  (2)ミゾゴイの巣……128
  (3)カラスの巣との識別……129
第2章 ミゾゴイは昼行性の鳥である
 1 なぜ、夜行性の鳥とされてきたか……130
 2 囀り調査……131
  (1)ソングポスト……132
  (2)ソングポストにおける囀り調査結果……133
  (3)囀りのソナグラム……135
  (4)1節における句数の調査結果……136
  (5)夜間に囀ることの意味……137
 3 繁殖期における雛への給餌活動調査……138
  (1)調査の方法……138
  (2)調査の結果……139
    ●繁殖期間中における時間帯別給餌行動(2007年)……140
    ●繁殖期間中における時間帯別給餌行動(2008年)……140
    ●巣内雛への給餌開始時刻・終了時刻・親鳥の巣内滞留時間(2008年)……141
 4 非繁殖期における活動調査……142
  (1)調査の方法……142
  (2)調査の結果……143
第3章 ミゾゴイをめぐって
 1 櫛爪と白い粉……145
 2 名前の由来を考える
  (1)なぜ、英名までも夜行性の鳥とされたか……146
  (2)学名は間違えてつけられた……146
  (3)古名のいろいろ……147
  (4)和名の由来……148
 3 ミゾゴイの古巣を食卓にしたツミ……150
第4章 種の保護と生息地の保全について考える
 1 ミゾゴイは豊かな自然の代表である……152
 2 ミゾゴイの郷……153
  (1)人間との接点……155
 3 急速に進む営巣地の破壊……157
  (1)営巣地の保全は行政の責務……158
  (2)人のためではなくて、鳥のための環境保全を……159
 4 発信機装着調査の問題点……160
 5 お願い……160
参考文献・図書……161
あとがき……164

増 補
 1 高円宮妃殿下ご撮影のミゾゴイ……168
 2 白いミゾゴイ(希少なアルビノのミゾゴイ)……172
 3 ミゾゴイ 飼育下における世界初の繁殖成功……174
 4 平野伸明さん撮影のミゾゴイ……180
 5 沖縄で越冬するミゾゴイ……184

 論 考
 1 なぜ、ミゾゴイは日本の繁殖固有種なのか……186
 2 ミゾゴイ保護方策に携わって……187
 3 ミゾゴイ生息地の新しい概念が必要…… 188
 4 ミゾゴイ保護の普及活動……190
 5 ミゾゴイのレッドリスト見直しに根拠なし……191
 6 ミゾゴイ バイオロギング調査が始まりました……192
参考 ブログ「ミゾゴイ川名」の紹介……192

[担当からのコメント]
自然は本来は人にとって厳しい環境の筈ですが、現在の自然保護という言葉の中にそうした「自然」は入っているのだろうかと、本書を読みながら改めて思います。ミゾゴイが生きる世界を感じながら、ぜひ私たちにとって自然とは何かを考えていただければ嬉しく思います。

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