「神代記」の構想【電子書籍版】: 非神話性の論究と皇室を中核とした国家体制

(著) 緒方惟章

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作品詳細

「本編の中に収めたある部分は私が学会デビューを飾った「阿波系神話の行方」という問題から、古事記の構想論について扱った四十年近く前の最も古き論である。(中略)耳に触れた気に懸る考古学的その他の新業績についても、それをも無視することなく取り入れようと努めた、私にとっては綜合的な古事記論がとりあえずは成立したという思いもまたいささかある。」(本書「跋文」より)
神話を装いながらも、人皇の巻である中・下巻だけでなく神代の巻もまた、皇室を中核とする揺るぎなき国家体制の宣言を企図した、撰録者の編纂意図の産物である「神代記」。本書は、その編纂意図を考慮したうえで、関連諸学の多角的な視点から神代記の真髄の総合的な究明を最終命題とした研究書である。

第一章 新たなる視座確立のために
 第一節 「神代記」に見る〈非神話性〉
 第二節 〈削偽定実〉の本義
 第三節 〈天の道〉・〈海の道〉
 第四節 「神代記」における〈出雲〉
第二章 伊邪那岐命と伊邪那美命
 第一節 国土の〈修理固成〉および〈二神の結婚〉
 第二節 〈大八島国〉の生成
 第三節 〈黄泉行き神話〉の本義
 第四節 〈三貴子〉の誕生と分治 
第三章 天照大御神と速須佐之男命
 第一節 速須佐之男命の昇天および天の安の河の〈誓約〉の意味
 第二節 速須佐之男命の〈勝さび〉の不審と〈天の石屋戸神話〉の意義
 第三節 〈五穀の起源神話〉
 第四節 〈八岐の大蛇退治神話〉の本義
第四章 〈大国主神〉への軌跡
 第一節 〈稲羽の素莵神話〉の位置
 第二節 八十神の迫害と〈根の国訪問神話〉の本義
 第三節 〈妣の国〉・〈根の国〉また〈黄泉の国〉
 第四節 大穴牟遅神・少名毘古那神の原像
 第五節 〈国作る神〉と〈国引く神〉
第五章 〈国譲り神話〉から〈天孫降臨神話〉へ
 第一節 〈天菩比神〉と〈天若日子〉
 第二節 建御雷神と事代主神・建御名方神
 第三節 降臨する〈天つ神〉変更の意味
 第四節 〈天孫〉の〈竺柴降臨〉の意味
第六章 支配秩序の形成と〈敗北の戯態〉
 第一節 〈海幸彦〉と〈山幸彦〉
 第二節 〈海神の宮訪問神話〉の周辺
 第三節 火照命の服従と〈隼人舞〉

【著者プロフィール】
緒方 惟章(おがた・これあき)
昭和16年1月 千葉市に生まれる。
昭和38年3月 國學院大學文学部文学科卒業。
昭和43年3月 國學院大學大学院博士課程日本文学専攻修了。

和洋女子大学人文学部日本文学科教授
和洋女子大学大学院人文科学研究科長
和洋女子大学文化資科館館長

所属学会 上代文学会(理事)・古事記学会・古代文学会・和歌文学会

主要著書「萬葉集作歌とその場 正篇—人麻呂攷序説』(桜楓社、昭和51年)、『萬葉集作歌とその湯 績
篇一人麻呂攷序説」(桜楓社、平成5年)、「古代のコスモロジ— ―日本文学の枠組みJ
(共著、おうふう、平成12年度) 、「現代語で読む 歴史文学 古事記』(勉誠出版、平成16年)

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