「文学」はどこからくるのか:花袋・漱石の時代から現代まで、作家の背景を紐解く

(著) 沢豊彦

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作品詳細

[商品について]
―花袋の作品が映し出す社会問題とは?―
本書は、これまでの著作に収まらなかった論考の、いわゆる〈アウトテイク集〉となる。在米服役囚の短歌に見出した“日本人の共同主観”。夏目漱石の「三四郎」に代表される“青年”という登場人物を通して見た明治。忘れられた作家の芸術性を考察した3編。田山花袋が自身のルーツに関する書きたかった題材。その他、文学教育への懸念や行方知れずの詩人を追った記録など、様々なテーマから「文学」という表現における「自己」の背景を知ることができる。詩的な柔らかさも兼ね備えた文体で、作家の姿を浮かび上がらせる一冊。

[目次]
旧派短歌の共同性──今日、問われていること
日本農民文学、その前期および前派
夏目漱石『三四郎』──明治の青春小説
長田幹彦という芸術
Ⅰ 一九一〇年代の長田幹彦──短編集『祇園夜話』のもつ意味
Ⅱ 長田幹彦年譜考──「旅役者」もの縁起
Ⅲ 非凡閣版『長田幹彦全集』の内容見本
田山花袋の「幕末維新」小説
既成作家の「政治と文学」論──秋田雨雀、小川未明、近松秋江の場合
大谷藤子の作品『青花集』──時代の綴り文字
昭和期の近松秋江の読者たち──誤解のなかにあらわれた視点
加藤周一「日本の庭」論──文化記号論としての庭
文学教育・言語教育素描──新学習指導要領という「制度」
詩人論
Ⅰ 井上英明という詩人
Ⅱ 行方しれずの詩人相場きぬ子──人さがしゲーム
Ⅲ 完結せざる詩精神──田口三舩の詩集
書評
Ⅰ 布野栄一著『政治の陥穽と文学の自律』
Ⅱ 田中実/須貝千里(編)『文学の力×教材の力』
Ⅲ 平岡敏夫著『文学史家の夢』
あとがき
初出論文掲載書・掲載誌一覧
著者略歴

[担当からのコメント]
現代日本においても、政治と芸術・文化の関係性または影響について気になっている方はいると思います。本書には、政治と文学を論じている項目もあり、また様々な作家の背景にも時代ごとの政治の影響が垣間見られます。現代の政治と文学について考える上でも、参考になるのではないかと思います。みなさまの思考の一助になれば幸いです。

[著者略歴]
沢豊彦(さわ・とよひこ)/または村椿四朗(むらつばき・しろう)
【研究書】『近松秋江私論―青春の終焉』(一九九〇、紙鳶社)、『田山花袋の詩と評論』(一九九二、沖積舎)、ちゅうせき叢書『田山花袋の詩と評論』(一九九六、沖積舎)、『田山花袋と大正モダン』(二〇〇五、菁柿堂)、Edition. Trombone『近松秋江私論―青春の終焉』(二〇〇五、菁柿堂)、Edition. Trombone『田山花袋の「伝記」』(二〇〇九、菁柿堂)、seishido selection『「天保政談」論―近松秋江の政治小説』(二〇一〇、菁柿堂)、『近松秋江と「昭和」』(二〇一五、冬至書房)【詩論】『現代詩人―政治・女性・脱構築・ディスクール』(一九九三、翰林書房)、『ことばの詩学―定型詩というポエムの幻想』(二〇〇一、土曜美術社出版販売)、『詩&思想』(二〇〇七、菁柿堂)、えぽ叢書5『随感録Ⅰ―詩論集』(二〇一六、明文書房)、えぽ叢書6『随感録Ⅱ―詩論集』(二〇一六、明文書房)【詩集】『60年代のこどもたち』(一九九一、新風舎)、『勿忘草を寄す』(一九九六、沖積舎)【共編著】『日本名詩集成』(一九九六、學燈社)、『近代日本社会運動史人物大事典1~5』(一九九七、日外アソシエーツ)、『時代別日本文学史事典〔現代編〕』(一九九七、東京堂出版)、『社会文学事典』(二〇〇七、冬至書房)、『現代詩大事典』(二〇〇八、三省堂)他

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