「怪物」と呼ばれた天草人・富永英三郎という男――大正から昭和の時代を海に生き社会運動に生きたその足跡を辿る
(著) 玉木讓
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―大正デモクラシー運動の先駆けとなった政治的社会的啓蒙団体はなんでしょうか―
1、新人会 2、民人同盟会 3、黎明会
正解は、本書 第1章6節「大正デモクラシー」をご覧ください。
本書は、富永英三郎という大正デモクラシーの時代から終戦までを走り抜けた、知られざる天草人の半生を解き明かした一冊である。熊本県天草郡河浦町に生まれた著者が、尾崎一雄や赤松克麿と富永英三郎の交流、日本海運界の労働闘争、無線技師最低賃金闘争への関わりなど、当時の歴史の背景とともに描く。天草の怪物と呼ばれた堀田藤八をして「あれは怪物たい」と言わしめた富永英三郎。歴史に名が残る偉人だけではない、時代を作ってきた知られざる天草人の歴史がここにある。
[目次]
まえがき
第一章 青雲の志を抱いて
平床村庄屋富永家
少年時代
三菱造船所へ
和田兄妹を知る
大正デモクラシー
東大新人会
山川瑞三の手紙
浅草への郷愁 ①
婦人問題研究
『国民新聞』へ入る ――馬場恒吾・長谷川了と出会う――
第二章 関東大震災
大正十二年九月一日
和田萩江の遺稿
鶏頭託花
和田三郎の死
第三章 海に生きる
就職を決意
無線局長となる
ロシア行?
第四章 社会運動家への道
無線新聞協会の創設
〝普選〟最初の総選挙
民政党天草支部
次兄の死
社会民衆党とのかかわり
『我観』理事となる
お役人について
無線技師の敗北
長谷川了『我観』を去る
新合へ帰る
第五章 無線技師最低賃金闘争
無線戦線は統一された
無線技師最低賃金制促進運動
失業海員救済期成同盟
海難頻々
高級船員養成調整運動
東方海員クラブ設立
外国船輸入に奔走
第六章 政党の離合集散
国民同盟の結成
無産政党の動向
国家社会主義について
第七章 文筆活動
横山大観の絵
勇ましくも哀れな無人島の話
鮫に尻を食われる
科学の世界をリードした我がラジオ ~日本無線電信電話の小さな歴史~
話のSOS ――タイタニック号の悲劇――
無電警報受信機の発明
第八章 昭和一〇年代
見つかった略歴書
日蘭海運民間会議
軍靴の足音
二・二六事件
泥沼化の日中戦争
外事協会について
『海と空社』の創立
浅草への郷愁 ②
大陸移民
かえってきた天草郡資料 ――尾崎士郎と戦争文学――
新体制運動の結末
太平洋戦争開戦
故郷忘れがたく
敗戦への道
幻の羊角湾製塩計画
第九章 そして戦後
公職追放となる
再起を目指して
尾崎一雄君のことなど
失意の帰郷
富永英三郎とは
市川房枝さんに会う
横田竹山様
夢は彼方に
あとがき
付記
主要参考文献
著者略歴
[出版社からのコメント]
大正から昭和の時代は、今の若者が驚くような国民の熱意と行動力がありました。本書に登場する富永英三郎さんもその一人であり、活躍は周囲に多大なる影響を与えたと思います。歴史の影に埋もれた彼らの思想が今の日本社会に繋がっています。本書を通じて、その歴史の一端をお楽しみいただけると幸いです。
【著者略歴】
玉木 譲(たまき・ゆずる)
1948年 熊本県天草郡河浦町に生まれる
1972年 熊本県立済々黌高校定時制卒業
1973年 アジア・アフリカ語学院速成科卒業
1976年 特別養護老人ホーム『実相園』に勤務、現在に至る
著書に『天草◎木洩日が照らす』(社会評論社)
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