「ものの見方・考え方」で「認識の力」を育てるー森・川・海と人をつなぐ環境教育:地域を素材にした子どもたちの探求的な総合学習の記録
(著) 徳水博志
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[商品について]
―出口のない迷路にある「総合学習」を、いかに実践していくのか―
子供たちの「学びからの逃走」をもたらした90年代の新しい学力観は、その失敗への反省もないまま現行学習指導要領の「総合的な学習」を支える学力観へと引き継がれている。文科省が2003年に通知した学習指導要領の一部改正では「総合的な学習」について全体計画の作成を義務づけられたが、「方法知」を重視し「内容知」を軽視するその学力観では成功の望みは薄い。そうした問題意識のもと、本書では主権者としての生きる力である「認識の力」を育てることを目指す文芸研の総合学習を教育の現場で実践してきた著者が、地域素材を教材化した「森・川・海と人をつなぐ環境教育」を中心に、総合学習のあり方とそこに潜む問題を問いかける。教職にある方はもちろん、地域社会における教育を考えるうえでも示唆に富む一書。
[目次]
【電子書籍の発行によせて】
まえがき
一 文芸研の総合学習
1 「総合的な学習の時間」の何が問題か
(1)「総合的な学習の時間」が成功しない原因
(2)一二年間の「新しい学力観」の何が問題か
(3)「確かな学力」で学びのニヒリズムが解決されるか
2 文芸研の総合学習
(1) 総合学習の目的
(2) 文芸研の総合学習の特徴
二 地域素材をいかにして教材化したか
1 森・川・海のつながり
(1) 森は海の恋人
(2) 森が消えれば海も死ぬ
(3) 雄勝町の養殖の自然的条件
2 環境教育の構築
(1) 養殖体験活動から環境教育への構想
(2) 〈ものの見方・考え方〉を軸とした環境教育
(3) [六年生]文芸教材・立松和平「海の命」(光村図書、東京書籍)
(4)[五年生]説明文教材・富山和子「森林のおくりもの」(東京書籍)
三 森・川・海と人をつなぐ環境教育
1 総合学習『体験! 帆立貝の養殖』四年生
(1) 二つの養殖場の自然的条件
(2)〈ものの見方・考え方〉を使った練り合い
2 総合学習『船越学区の帆立貝養殖について探ろう』五年生
(1) 本実践のねらい
(2) 船越学区の帆立貝養殖について調へる
(3) まとめ
3 総合学習『森・川・海のつながりを探ろう』五年生
(1) 『森は海の恋人』運動に学ぶ
(2) 森・川・海のつながりを調べる「共通の体験活動」
(3) 「共通の体験活動」をベースにした課題設定
(4) 子どもたちが夢中になった磯焼け調べ
(5) まとめと今後の課題
4 『創作劇・森は海の恋人』
(1) 『創作劇・森は海の恋人』の制作
(2) 木版画の制作
(3) 科学的な認識を意味づける芸術的表現
四 大人を動かし、行政に影響を与えた総合学習
1 NHK教育テレビ『たった一つの地球』で放映
(1) NHKを動かす
(2) 松永先生を動かす
(3) NHKの撮影開始
(4) テレビ放映とその後の展開
2 日本海水学会地方講演会の開催
(1) 市民参加型の学会
(2) 松永先生の講演
(3) 子どもたちの発表
(4) その後の展開
五 総合学習をめぐって(西郷先生に聞く)
1 文芸研の総合学習の歴史
(1) 文芸研の総合学習の特徴
(2) 認識の方法(ものの見方・考え方)を軸にして
(3) 文芸研の総合学習の試み
2 〈ものの見方・考え方〉の教育的意義
(1) 教育のあらゆる場面で認識の方法を使う
(2) 共生の思想(人間観・世界観)を育てる
(3) 立地条件を生かした総合学習
(4) 教科教育の場で認識の方法を育てる
3 〈ものの見方・考え方〉によって 「科学と教育」「生活と教育」の結合が可能
(1) 生活と教育の結合の失敗
(2) 認識の方法(ものの見方・考え方)で教育と生活をつなぐ
(3) テーマの枠組みを限定する
[担当からのコメント]
詰め込み主義からゆとり教育、そして今度は生きる力と二転三転しながら迷走する日本の教育行政の失敗は、現場の教師を混乱させ、取り返すことのできない子供たちの貴重な時間を奪っているのではないかと思います。国の根幹ともいうべき教育を如何にするのか、ぜひ本書を通じて考える機会を持っていただければ嬉しく思います。
[著者紹介]
徳水 博志(とくみず・ひろし)
宮城県雄勝町立船越小学校
(現在、雄勝町立雄勝小学校)
文芸研宮城サークル
【監修者紹介】
西郷 竹彦(さいごう・たけひこ)
文芸学者・文芸教育研究協議会会長
【協力】
文芸教育研究協議会編集委員会
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