古代出雲の医薬と鳥人:何が弥生時代の出雲に青銅器を集める力となったのか

(著) 間壁葭子

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作品詳細

[商品について] ――中国湖南省の馬王堆漢墓三号墓にあった「五十二病方」と呼ばれる医書に書かれている「烏喙」とは、次の中のどの植物のことでしょうか。 1.ドクゼリ、2.ドクウツギ、3.トリカブト 烏喙は「烏のくちばし」を意味しています。正解は本書第4章「4 烏喙とは何か」をご覧ください。 加茂岩倉遺跡から発見された大量の銅鐸は、弥生時代に出雲に大量の青銅器が集るその原因となる力は何かという疑問を生む。出雲にはまだ気づかれてない何かがあるのではないか――、本書ではその「何か」について、考古学資料の中に残りにくく人間の生活の中で重要な意味をもつものとして、考古学会ではあまり注目されていなかった「医薬」に着目し、古代の出雲にあったかもしれない「医薬技術」について、記紀や風土記などの史料を渉猟し、鳥人として現れる医神を視野にいれながら、古代世界への憶見を廃しつつ考察を試みた作品である。弥生時代における出雲の特殊な状況を考えるうえで、示唆に富む内容となっている。 [目次] 第一章 なぜ出雲か──序にかえて── 1 やっぱり出雲だ 2 荒神谷フィーバー 3 シンポジウムでの迷言 4 背中合わせの国、出雲と吉備 5 遺跡と文献のはざま 第二章 『出雲国風土記』の薬草と、大国主と白兎 1 『出雲国風土記』の盲点、薬草 2 オオクニヌシと医薬知識 第三章 薬草の舟に乗ってきた神 1 医薬の神だったスクナヒコナ 2 薬草の舟と、羽根のある衣 3 オオクニヌシの陰のブレーン 第四章 画像石の謎の鳥人と古代出雲 1 画像石の中の医神 2 扁鵲(へんじやく)伝説 3 墓の中の医書と医療具 4 烏喙(うかい)とは何か 5 劉勝(りゅうしょう)墓の医療具 第五章 弥生土器に描かれた絵 1 銅鐸絵画との違い 2 鳥人の現れた所 3 鳥人はなぜ出雲の入口にいるか 4 大和の鳥人たちは何か 5 その他の地方の鳥人たち 第六章 不思議な土器の不思議な分布 1 鹿は何をみているのか 2 台脚のついた注口土器 3 もう一つの注口土器と盃(低脚付坏) 4 この土器はどちらが上か(大形甑形土器) (付) 小さい多孔土器 第七章 意宇の謎・友田の謎 1 意宇(おう)の謎 2 友田と田和山の謎 第八章 『出雲神話抄』贋註──終りなき終章── 〔第一話〕 オオナムヂと「兎」 〔第二話〕 スサノオと酒と剣 〔第三話〕 スクナヒコナの出現 〔第四話〕 アシハラシコオからオオクニヌシへ 〈主な参考文献〉 〈協力機関・協力者一覧(敬称略)〉 [出版社からのコメント] 近年の研究では一部のサルも薬草を使用することが明らかになっていることからすると、医療技術は想像以上に古くから私たちの社会には存在していたのかも知れません。形には残らないために証明は難しいもの、だからこそ考古学の中でそれらに目を向けることは、壮大な知的冒険であると思えます。本書を通じて、そうした冒険を多くの方に楽しんでいただければ嬉しく思います。 [著者プロフィール] 間壁 葭子(まかべ・よしこ) 1932年(昭和7)岡山市に生まれる。1955年、岡山大学法文学部史学科卒業。神戸女子大学史学科教授、倉敷考古館学芸員(兼務)。

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