日本語教室の窓から世界がみえる――吉野川市国際交流協会日本語教室の現場から
(著) 村上瑛一
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――日本語教授法の1つである「言語聴覚論にもとづく音声言語指導法」を意味する略語は次のどれでしでしょうか。
1.TPR 2.VT 3.ALM
正解は本書「平成六年 その他受講生のエピソード 3.ペルー人カルメンとその家族」をご覧ください。
徳島県にある吉野川市国際交流協会は、平成4年8月に鴨島町国際交流協会として設立され、その年の10月から支援部の活動として「文化研修センター」で日本語教室が発足した。本書は、その日本語教室で長年運営に携わってきた著者が、教室で起こった出来事、印象に残っている受講生などをまとめた作品である。移り変わる国際関係と個人の人生の複雑な絡み合いを描き出す場でもあったその歩みを通して、地方の小さな日本語教室の窓から日本と国際社会の風景の変遷を眺めた一書。
[目次]
序
平成五年(一九九三)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
外国人向け日本語文法
中国語の学習
平成六年(一九九四)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
日本語教授法
最初のアメリカ人受講者
その他受講者のエピソード
1.フィリピン人ニムファさん
2.中国人主婦江本さん
3.ペルー人カルメンとその家族
4.グローリアとシェリー
平成七年(一九九五)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
日本語教室とボランティア
スペイン語の助っ人
その国の言葉
英語指導助手たちと環境問題意識
金意の大学進学問題
平成八年(一九九六)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教材の問題
協会と補助金
教室の窓から
はじめての中国人研修生
インターネットと日本語教室
日本語教室とバス旅行
経済成長と英語指導助手
中国人研修生と電脳交響楽団演奏会
その他の出来事
1.餃子講習会
2.研修職務試験
3.逃亡者
平成九年(一九九七)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
町内縫製企業組合の研修生導入日本語教育
企業の研修生受け入れ時の日本語教育
教室の窓から
徳島の日本語学校
「春節晩会」
研修生との交流
1.研修生と「文化の森」
2.中国研修生とボウリング
3.馮寧寧の随想
4.電脳交響楽団演奏会への出演
5.その他の主な出来事
平成一〇年(一九九八)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
日本語教室外のこと
1.ある騒動
2.交通事故
3.挫折した娘
4.中国人研修生と日本と私
今年の電脳交響楽団演奏会
その他の出来事のいくつか
平成十一年(一九九九)
日本語教室の風景
受講者
教室と教材の費用問題
教室の窓から
日本語能力試験と受講生
電脳交響楽団演奏会と中国研修生
インターネットの利用
呂波の受難
平成十二年(二〇〇〇)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室と教材の費用問題―その後
聴講生に対する注意
教室の窓から
協会のホームページ
『私の定年後』と電脳交響楽団演奏会
その他この年の記憶
1.日本の立ち位置
2.ある研修生の日本観と日本語
3.市場町の研修生たち
4.嘉田由紀子さん
平成十三年(二〇〇一)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
当世学習者事情
日本語教室と文筆活動
平成十四年(二〇〇二)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
土成「うどん祭」と研修生
研修生Gの苦難
協会十周年記念講演会
中国の辞典
平成十五年(二〇〇三)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
強い印象を残したひと
1.マーメルさん
2.馮享利のこと
平成十六年(二〇〇四)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
中国語と日本語の比較断片
韓国人受講者
佐藤 縁さんのこと
平成十七年(二〇〇五)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
ボウリング大会の終結
ある中国人受講生
西島さんのこと
平成十八年(二〇〇六)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
ある中国人女性受講者
平成十九年(二〇〇七)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
ある中国残留孤児の子弟
家内の死と教室
寅さんの「男はつらいよ」
平成二十年(二〇〇八)
日本語教室の風景
受講者
開講状況
教室の窓から
日本語学習と日本語能力試験
平成二十一年(二〇〇九)
日本語教室の風景
受講者
開講状況 後期十月より使用教室が第三教室に変わる
教室の窓から
反面教師
1.趙春艶のこと
2.劉凰坤と馬麗紅のこと
平成二十二年(二〇一〇)
日本語教室の風景
受講者
開講状況 使用教室 二階第三教室
教室の窓から
正木徹青君のこと
平成二十三年(二〇一一)
日本語教室の風景
受講者
開講状況 使用教室 二階第三教室
教室の窓から
記憶に残るひと
1.アメリカ人メアリー
2.黒田卉萍と本田芳竹
東日本大震災と尹さんと受講生たち
平成二十四年(二〇一二)
日本語教室の風景
受講者
開講状況 使用教室 二階第三教室
教室の窓から
韓国の日本語教室訪問
中国の高校生
中国人主婦と短期大学
日本語と漢語
平成二十五年(二〇一三)
日本語教室の風景
受講者
開講状況 使用教室 二階第三教室
日本語教室の窓から
補足
受講者の氏名について
受講者の資格取得について
付記
後記
著者略歴
[出版社からのコメント]
日本語教室は日本語を学ぶ場ですが、同時にそこに集う人たちが背負っている人生が交じり合うるつぼのようなものでもあるかも知れません。異邦人であるからこそ社会の歪みによって大きな影響を受ける彼らについて考える機会を、ぜひ本書を通じて多くの方に持っていただければ嬉しく思います。
[著者略歴]
村上瑛一(むらかみ・てるいち)
一九三〇年 徳島市生まれ
一九三八年 父親の勤務地旧満州国鞍山市に転居
一九四六年 母、姉弟と、日本に引き揚げ
一九五〇年 鐘淵化学工業(現「カネカ」)に入社
一九五七年 関西大学経済学部(二部)卒業
一九九三年 退職 鴨島町(現吉野川市)国際交流協会に入会
(著作)
『私の定年後』岩波書店 (共著・2000年)
『みんなでホタルダス』新曜社(共著・2000年)
『童謡と私』中央文化出版(共著・2002年)
第十五回徳島文学賞・小説「見えない糸」で優秀賞受賞(2018年)
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