ものいわぬ人々に : 若者を再び戦場に送るな

(著) 塩川正隆

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作品詳細

[商品について]
――1944年に特別攻撃隊として初めて米軍の艦船に体当たりして沈没や損傷を与えた部隊の名称は、次のどれでしょうか。
1.白襷隊、2.敷島隊、3.聖武隊
正解は、本書第1章の「特別攻撃隊」をご覧ください。
昭和52年、32歳の時から戦没者の遺体収容活動を始め、父が戦死した沖縄訪問は優に150回を超えた。それでも海外には未だ多くの戦没者の遺体が、故郷へ帰ることなく眠ったままになっている。もう二度と若者を戦争に送ってはならない――新たな戦争の火種がくすぶるいま、日々不戦への想いを強くする著者が戦争、家族、そして自身の半生を語る。人々の尊厳と未来の平和を守るために何をなすべきか、改めて世に問う一冊。

[目次]
推薦の言葉 塩川さんの強さと優しさ
はじめに
第1章 こうして戦争は作られた
1 ペリー来航から明治維新・太平洋戦争へ
2 無謀だった太平洋戦争
3 幻の大戦果「台湾沖航空戦」
4 アメリカ軍フィリピン・レイテ島上陸
見捨てられた激戦の島
特別攻撃隊
5 「大本営」長野県松代に移転工事
国体護持のため
硫黄島全滅
6 沖縄戦は「捨て石作戦」
7 無条件降伏「ポツダム宣言」受諾
最後は天皇の聖断
8 焦土と化した日本、連合国の支配下に
A級戦犯
BC級戦犯
人間天皇
9 日本国憲法制定
第2章 戦争に翻弄された国民
1 塩川家兄弟4人の軍歴
2 戦地沖縄からの便り
父の「軍事郵便」30通
3 疎開・父親の戦死・母子家庭
夜が怖い
1個のマグロにぎり
小学校では
野球との出合い
母子で農業
魚捕り
西日本大水害
小学生に「芸者ワルツ」
門司まで一人旅
二人の叔父が父親代わり
またまた、魚捕り
高校時代は
アルバイト
第3章 社会人、そして闘争の時代
1 就職・野球部
初めてのナイフとフォーク
念願の入部
看護婦寮の修理は大歓迎
2 組合活動・劣悪な労働条件との闘い
野球部から組合役員に
久留米大学教職員組合
執行委員にトップ当選
看護婦の不満、怒りは頂点に
大学創立後初のストライキ
3 病院ストライキと不当処分
梅雨に飛んできたタカ
労働基準監督署が是正勧告
上部団体に加盟
組合費引き去りを一方的停止
私立大学に補助金
組合役員を懲戒処分
仮処分申請
「理事会の決定は無効」
4 労使関係正常化
5 医療改善「謝礼廃止運動」
差額ベッド料廃止
身分保障協定を締結
津留崎恂という「信念の人」
二階級特進、企画課長に抜擢
潰れた将来計画「甘木進出」
日替わりメニュー並みの配転
金丸先生との再会
さまざまな人との出会い
吉久氏の葬儀で……
教科書裁判とは
6 再び処分、「蛮勇理事長」との対決
不当労働行為を連発
再び労基法違反、是正勧告
三階級降任、いわれなき処分
撤回命令
大学vs.地労委、異常な展開
7 さらば理事長
吉久氏、排除へ
「組合が人を育てた」
「組合が正義ですよ」
母は励ました
再三にわたる是正勧告
8 同志は子供の名づけ親
3人の親しい仲間
和解を契機に退職決意
今度は「組合辞めろ」と脱退説得
気の合う兄弟かもめ
第4章 戦没者に不戦を誓う旅
1 150回を超えた沖縄行き
生き残り兵の執念
父は八幡製鉄所の技術者だった
素っ気ない戦死公報
NPO法人設立
沖縄「遺体収容の旅」を企画
2 レイテ島で
カンギポット山麓を掘る
合同追悼式典と親善事業
被害住民にささやかな支援
3 日本政府の対応
戦没者関連予算が激増
「遺骨収集」は終戦から7年後
千鳥ヶ淵戦没者墓苑の誕生
墓地埋葬法に違反の疑い
『厚生労働白書』から消えた文言
佐世保市「釜墓地」のケース
日弁連、政府に意見書提出
「戦争こそ最大の人権侵害」
厚生労働省の見解
DNA鑑定に着手するが……
4 朝鮮半島での取り組み
半島出身者に感謝と追悼の意
「憎しみの氷が解けた」
国会議員への報告会
北朝鮮訪問、調査・発掘を実施
5 見つけた遺留品の返還
安岡章太郎の集合写真
枕元に出て、消えた
予期せぬおもてなし
6 戦争体験者は警告する
第5章 若者を再び戦場に送るな
1 「いつか来た道」ひた走る安倍政権
戦後の日本のあゆみ
2 自衛官を危険にさらすな
アメリカの場合
自衛官の確保は
国家安全保障基本法案とは戦前回帰
3 母は86歳で父の元へ
4 息子を亡くした母たちの悲しみ
「生きとる」と信じたい……
裏戸の音に「もしかしたら」
岸壁の母は待ち続けた
5 わが家は18人の大家族
孫が沖縄修学旅行
子供たちに真実を伝えたい
むすびに
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参考文献

[担当からのコメント]
戦争を体験した人は父の代から祖父の代へと移り、戦争という現実の重みを感じられなくなっているいま、戦没者の方々の遺体は死して尚、私たちに平和の尊さを語りかける唯一の「肉声」なのかも知れません。戦争はもう対岸の火事ではない、そうした気持ちで本書をじっくりとお読みいただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
塩川 正隆(しおかわ・まさたか)

1944年福岡県北九州市に生まれる。沖縄戦で父親を亡くした。63年佐賀県立鳥栖工業高校機械科卒業。久留米大学(福岡県久留米市)に就職。悪労働条件克服のため組合運動の先頭に立ち、たびたび不当処分を受けるが排除する。90年退職、91年塩川総合企画(株)設立、現在は塩川グループトップアドバイザー。1977年から沖縄、1995年からフィリピン・レイテ島などの戦没者の遺体収容や遺留品の返還活動を行う。2002年「NPO法人戦没者を慰霊し平和を守る会」を設立、現在「NPO法人戦没者追悼と平和の会」理事長。NPO法人みやき振興理事長を歴任。現在はみやき町B&G海洋センター管理運営アドバイザー。

著書に『戦争を風化させるな』(共著)

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