ぶらり 西安探訪:近代史から学ぶ日本の未来
(著) 吉川和彦
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―西安の地から歴史を遠望する―
定年に残り2年を残して公立高校の教師を辞し、語学留学のために西安に向けて発った著者が綴る、中国・西安の歴史と現在。留学や教員生活の日常からスラング、対聯(ついれん)、死んだ花嫁、カンニング、コネと金、食文化――本書では、現地に立ったからこそ見えてくる中国文化・習慣の一面を知ることができる。それぞれの道に物語がある3つのシルクロード、唐でのソグド人の活躍、日本人として初めて見た井真成の墓誌、忘れてはならない西安事変の詳細、空海と田口俊平の「道」など、歴史に学び「寛容でうるわしい社会」を実現するための学びの書として、また中国留学のテキストとしてもふさわしい一冊となっている。
[目次]
Ⅰ部: 西安探訪 ア・ラ・カルト(a la carte)
プロローグ
1.留学生活から教壇へ
◇ 留学生活
◇ 相互学習と黃さんとの出会い
◇ 再び教壇に
◇ 西北大学事件
◇ 西安反日事情 ~「日本人お断り」
◇ 陝西省大学生日本語弁論大会
◇ SARS席捲(せっけん)
◇ 歴史オタクとプーアル茶セールスマン
◇ 楊士智さんの想い出
2.史跡探索
◇ 西安市内史跡
◆ 大唐西市
◆ 『西安事変』旧趾
◆ 大慈恩寺大雁塔
◆ 城 壁
◆ 碑林博物館
◆ 陝西歴史博物館
◇ 西安市近郊
◆ 草堂寺
◆ 茂陵
◇ 西安東部
◆ 『崋山』めぐり
◆ 楊貴妃と玄宗皇帝のロマンスの舞台、華清池
◆ 始皇帝近衛軍団兵馬俑と帝陵
◇ 西安北部
◆ 黄帝陵
◆ 黄河の魂- 壷口瀑布
◆ 革命の聖地延安へ
◆ 楊家嶺革命旧跡
◆ 王家坪:延安革命記念館
◆ 棗園中共中央旧址
◆ 司馬遷祠墓と党家村
◇ 西安西部
◆ 乾 陵
◆ 太白山と李白
◆ 『蜀桟道』~ 秦嶺山脈を越え、漢中を訪ねる
◆ 法門寺
3.精神文化
◇ 『人間(じんかん)』事情
◆ コネ社会と履歴書
◆ 『制服』は権力の象徴
◆ 公私混同
◆ 男尊女卑
◆ ニセモノ造りとオカラ工事
◆ 拝金主義と汚職
◇ 西安ペット事情
◇ 西安交通事情
4.西安食文化
≪麺 類≫
◆ ビャンビャン麺(「Biang biang」麺)
◆ 涼皮(リャンピー)
◆ 哨子(臊子)麺(シャオズミエン)
≪饅頭・餃子ほか≫
◆ 真珠餃子
◆ 「羊肉泡 」(ヤンローパオモー)
◆ 肉 (ロオジャーモー)
◆ 『砂鍋(サーグオ)』
◆ 灌湯包(グァンタンバオ)
◆ 「大盤鶏」(ダーバンジー)
◆ 火鍋(フオグオ)
〔番外編〕『炭市街』
5.西安民芸文化
◇ 『皮影戯』
◇ 『剪紙』と『対聯』
◇ 戸県農民画
6.高齢化社会と医療問題
◇ 西安医療事情
◇ 中国の高齢化社会
7.学生城西安市
◇ 「学びの園は風そよぎ……」
◇ 最後の赴任校 ― 謂南師範大学
8.終章
◇ 『最初に井戸を掘った人は……』
◇ 江口圭一先生を偲ぶ
第Ⅱ部:大唐の土となりて ~ 遣唐留学生(るがくしょう)たちの歩み
プロローグ
◇ 甦った一人の日本人留学生・井真成
◇ 『井』姓の由来
◇ いざ、長安へ
◇ 長安での留学生活始まる
◇ 真成・仲麻呂・真備の進路
◇ 志(こころざし)半ば、井真成死す
◇ 仲麻呂、真成、帰国かなわず
◇ 外交官としての仲麻呂
◇ 仲麻呂、帰国許さる!
◆ 狂人智蔵
◆ 破戒僧円載
◆ 霊仙三蔵
◇ 吉備真備の足跡
◇ 歴史に『if』は
『井真成墓誌』年表
第Ⅲ部:今、なぜ『西安事変』か
プロローグ
Ⅰ. 『西安事変』までの軌跡
1. 『張作霖爆殺事件』から『満州事変』まで
2. 『満州国』の樹立と『塘沽(タンクー)停戦協定』
3. 『華北分離工作』と『一二・九』学生運動
4. 紅軍長征と『遵義会議』開催
5. 『八・一宣言』と『瓦窰堡会議』~「逼蒋(ひっしょう)抗日」から「反蒋抗日」へ
6. 西安事変までの張学良・楊虎城と紅軍の動き
7. 張学良と周恩来の極秘会談実現
8. 国民党の抗日戦略と対ソ接近および西安事変以前の国共交渉
9. 『両広事変』・『綏遠事変』と蒋介石の西安入り
Ⅱ. 『西安事変』前夜
1. 蒋介石華清池入り
2. 張学良の哭諫(こくかん)
3. クーデター(兵諫(へいかん))決意
Ⅲ. クーデター勃発
1. 未明の銃声
2. 蒋介石発見
3. 西安の国民党要人逮捕
4. 張学良・楊虎城の8項目アピール
Ⅳ. 周恩来の登場と蒋介石釈放
1. ドナルド一行西安入り
2. 周恩来一行、西安へ
3. コミンテルンからの電報と『スターリンの電報』
4. 宋子文・美齢の西安入り
5. 四者会談と『設計委員会』の結論
6. 南京政府の改組案
7. 五者会議始まる
8. 蒋介石・周恩来会談と蒋釈放
Ⅴ. 『二・二事件』と張学良・楊虎城の運命
1. 張学良の行く末
2. 東北軍と17路軍の甲・乙案をめぐる対応
3. 『二・二事件』前夜、対立する東北軍将領と青年将校
4. 青年将校の反乱~ 『二・二事件』
5. 事件首謀者の脱出と東北軍と17路軍の撤退
6. 『千古功臣』楊虎城の運命
7. 晩年の張学良と不倒翁・周恩来のその後
8. 日中戦争は不可避だったか? 1人の『炯眼の士』と軍部の奇人
〔参考文献〕
第Ⅳ部:『道』― 空海と和蘭行御軍艦方・田口俊平
プロローグ
◇ 『帝国海軍之先駆』- 田口俊平
◇ 蘭方から砲術へ
◇ 江川太郎左衛門との出会い
◇ 江戸での仕官
◇ 長崎海軍伝習所開設
◇ 開陽丸と幕府オランダ留学生(和蘭(オランダ)行(あん)御(ぎゃ)軍艦方)派遣
◇ 「実チテ帰ラム」、いざ阿蘭陀(オランダ)へ
◇ バタビア到着
◇ 田口の“狂歌”炸裂!
◇ セントヘレナ島 (Saint Helena)
◇ オランダ到着!!
◇ ハーグでの研修開始
◇ 軍艦命名式-〈VOOR LICHTER 夜明け前〉
◇ 帰国後の幕臣留学生
◇ 開陽丸の最後
◇ 帝国海軍之先駆田口俊平と鈴木貫太郎
【付録史料】年表
〔参考文献〕
あとがき
〔著者略歴〕
[出版社からのコメント]
長い歴史を持つ日本と中国の交流の中には、さまざまな光と影が存在しています。本書の中にある中国の現在と歴史の中にある出来事を通じて、世界の中での日本の立ち位置や関わり方について考える機会を持っていただければ嬉しく思います。
〔著者略歴〕
吉川 和彦(よしかわかずひこ)
1944年1月24日 岐阜県多治見市生れ。
〇1967年 三重大学教育学部卒業。
〇1989年 愛知大学法経学部法学科卒業。
〇1994年 愛知大学法学部法学研究科修士課程修了。
○1969年~2002年 奈良県及び岐阜県公立高等学校理科教員として勤務。
○2003年~2010年 西安国際文化培訓学院、西安外国語大学講師、西安外事学院客員準教授を歴任。
〇2011年~2012年 陝西省渭南師範大学講師を最後に定年退職し帰国。
〔著 書〕
1982年 『岐阜 ふるさとの動物』(共著・岐阜新聞)
1984年 トヨタ財団:第1回『身近な環境を見つめよう』研究コンクール金賞受賞(岐阜県哺乳動物研究会)
1989年 卒業論文『陶貨幣製造計画』(愛知大学法経学会賞受賞)
1994年 『法の下の平等と衆議院議員定数不均衡問題-51年最高裁 定数違憲判決を中心に』が『公法研究(57)』(1995年)、『法律時報』(95年学会回顧)に紹介される
1996年 ESAAY集:『劈開』
2001年 『幻の一銭陶貨』(国会図書館所蔵)
2003年 『新編現代日本社会と日本文化』(西安外国語大学)
2008年 『新版日本文化ダイジェスト』(西安外事学院)
2009年 『旅游日本語』(吉川和彦・劉侠共著、西安外事学院)
2019年 『ぶらり西安探訪』
2021年 『ぶらり西安探訪:近代史から学ぶ日本の未来』(電子書籍)
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