「長生き病」を考える:これからの超高齢化社会を生きるための老年医学

(著) 小澤利男

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作品詳細

[商品について]
―これからは、単に長生きでは済まなくなる―
世界有数の長寿国であり、超高齢社会を迎えた日本は今、寿命が延びることによって生じる様々な慢性疾患に直面している。認知症、脳梗塞、ロコモティブシンドロームなどを始めとする老年病は、すべて要介護につながり、患者とその家族に長期にわたる肉体的・精神的な負担を強いることになる。本書は、半世紀以上にわたり老年医学を専攻し、臨床老年医学を終生のライフワークとしてきた著者が、想定を超える急速な高齢化がもたらす「長生き病」について、自ら歩んできた日本の老年医学の道程を紹介しながら、分かりやすく解説した作品である。超高齢社会の鍵となるヘルシーエイジングあるいはアクティブエイジングについて知るための一書として、示唆に富む内容となっている。

[目次]
はじめに
第1章 老年医学の道を歩む
1 私の略歴
2 老人科とは何をする科であろうか
3 動脈硬化性疾患の疫学的研究
4 我が国の老年医学パイオニア尼子冨士郎先生
5 高知医科大学老年病科教授に就任して考え、実行したこと
1 香北町研究
2 岡豊町研究
6 東京都老人医療センター病院長 CGAの導入による改革
7 老年医学への道を歩んで
第2章 長生き病をもたらした急速な高齢化
1 津波のように押し寄せる超高齢化
2 生存率曲線と死因の変遷 無菌環境で飼育された現代人
3 高齢者の死因解明 100歳老人は老衰で死ぬのか
4 自然死とは何か 人は何歳まで生きられるか
第3章 長生き病を探る
1 老化とは何か アンチエイジングはあり得ない
2 長生き病が要介護を起こす
3 三大長生き病とは何か
1 脳梗塞 要介護の主役
2 人格を奪う認知症
3 運動器を冒すロコモティブシンドローム
4 老化の進行を早める高齢者虚弱症候群
5 長生き病としての高血圧と動脈硬化
1 なぜ血圧を下げるのか
2 血圧の変動を重視
3 上下肢の血圧比は動脈硬化の指標
4 動脈硬化は部位によって異なる
5 大動脈の脈波速度から血管年齢が分かる
6「長生き病」としてのがん
1 がんは高齢にともなって増加する
2 前立腺がんは長生き病だ
3 がんで死ぬのは悪くない
7 長生き病としての呼吸器疾患
1 呼吸器は炎症の巣窟である
2 喫煙高齢者の息切れはCOPDを表す
3 誤嚥と窒息を考える
4 誤嚥性肺炎がとどめをさす
8 検査値の評価について
9 多くの薬が有害となる
第4章 老年内科医は他の専門医とくらべてどこが違うか
1 エイジズムの克服
2 総合機能評価CGAを診療に取り込む
3 老年病専門医が目標とするもの
4 救急医療と緩和ケア
5 キャリアとしての老年病専門医
第5章 予防老年学の提唱
1 予防老年学とは何か
2 期待される80歳の高齢者像
3 年齢にともなう生理的心理的変化
4 ライフサイクルから見た高齢者
5 死をどう迎えるか
第6章 私の老いの生き方3カ条:動く・楽しむ・喜ばす
1 私の生活哲学
2 私の座右の書
3 私の健康法 動く・楽しむ・喜ばす
1 「動く」ということ
2 「楽しむ」ということ
3 「喜ばす」ということ
4 死に対する考え方
おわりに
主な参考文献(順不同)
著者略歴

[出版社からのコメント]
かつて長寿が祝われた時代は、健康だからこそ長生きをする、という様な感覚がありましたが、長寿が当たり前となった今では、長生きは病の元、という意識の方が強くなってきました。老いは誰にでも訪れるものであるからこそ、この問題について真剣に考える必要があると思います。本書が、その一助として多くの方のお役に立てば嬉しく思います。

[著者略歴]
小澤 利男(おざわ・としお)

1929年生まれ 東京都出身

1953年 東京大学医学部卒
1954年 東京大学医学部第3内科研究生
1965年 東京大学医学部老年病学教室助手、講師(1968年)、助教授(1979年)
1981年 高知医科大学(現高知大学医学部)教授(老年病学)
1993年 東京都老人医療センター(現東京都健康長寿医療センター)院長
1997年 退官

現  在:高知大学名誉教授、東京都健康長寿医療センター名誉院長
学会関係:日本老年医学会名誉会員、日本循環器学会・高血圧学会特別会員
専  門:老年医学、循環器病学
著  書:『老年医学の先駆者たち』『老年医学と老年学』
編 著 書:『エッセンシャル老年病学』『高齢者の生活機能評価ガイド』『高齢者薬物療法ハンドブック』など

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